みらい図鑑

Vol.5 「八尾和紙」 富山県・富山市

radikoで再生する


日本古来の紙、和紙。
今日のタカラモノは、富山市八尾町に昔から伝わる伝統工芸、「八尾和紙(やつおわし)」です。




富山の雪解け水から良質の和紙を漉き出して作られる八尾和紙。
もともと字を書くための紙ではなく、加工する紙として製造され、
富山の薬売りが使用するカバンに利用されるなどしていました。

明治初期にはほとんどの家庭で紙漉きが行われていたそうですが、
機械漉きによって八尾の和紙産業は衰退。

そんな中、手漉きによる八尾和紙の生産から、その加工品製造までを手掛けているのが、
富山県富山市八尾町にある「桂樹舎(けいじゅしゃ)」。
現在、この1軒のみが八尾和紙の生産を行っています。





「見ていて飽きがこない、触っていて飽きがこない。
なおかつ、触れていると温かい感じがしてくる。
そういうところが和紙の魅力じゃないかなと思います。」

と語ってくれたのは、代表の吉田泰樹さん。

一般的に和紙というと、やぶれやすいという印象が強いかもしれませんが、
カバンに使われていただけあって、八尾和紙の特徴は強度が強いこと。
「桂樹舎」では昔からの製法をかたくなに守り続け、丈夫さを利用した様々な和紙製品を作っています。

そのひとつが「名刺入れ」。
外も内も和紙で出来ていて、オリジナルの色柄は個性のアピールにも一役買ってくれそうです。



「和紙で作ってありますから、非常に軽いということがありますね。
それと、和紙自体に揉みジワをつけまして、紙がちょっと丈夫になるということ。
名刺交換される際に話題が起きまして、そこから商談とか、そういうのもしやすくなるん
だろうなと思います。」

使うほどに手に馴染んでくる八尾和紙の名刺入れ。
こんな素敵なステーショナリーは、100年先の働く日本人にも是非、使ってほしい逸品ですね。

Vol.4 「桜染め」 福岡県・朝倉市

radikoで再生する


着物に洋服にストール、、、布をピンク色に染める技術、
それが今回のタカラモノ、「桜染め」です。

昔からある桜染めですが、実は桜で染めているのではなく、
別の植物で桜色に染めたり、赤い布の上に白い布を乗せて透けて見える色を「桜色」と言ったりして、桜だけで染めたものはなかったそうです。

憧れの桜色をどうしても桜で染めてみたい、
その思いだけで何年も試行錯誤を繰り返してできたのが、
今回の舞台、福岡県朝倉市にある「工房夢細工」の桜染め。



ですが、驚くことに桜の花びらで染めているわけではないのです。

「桜染めっていうと、桜の花びらで染めたんですか?って言われるんですよね。
でも、ぼくがやっているのは、花になる前の蕾にピンクがあるでしょ?
蕾のピンクと手前の枝にピンクの元がある。
その両方を出してきて、それを熟成してピンクにするという方法を取っているんです。」

と語ってくれたのは、「工房夢細工」の代表、小室容久さん。

桜の枝の中には他の色も含まれていて、普通に染めるとあまりピンク色にはならないそうなのですが、小室さんは何年も研究を重ね、ピンク色だけを取り出すことに成功。

桜の蕾は花が咲き終るとすぐに次の蕾ができて、冬の間、ピンク色が熟成されます。
その小枝を集めて、数十日のあいだ、じっくりじっくり熟成して色を出すのが工房夢細工の桜染め。




「桜染めは、身にまとった人の肌を桜色にして、桜自身が自己主張することなくまわりの人を桜色にしていく。そういう性質をもっているんです。
桜の色を見て怒る人はいない、みんなを和ませて幸せにする。
それが桜のすごさなんですね。
花が咲く前の枝の中に桜色が潜んでいる。それを引き出して、布の上に桜の花を咲かせるという作業を日々、やっているんです。」




桜の蕾と枝から色を取る「桜染め」。
奥ゆかしい日本の心とともに、いつまでも未来へと受け継いでいきたいステキな技術ですね。
Prev [P.169/171] Next

みらい図鑑

Vol.5 「八尾和紙」 富山県・富山市

radikoで再生する


日本古来の紙、和紙。
今日のタカラモノは、富山市八尾町に昔から伝わる伝統工芸、「八尾和紙(やつおわし)」です。




富山の雪解け水から良質の和紙を漉き出して作られる八尾和紙。
もともと字を書くための紙ではなく、加工する紙として製造され、
富山の薬売りが使用するカバンに利用されるなどしていました。

明治初期にはほとんどの家庭で紙漉きが行われていたそうですが、
機械漉きによって八尾の和紙産業は衰退。

そんな中、手漉きによる八尾和紙の生産から、その加工品製造までを手掛けているのが、
富山県富山市八尾町にある「桂樹舎(けいじゅしゃ)」。
現在、この1軒のみが八尾和紙の生産を行っています。





「見ていて飽きがこない、触っていて飽きがこない。
なおかつ、触れていると温かい感じがしてくる。
そういうところが和紙の魅力じゃないかなと思います。」

と語ってくれたのは、代表の吉田泰樹さん。

一般的に和紙というと、やぶれやすいという印象が強いかもしれませんが、
カバンに使われていただけあって、八尾和紙の特徴は強度が強いこと。
「桂樹舎」では昔からの製法をかたくなに守り続け、丈夫さを利用した様々な和紙製品を作っています。

そのひとつが「名刺入れ」。
外も内も和紙で出来ていて、オリジナルの色柄は個性のアピールにも一役買ってくれそうです。



「和紙で作ってありますから、非常に軽いということがありますね。
それと、和紙自体に揉みジワをつけまして、紙がちょっと丈夫になるということ。
名刺交換される際に話題が起きまして、そこから商談とか、そういうのもしやすくなるん
だろうなと思います。」

使うほどに手に馴染んでくる八尾和紙の名刺入れ。
こんな素敵なステーショナリーは、100年先の働く日本人にも是非、使ってほしい逸品ですね。

Vol.4 「桜染め」 福岡県・朝倉市

radikoで再生する


着物に洋服にストール、、、布をピンク色に染める技術、
それが今回のタカラモノ、「桜染め」です。

昔からある桜染めですが、実は桜で染めているのではなく、
別の植物で桜色に染めたり、赤い布の上に白い布を乗せて透けて見える色を「桜色」と言ったりして、桜だけで染めたものはなかったそうです。

憧れの桜色をどうしても桜で染めてみたい、
その思いだけで何年も試行錯誤を繰り返してできたのが、
今回の舞台、福岡県朝倉市にある「工房夢細工」の桜染め。



ですが、驚くことに桜の花びらで染めているわけではないのです。

「桜染めっていうと、桜の花びらで染めたんですか?って言われるんですよね。
でも、ぼくがやっているのは、花になる前の蕾にピンクがあるでしょ?
蕾のピンクと手前の枝にピンクの元がある。
その両方を出してきて、それを熟成してピンクにするという方法を取っているんです。」

と語ってくれたのは、「工房夢細工」の代表、小室容久さん。

桜の枝の中には他の色も含まれていて、普通に染めるとあまりピンク色にはならないそうなのですが、小室さんは何年も研究を重ね、ピンク色だけを取り出すことに成功。

桜の蕾は花が咲き終るとすぐに次の蕾ができて、冬の間、ピンク色が熟成されます。
その小枝を集めて、数十日のあいだ、じっくりじっくり熟成して色を出すのが工房夢細工の桜染め。




「桜染めは、身にまとった人の肌を桜色にして、桜自身が自己主張することなくまわりの人を桜色にしていく。そういう性質をもっているんです。
桜の色を見て怒る人はいない、みんなを和ませて幸せにする。
それが桜のすごさなんですね。
花が咲く前の枝の中に桜色が潜んでいる。それを引き出して、布の上に桜の花を咲かせるという作業を日々、やっているんです。」




桜の蕾と枝から色を取る「桜染め」。
奥ゆかしい日本の心とともに、いつまでも未来へと受け継いでいきたいステキな技術ですね。
Prev [P.169/171] Next