VOL.310「未利用魚のミールキット」
マイナーすぎる、背ビレに毒針がある、水揚げ量が少なすぎる、、など、
味の良し悪しには関係なく、市場に出回らない魚。
それらは、「未利用魚」と呼ばれています。
そんな魚たちに新たな価値を付けて、
美味しく食べてもらいたい、という想いで生まれたのが、
「Fishlle!(フィシュル)」という名前のサブスクリプションサービス。
日本近海で水揚げされた未利用魚をその日のうちに加工して、
冷凍食品として、毎月、家庭に届ける仕組みです。
「私たちが普段食べている魚って、
だいたい20種類ぐらいって言われているんですが、
そんななか、実際に日本近海で水揚げされる魚は、3800種類です。」
そう教えてくれたのは、「Fishlle!」を手がける会社、
福岡市にある「ベンナーズ」の代表・井口剛志(いのくち・つよし)さん。
魚にも、1年を通して季節ごとの旬があります。
「Fishlle!」の商品は、その月に獲れた魚を食べやすい大きさにカットし、
魚ごとに、味の良さを最大限に引き出す味付けをしてから瞬間冷凍。
味のバリエーションは、煮物用タレ漬け、ハーブオイルコンフィ、
中華用カルパッチョなど、現在13種類あります。
「モノの捉え方だと思うんですが、
未利用魚、イコール、得体の知れない魚と考えるのではなくて、
まだ食べられていないけど、じつは、食べたら美味しいんだよ、と。
そうやって認識していただけたら、
食べてみたい、と思ってもらえるんじゃないかと考えています。
その月によって、獲れる魚って変わってくるものなので、
季節の移り変わりを、食べて、感じていただけるんじゃないかと思います。」
これまで光の当たらなかった未利用魚に、
新たな価値を与えた魚の定期便、「Fishlle!」。
井口さんの小さな工場から発信される、海の幸のサブスクリプションは、
食の在り方を変える、大きな可能性を秘めています。