あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で美しいライフスタイルを!

5000年以上の歴史を持ち、クレオパトラも愛した植物との暮らし。植物と向き合い、植物の声を聞くライフスタイルや、ボタニカル・フードのとっておきレシピ。植物の世界からあなたに届く「美しい贈り物」です。

―この番組は、2021年3月で終了しました。―

2017.02.10

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St.Valentine's Day に輝く、ボタニカルな贈りもの

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2月14日は St.Valentine's Day。世界中で「愛や感謝を伝える日」として知られています。女性から男性に限らず、男性から女性へ、女性から女性へ、そして自分自身へ。感謝を伝える日として活用してみてはいかがでしょうか。


植物に関しての名著や、写真集、そしてグッズなどをご紹介するボタニカルブックス&グッズ。今回は、バレンタインに贈りたい、「花」をモチーフにしたアクセサリーの魅力をご紹介します。


St.Valentine's Dayは花で感謝を伝える日
2月14日は St.Valentine's Day(セントバレンタインデー)。古代ローマのキリスト教司祭・聖ウァレンティヌス(聖バレンタイン)にちなんだ「愛の誓いの日」です。日本では女性が男性にチョコレートを贈る日となっていますが、ヨーロッパやアメリカでは、この日は男性から女性へ花やアクセサリーをプレゼントとして贈るのが一般的。「大切な人に愛や感謝を伝える日」として定着しています。この日、一番大事なものが「花」。デートや食事の場所に花束持参で行ったり、できるだけ早く彼女に花を届けようと、女性の働く職場に花束を送る男性も多く、ニューヨークのオフィスビルには、この日、朝から多くの花が届けられるそうです。また、ヨーロッパではメッセージカードに感謝の気持ちを書いて送る習慣も。2月14日は、男性女性を問わず、日頃、相手を大切に思う気持ちを花で伝えてみてはいかがでしょうか? 定番はバラですが、実はこの2月は1年中で花屋さんに並ぶ花の種類が一番多い月とされています。自分へのご褒美として、じっくり花を選んで、買ってみるのもおすすめです。


ボタニカルインスピレーション
「花」だけでなく「アクセサリー」もセントバレンタインデーの贈りものの定番です。実は古くから花や植物はデザインに取り入れられ、ヨーロッパでも中世から建築物や装飾の大切なモチーフになっていました。花や植物は人の命を支える存在であることに感謝し、常に身近に感じていたい。そんな思いがさまざまなデザインとなって象徴的に使われています。1906年、パリで生まれたVan Cleef & Arpels(ヴァン クリーフ&アーペル)の「フローラルコレクション」は花がモチーフ。コスモス、ロータス、クリスマスローズなど自然界の生命力とみずみずしさをアクセサリーで表現しています。また、マドモアゼル・シャネルが生涯愛した花と言えば「カメリア」が知られていますが、その花をモチーフにしたデザインも目にすることができます。いつの時代も花や植物が人の近くに寄り添い、命を支えてくれる存在として愛された証と言えるでしょう。


真珠と花の新鮮な出会い、MIKIMOTO BLOOM Collection
実は日本においても、伝統的に「花」や植物のモチーフが美術品に取り入れられてきました。19世紀のアールヌーボーと呼ばれた時代に、流れるような曲線が特徴の花、植物などをモチーフにしたデザインが世界的に流行したのも、その頃、日本から西欧にもたらされた絵画、漆器などの美術品、工芸品から影響を受けたため。日本の伝統的な美とヨーロッパに伝わる技巧を合わせ、今に繋がる宝飾の基礎が築かれていったのです。1899年に銀座に真珠専門店をオープンした「御木本真珠店」(現MIKIMOTO)でも、古くから花や植物をデザインベースとしたアクセサリーを発表してきました。そして、2016年から新たに展開しているのが、「MIKIMOTO BLOOM Collection」です。

真珠を取り囲むように繊細な細工がほどこされ、花で編んだレースをイメージした優美なジュエリーに仕上がっています。 オンの時間もオフの時間も女性の装いに欠かせないアクセサリー。ブローチ、ペンダント、イヤリングの3種類が作られていますが、身につけて動いたときの美しさを意識してデザインされています。女性の立ち振る舞いとともに、野の花が風に揺れるような柔らかな動きを演出。女性が普段の生活の場でより輝いていて欲しいという思いが込められています。贈られた方の笑顔が目に浮かびますね。海に育った命の象徴である真珠と、陸で生まれた花が女性の魅力をより際立ててくれそうです。

MIKIMOTO BLOOM Collection


「花」をモチーフにした、ボタニカルな贈りもの。古代から女性の装いを美しく華やかに彩ってきた花が、アクセサリーにかたちを変えて感謝の気持ちを運んでくれます。感謝の気持ちとともに、一足早い春を運んできてくれることでしょう。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。2月はスタイリストの高橋靖子さんを迎えてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。

2017.01.13

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ベジヌードルカッターで作る! 野菜を麺のようにカットしたヘルシーパスタ。

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野菜を細長くカットし、パスタや麺のようにして食べる「ベジヌードル」をご存知でしょうか? 専用のカッター「ベジヌードルカッター」を使えば、自宅でも簡単にベジヌードルを使った料理を楽しむことができます。

水菜と油揚げのズッキパスタ
『「ベジッティ」で野菜たっぷり グルテンフリーのベジヌードルレシピ』より


植物に関しての名著や、写真集、そしてグッズなどをご紹介するボタニカルブックス&グッズ。今回は、健康で楽しい食生活に欠かせないグッズ、「ベジヌードルカッター」をご紹介します。


野菜100%! ベジヌードルとは!?
ベジヌードルは、これまでと違った新しい野菜料理としてヘルシー志向の女性の間で今大きな話題となっています。野菜をサラダだけで一度にたくさん摂ろうと思うと大変ですが、ベジヌードルならパスタ感覚で楽しく野菜を取り入れることができるのが大きな魅力。当然、カロリーも大きくダウンします。スパゲッティなら100gあたり約149kcalですが、例えばベジヌードルによく使用されるズッキーニなら約14kcal。合わせる具やソースによって違いはあるものの、通常のパスタよりも約10分の1のカロリーに抑えられるという計算になります。

このベジヌードル発祥の国は、次々と新しいヘルシーフードが生み出されるアメリカ。野菜をおいしく食べられると話題になり、今では広く一般の人々にも浸透しています。ニューヨークやパリのスーパーでは、あらかじめカットされたベジヌードルが何種類も並んでいるほど。ズッキーニ、にんじん、だいこん、じゃがいもなどさまざまな野菜で作ることができるので、旬も楽しみながらベジヌードルが普段の食事に積極的に取り入れられています。


ベジヌードルカッターで楽しく作る野菜料理
ベジヌードルは包丁やピーラーで作ることもできますが、専用カッターを使えば、誰でも簡単にチャレンジできます。さまざまなメーカーから多くの種類が発売されているなか、ベジヌードルの本場・アメリカ発OXO(オクソー)の「ベジヌードルカッター」は、野菜を押し付けて回すだけで麺状にカットできるのでとても簡単です。コンパクトな設計なので、「まず一度作ってみたい」という人にうってつけ。

本格的に料理に取り入れたいという人には、同じくOXOから発売されている「テーブルトップベジヌードルカッター」はいかがでしょうか。こちらはハンドルを回して野菜を麺状にカットする仕組みで、さらに多くの種類の野菜をベジヌードルにすることができます。また、最もベーシックなスパゲッティ型をはじめ、付属の刃を変えるとフィットチーネ型やリボン型にカットできるのもうれしいところです。 実際にやってみると、どちらのベジヌードルカッターも面白いように野菜が「ヌードル」や「パスタ」に早変わり。ちょっとした驚きで、一度体験するともう病み付きになります。 野菜がスルスルと様々な形になって出てくる様子を見ているだけでワクワクしてきます。

ちなみに、ベジヌードルに向いているのは、ある程度の硬さがあるズッキーニ、だいこん、にんじん、かぶ、じゃがいもなど。野菜の新たな魅力を体験しながら、楽しくベジヌードル作りができますね。


野菜の力で体の中からキレイになれるベジヌードルレシピ
ベジヌードルを使ったレシピは、実にバリエーション豊富。今回は料理家のいとうゆきさんの本、『「ベジッティ」で野菜たっぷり グルテンフリーのベジヌードルレシピ』(二見書房)からズッキーニを使った一品をご紹介しましょう。削りやすく、スパゲッティに近い食感を楽しめるのがズッキーニ。にんにくを炒めたフライパンにトマト缶、キドニービーンズ、とうがらしなどを加え、アラビアータソースを作ります。ソースをボウルに入れ、ベジヌードルカッターで麺状にした生の黄色ズッキーニを絡めるだけで「豆のズッキアラビアータ」の完成です。ソースの余熱でズッキーニもほどよい柔らかさになり、独特の食感を楽しめますし、野菜と豆だけで作られているのに、食べ応えは十分です。

豆のズッキアラビアータ
『「ベジッティ」で野菜たっぷり グルテンフリーのベジヌードルレシピ』より


ただひとつ、ベジヌードル料理で大切なコツがあります。それは、調理しているうちに野菜自体から水分が出るのでソースなどの味付けは少し濃いめにしておくということ。 生で食べられる野菜は、そのまま生でベジヌードルにしても大丈夫ですが、硬いものは、電子レンジで少し温めると削りやすくなります。野菜の種類や好み、料理によって使い分けるといいでしょう。

「ベジヌードルカッター」でとても楽しく簡単に作れるベジヌードル。普段の料理に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか?


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。1月はファッションデザイナーの島田順子さんを迎えてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。


いとうゆき
日本リビングフード協会代表。料理家、シェフ。自身の闘病をきっかけに食に対する関心を高め、国内外でマクロビオティックやリビングフード、スーパーフード、グルテンフリーなど健康食を幅広く学ぶ。現在はニューヨークと日本を行き来しながら、イベントやセミナー、料理教室を手がけている。

2016年7月に発行された『「ベジッティ」で野菜たっぷり グルテンフリーのベジヌードルレシピ』(二見書房)は、ベジヌードルの作り方やレシピはもちろん、野菜の選び方まで詳しく解説されており、ベジヌードルにトライしてみたい人必見の1冊。パスタ、ヌードル、サラダ、ベジデザートまで幅広い料理のレシピが掲載されている。

2016.12.09

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贈りものからインテリアまで、「ジャパンブルー」に包まれた暮らし

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誕生日、記念日、そして間もなくやってくるクリスマス。誰に何を贈ろうか、もし、少し悩んだら、日本古来の「藍染め」のプレゼントはいかがでしょう。藍染め集団リトマスが手がける「ジャパンブルー」の作品には、使う人の毎日をやさしく包むナチュラルな魅力が溢れています。


植物に関しての名著や、写真集、そしてグッズなどをご紹介するボタニカルブックス&グッズ。今回は、「ボタニスト」にもご登場いだいた藍染め集団、リトマスの作りだす藍染め品の魅力、藍の色をめぐる物語や、藍と暮らす素敵なライフスタイルをご紹介します。


身近にあるものにこそ藍の色を
リトマスの手がける藍染めは「灰汁発酵建て(あくはっこうだて)」。大切に育てられた「タデアイ」の葉から作られる自然の原料を使い、手作業で染めてゆく日本古来の染色技法です。自然の発酵の力を借りながら、「青」を作りだしてゆきます。そして、リトマスの考える藍染めは、その色が終着点ではなく、始まり。その青を人々の生活の中でどう輝かせるかを思い、仕事を続けています。彼らが初めて、自分たちのリトマスブランドで作った藍染め品はTシャツでした。それは日々、藍を身にまとって暮らして欲しいという思いから。 古くは手ぬぐい、作業着、暖簾などが藍染めから生まれるものとしておなじみでしたが、リトマスではニット帽、トートバッグ、ポーチ、ストールなども展開、普段身近にあるものにこだわり、「藍」のある毎日を提案しています。



「藍」が伝える心の言葉
一口に藍と言っても、実は様々な濃淡で色の名前がつけられているほど、その染めだされる青の表情は豊かです。淡い色は少しだけ藍瓶の中で染められたもの、つまり「瓶の中を少しだけのぞいた程度」ということで、「瓶のぞき」。続いて濃くなるごとに「浅葱色(あさぎいろ)」、「納戸色(なんどいろ)」、「縹色(はなだいろ)」、「濃藍(こいあい)」、「紺色(こんいろ)」と続き、もっとも濃く染められたものを「褐色(かちいろ)」と呼びます。鎌倉時代には武士の服や武具はこの色に染められ、相手に「勝つ」ようにとの縁起をかつぎ、藍の色に命を預けていました。また、藍の顔料は江戸時代に浮世絵にも使われ、その青によって当時の人々の生活が生き生きと描かれ、北斎や広重の色彩感覚を支えていました。原料を育て、作る人、藍を建て染め上げる人、多くの人の手と時間を経てその色は生まれてきたもの。だからこそ、藍の色は言葉以上に思いを伝え、人の心を表現するのかもしれません。


写真は、藍染め品を作るときに余る生地で作ったリトマスオリジナルバッジ。貴重な藍を少しも無駄にしたくないという気持ちから生み出されたもので、様々な藍の色合いが手軽に楽しめます。


ジャパンブルーと暮らし、ジャパンブルーを贈る。
さらに、「藍」をもっと身近なものにするために、贈りものにも使って欲しいと作ったのが、今や大人気となった「 ムーンカレンダー の手ぬぐい」です。1年間の月齢がデザインされたこの藍染めの手ぬぐいは、今やプレゼントの定番になり、「日本の青」を手軽に楽しめるものとして海外でも知られはじめています。

また、リトマスの藍色を家具に取り入れたのがNychair(ニーチェア)。1970年に日本人デザイナーの手により生まれ、今では世界40カ国で販売されるグローバルデザインの椅子となっています。シンプルで美しい、Nychairの機能的なデザインをリトマスの青がより印象的にしています。


「いろんな人との関わりに支えられ、リトマスがあります。デザイナーだったり、カメラマンだったり、原料を作る人だったり、まずそんな身近な人に愛され続けるように努力することが大事だと思っています。すべてはこの藍の色、このジャパンブルーの青があるから、気持ちが通じ合うし、もの作りで一緒にチャレンジも出来ています。そして、これを使ってくれる人が、今度は藍のある暮らしを楽しみ、伝え、広げてくれている。そんな循環の中にいられることは、なにより幸せです。この色を作った自然、見つけたひとはスゴい!と思い、毎日染めています。」(リトマス 吉川和夫さん)

人と自然の力が一つになり生み出された藍の色。かつて、藍が普段の生活の中に溢れ、価値あるものだったように、一部の人だけのものではなく、多くの人が手に取り、何かを感じ、使い、誰かに贈る。その繰り返しの中で、再び藍の「ジャパンブルー」に溢れた国が蘇るはずです。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。12月10日からは歌手のJUJUさんをお迎えしてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。


藍染め集団 LITMUS
LITMUS (リトマス)という名前は、彼らが大好きだったサーフィン映画のタイトルと、自分たちの発信する色に「反応」して欲しい、そんな思いを合わせて付けられた。2000年にスタート。現在は湘南、鵠沼でタデアイ作りも手がけ、日本に古くから伝わる天然の素材のみを使用した染色技法「灰汁発酵建て」を行う。そのこだわった技法を自らのフィルターを通し、素材や概念にとらわれない作品づくりで「日本の藍色」を表現している。その作品は手ぬぐい、暖簾、帽子、Tシャツからバッグ、椅子にまで及ぶ。

2016.11.11

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自然のぬくもりに包まれる、和紙と触れる素敵な暮らし

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寒さが少しずつ深まり、自宅でゆったりと過ごす時間が増えてくるこの季節。玄関に、テーブルに、書斎に。毎日の生活で触れたり目にするものに「和紙」を取り入れてみてはいかがでしょうか。きっと心がほのかに暖かくなるのを感じられるはずです。


「植物」に関しての名著や、写真集、そしてグッズなどをご紹介するボタニカルブックス&グッズ。今回は「ボタニスト」にもご登場いただいた和紙職人、ハタノワタルさんの作る和紙製品の魅力、和紙の秘められた可能性や、暮らしの中に和紙を上手に取り入れる素敵なライフスタイルをご紹介します。


和紙は自然からの贈りもの
歴史を遡ること6世紀ごろから始まったと言われる日本の紙漉き。山に野生する木を採ってきて原料として加工、「和紙」として新たな命を与える伝統工芸です。800年の伝統を持つ京都、黒谷の和紙も地元の山で収穫される日本古来の木、「楮」から作られています。楮は成長すると3メートルほどになるクワ科の落葉低木です。


3年ほどで収穫し、それを蒸して皮をはぎ、表面の茶色い部分を削って「白皮」にして干します。その白皮を今度は水につけ置き、大釜で煮、皮を柔らかくして、不純物を取り除いてゆきます。この不純物を取り除く工程により、永く保存が出来る丈夫な紙が生み出されるのです。通常の洋紙が100年ほどしか持たないのに比べ、和紙の耐用年数は1000年以上とも言われています。日本の自然と人々の英知が生み出した、まさに植物からの贈りもの「和紙」。しかし、和紙職人として黒谷で生きるハタノさんの夢は、和紙を漉いて終わりではありません。「和紙というのは実は木材と同じ。木からテーブルが出来たり椅子が出来たりするように、和紙は材料。そこからどういう世界を創りだすかも、僕たち職人の使命なんです」


脇役として輝く和紙の魅力
日本ならではの伝統技術を使って作られた黒谷和紙。その丈夫さとともに、木製品、陶芸品など日本ならではの調度品との馴染み方がとても良いため、「個展や展覧会の棚に敷きたい」といった希望が多く寄せられるそうです。主役はあくまでも「作品」で、下に敷かれる和紙の役割は、器をいかに美しく魅せるかということ。目立とうとはせずとも、なくてはならない存在になる。和紙がそばにあるから、器が美しく見える。あくまで脇役に徹することで、私たちの毎日の生活の中でも、和紙の魅力はより輝くのかも知れません。

たとえば、お客さまをむかえる玄関に飾る花瓶の下に、和紙で作られた敷板を置けばとても落ち着いた上品な空間がそこに生まれます。また、食事の時のテーブルマットに和紙を活用すれば、特別なおもてなしの思いを、お客さまに伝えることが出来ます。そして、和菓子の下に敷いて飾ったりするのもおすすめのひと工夫。和紙のシンプルで自然な模様は、和洋問わずとっておきの食器やテーブルウエアにも合わせられますし、自然から生まれた和紙の存在感や手触りは、食べものや人に優しく寄り添ってくれます。食事の時にふと触れた瞬間、きっと暖かい気持ちを感じさせてくれるでしょう。


広がる和紙の可能性
木の皮から手作業で作られる「黒谷和紙」の特徴の一つは、何と言っても“丈夫”なこと。濡れてもこすってもなかなか破れないことから、京の地でも昔から傘やちょうちんなど、毎日使用する生活必需品に用いられてきたことは良く知られています。ハタノさんは、その丈夫さ、魅力を改めて伝えるため、現在壁紙や床などに黒谷和紙を取り入れた「和紙に包まれる空間づくり」を広める活動も行っています。和紙の良さは毎日触れて使って初めてわかるもの。作る側も「和紙を使う」という生活を大事にしなければと思い、自宅の床を黒谷和紙張りにして、和紙に包まれた生活を自ら実践しています。毎日踏みしめられた和紙の床は、時が経つ程に原料の楮の木の繊維組織が締まって結合が強くなり、より丈夫さが増していくのだといいます。そして、日々見落としがちでも、ふとしたときに気づく木から生まれたことを思いださせてくれる素材感、ぬくもり、心地よさ。使い続けて初めてわかる、その経年変化の美しさこそ手漉きの和紙ならではの魅力なのです。


「日本人はもっと和紙に自信を持って欲しい。木から紙を生み出す手漉きの作業も和紙を特別なものにしていますが、これからは、出来たものがどう生活の中で使われてどう変化しているか、どう喜ばれているか、そういったところをもっともっと伝えて見て感じてもらいたい」ハタノさんはそう語り、和紙の魅力を様々な「形」にして世界に発信しています。和紙の楽しみ方や和紙と暮らす喜び。たくさんの人が知ることで、和紙の可能性はもっともっと広がるのではないでしょうか。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。11月は女優の野際陽子さんを迎えてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。


ハタノワタル作 黒谷和紙の名刺箱


ハタノワタル
1971年、淡路島生まれ。多摩美術大学絵画科油画専攻卒。97年、黒谷和紙研修生となり、2000年、黒谷紙漉き師として独立。伝統ある和紙の里で紙を漉き、その黒谷和紙の可能性を広げる活動を行う。 04年、綾部ファインアートグラデーション(AFaG)立ち上げ。07年、京もの認定工芸師として認定される。様々なショップでのプロダクト販売のほか、個展、展覧会等を通して、黒谷和紙の魅力を世界に発信している。
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