22.03.01
ロシアのウクライナ軍事侵攻、日本の対応
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!
『ロシアのウクライナ軍事侵攻、日本の対応』
ユージ:昨日に引き続き、ロシアによるウクライナ軍事侵攻を取り上げます。
吉田:昨日は、日本経済への影響とロシアに対する経済制裁を中心に神庭さんに解説してもらいました。今回は日本側の対応です。神庭さん、まずはここまでに日本政府の動きを簡単にまとめて教えてください。
神庭さん:ウクライナ侵攻があった2月24日の動きを振り返ると、日本時間の正午ごろ、ロシアのプーチン大統領が「特別な軍事作戦を実施する」と発表して、“ロシア軍が攻撃を始めた”とか、“キエフで爆発音が聞こえた”といった、生々しい報道が飛び交い始めました。岸田総理は13時ごろ、「情報収集に全力で取り組む」と記者団に語ったんですけれども、その後、普通に国会に出席して、14時過ぎに参院の予算委員会で立憲民主党の蓮舫氏が、国家安全保障会議を今すぐ開くべきではないか。予算委員会の方は柔軟な対応をするからというふうに岸田総理に質問したところ、岸田総理は「政府としては適切なタイミングで国家安全保障会議を開催したい」と答弁して、14時20分に予算委員会は一旦休憩になって、15時ごろになってようやく、国家安全保障会議が開催されました。これは、やっぱり、スピーディーな情報収集のための組織であり、会議なので、報道ベースでいろんな情報が出ている中で、野党から指摘を受けてようやく開催という展開は、ちょっと残念だったなと思いますね。
ユージ:こうやってみると、当初の政府の動きはちょっと遅いかな?という印象がありますよね。鈍かったか?それとも、慎重に動いたのか?どうなんでしょうか?
神庭さん:いやぁ、そうですよね、後手後手感というのはその後も続いていて、ロシアをSWIFTから排除する経済制裁案にしてもですね、2月27日(日)の朝の時点で欧米の決定が報じられていたんですけれども、日本が同調することを岸田総理が発表したのは夜になってからだったんですよね。第2次世界大戦以来の大きな戦争に発展してしまう可能性がある、それくらいの危機なんだ!と、冷戦後の国際秩序を大きく揺るがす緊急事態だ!という認識が乏しかったんじゃないかなと思うのと、もう一点はですね、もしかしてですけれども、北方領土問題をめぐってロシア側への“遠慮”があったとしたら問題だと思っていて、萩生田光一 経済産業大臣は、『ロシア経済分野協力担当大臣』というのも兼任しているんですね。一方で経済制裁をかけながら、もう一方で大臣ポストを置いて経済協力するというのは、これはちょっと矛盾しているんじゃないかなと思いますね。
ユージ:そうですよね、これは、かなり矛盾していますよね。
神庭さん:与野党からこの大臣ポストの廃止を求める声が出ているんですけれども、岸田総理は国会で「当面は領土問題などについて、申し上げることは控えなければいけない」、「たちまちポストを廃止するというのではなく、我が国としての意思を国際社会にしっかり示すために何をするのか。これをまず考えるのが先である」と、ちょっとピントのズレた答弁をしていて、“ぬるい対応、温情的な対応をしていれば、きっといつかは北方領土を返してくれるんじゃないかな”という、根拠のない楽観論、淡い期待はこの際、捨てた方がいいんじゃないかなと思いますし、クリミア半島とか東部二地域を強引に奪われてしまったウクライナが、今回どういう目にあったのか、あわされたかというのをよく目に焼き付けておく必要がある。ロシアはこれから、経済制裁で国内経済に大きなダメージを追いますから、ルーブル安で極端なインフレになる可能性もあります。何年か後に経済がスタボロになったロシアに対して、経済支援をちらつかせて北方領土返還を迫るといった交渉であれば、まだわかるんですけれども、少なくともそれは、“今ではない”よね?という…。西側諸国が一致して経済制裁をかけようとしている時に、大臣が率先して、“ロシアに経済協力する”というのでは、欧米からも“本気”を疑われてしまうんじゃないかな?というふうに思います。
吉田:ウクライナ侵攻後、ロシアとウクライナの間で初めて会談が行われましよね。今後、日本はどのように動いていくべきなんでしょうか?
神庭さん:侵攻のあった24日、中国の大阪総領事がこんなツイートをして物議を醸しました。
《ウクライナ問題から銘記すべき一大教訓:「弱い人は絶対に強い人に喧嘩を売る様な愚かをしてはいけないこと!仮に何処かほかの強い人が後ろに立って応援すると約束してくれてもだ。」》
と、いうふうにツイートしたんですね。これは、非常に憤りを覚える発言ですけれども、一方で中国が何を考えているかよくわかる投稿でもあるなと…。わざわざ日本語で書いているということは、日本人に伝えたいのだろうと思うんですけれども、アメリカ・インド太平洋軍のデービッドソン前司令官は昨年3月、「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と上院軍事委員会の公聴会で証言しています。中国は、今回のウクライナ危機をケーススタディーにして、ロシアの成功した部分はマネして、失敗した部分は反面教師にしようとするはずなんですよね。だとすれば、日本側も徹底的に、今回のウクライナ危機から学ばないといけないんじゃないかなと思っていて、世界の警察としての力を失ったアメリカは今後、中国とロシアの二正面作戦、下手をすると、北朝鮮やイランも含めれば、四正面作戦を強いられることになるわけです。日本は日米安全保障条約を結んで、アメリカ軍の駐留を許可する代わりに守ってもらうという体制をとってきたんですね。大きな国防予算をかけずに超大国に用心棒になってもらい、自分は経済に専念する。それによって、戦後の大きな成長を果たしたわけですけれども、これまではその作戦でうまくやってきたけど、ロシアの侵攻で国際秩序が揺らぎつつある中で、今後も現状維持で大丈夫だという保証はどこにもないわけですね。ドイツは今回の侵攻を受けて、国防費を現状のGDPの1.5%ほどから2%超へ大幅に引き上げることを決断しました。世界が歴史の大きな転換点に立っていることを自覚して、日本も戦略的に外交・安全保障政策を進めていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
ユージ:今のウクライナ侵攻に日本も強いメッセージを発していくべきですよね。しかも、今回の混乱から、経済はもちろんですけど、東アジアの情勢も見据えていかないといけないという非常に難しいニュースですけど、引き続き、注目していかなければいけないニュースだと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 1, 2022
「ロシアのウクライナ軍事侵攻、日本の対応」について
停戦交渉が行われました。?ロシアが求める条件が3つあるとすれば、ウクライナは3つのまなければ納得はしないと。YesかNoしか求めていないそうです。
#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 1, 2022
日本も他人事ではなく、
国民の声、国会の声を代表する岸田総理の発言の仕方が非常に大事になると思います。
#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 1, 2022
厳しい言葉を言うだけだと簡単ですが、それによってロシアとの関係が悪化する可能性もあるので、本当に慎重に進めていく必要がありますし、
ウクライナに対する侵攻のブレーキのかけ方など他の国と連携を取りながら強いメッセージを発信することが大事だと思います。#ワンモ