20.02.21
日本のスポーツのガラパゴス化 部活動編
金曜日は『スポーツ』をキーワードにお届けします。
今週と来週、ONE MORNINGでは「日本のガラパゴスチェック」と題してお送りしていますが、ONE MORNING FRIDAY では「日本のスポーツのガラパゴス化」をテーマにお届けします!
お話を伺うのは、「日本の部活:文化と心理・行動を読み解く」の著者で心理学者の尾見康博さんです。
【日本のスポーツのガラパゴス化 部活動編】
山崎:日本において、スポーツを経験する場として最も主流なのが、学校の部活動。しかし、世界のトップクラスで活躍するプロのスポーツ選手を育てる上で、いろいろな課題も見えてきました。尾見さんは文化心理学的観点から日本の部活を取り巻く側面を研究されていますが、世界のスポーツ教育の仕組みと比べて違和感を覚えられたそうですね。
尾見さん:違和感を覚えたというのはいくつもあるんですが、部活を支えている4つの主義があるんじゃないかと考えています。「勝利至上主義」、「気持ち主義」、「一途主義」、「減点主義」。
「勝利至上主義」についてはよく言われていることで、”勝つためにはいろいろなことを犠牲にしてもやむを得ない”という考え方。
「気持ち主義」というのは「根性主義」という言葉の方が多いんですが、”最後は気持ちですよね”というものには根性論を超えた、もっと広い話があると思っていて、変な話なんですが松岡修造さんとかも、根性論は彼は否定しているんですが「気持ちだ!」って言うんですよね。根性論を否定する方は最近出てきているんですが気持ちを否定する人はなかなかいないんです。
「一途主義」というのは、”一回始めたら最後までやり遂げなさい”っていう、どんなに合わないな、と思っても最後までやりなさい、というもの。それが結構、中高生を苦しめている部分があります。
山崎:投げ出したって思われちゃうんですよね。
尾見さん:そうなんですよ!本当は多感な時期なので「やっぱりこれ無理かも、こっちの方が面白そうかも」「両方もやってみたい」っていう気持ちを割と否定しちゃうんですよね。
山崎:いろんな経験する時期ですもんね、ほんとならね。
尾見さん:「減点主義」というのは”褒めるよりもディスる”。褒めるの下手、っていう感じなんですけど。こういった4つの主義が日本の部活の特殊な文化的慣習を支えているんじゃないかと思っています。
山崎:「気持ち主義」の招くマイナス点もあるんですか?
尾見さん:気持ちは大事だ、というのは否定しにくいですよね。「最後は気持ちが大事だよ!」と言われたら、確かにそうだとは思うけれども、それも使いすぎると技術、テクニックの指導を放置することになりかねない。本当はテクニックの問題なのに、あるいは練習方法の問題なのに、そっちに目がいかないで、今ボール取られたのは気持ちの問題だ、とか。試合で最後、ギリギリのところで負けちゃったのは気持ちが足りなかったからだ、って言うんですよ。
エリザベス:うん...
山崎:結果が目に見える勝利至上主義と気持ち主義が相まったら逃げ道ないですもんね。
尾見さん:そうなんですよ、気持ちで勝ったということよりも気持ちで負けたということの方が多いんですよね。それは結局、減点主義にも繋がっていて。僕がアメリカにいた時、むこうの課外活動のスポーツに参加したんですけど、やたら褒めるんですよ。びっくりするくらい褒めるんです。日本人って多分、部活以外でも褒めるのが上手じゃないっていうか、言葉としては存在しているけど・・・
山崎:会社だって下手したら・・・
尾見さん:ブラック●●っていうのも結局日本の文化だったりするわけで。
山崎:そうなるともうブラック部活、みたいなことになってきてしまいますもんね。
尾見さん:ただそれが部活って凝縮されている感じがあって、今時だとさすがに体罰を教室内でする先生はほとんどいないけど、部活だと毎月のようにニュースで出てきますもんね。見えないところでかなり残っちゃっているんだろうなと思っています。
山崎:そんな状況から、今後の部活の在り方についてどのようにお考えですか?
尾見さん:アスリートを育成する場としてのクラブは必要だと思うんですけど、それとは別の、楽しむ、生涯スポーツの基盤としての課外活動を切り分けていく必要があるんじゃないかなと思います。そういうプラットフォームを今一つにしちゃってるんですが、ちょっとずつ分けていく仕組みづくりが求められているように思います。
そして、今日の #シゲコメ はこちら。
"リポビタンD TREND NET” 2/21金の #シゲコメ は、『部活動』のガラパゴス。変わっていけないもの…スポーツをする素晴らしさ。辞めてしまった卓球部の思い出話もありました。変わっていいものは、上からの強要。楽しく素敵なスポーツライフのために挙げるべき声は挙げて行きましょう💪 #ワンモ
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 21, 2020