ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2014年10月12日のショートストーリー

「お誕生日、自分と両親におめでとう！」

[ストーリー]

夫が買ってきてくれたケーキに一本だけろうそくを立て、
その日、私たちは娘の初めての誕生日を祝おうとしていた。

何かと言うと、すぐ熱を出す娘と
子育て初心者の私たちは、
この一年、何度、病院の夜間受付の窓を叩いただろう。
娘の様子を見ながら
「代わってやりたい」・・・いつもそう思い、
祈る思いで、元気に育って欲しいと願ってきた。

そんな娘の誕生日。
結局、本人はロウソクを灯す前に眠ってしまったけれど、
私たちは、揺れる炎と、
その脇で、すやすや寝ている娘の顏を覗き込みながら、
何とも言えない幸福感に包まれていた。

「お誕生日、自分と両親におめでとう！」

夫がぽつりと言ったその言葉は、
小学生の頃、誕生日のお祝いをされるのが恥ずしくて
素直に喜べなかった時期に、
担任の先生がノートに書いてくれた言葉だという。

親になって初めて知る想い。

私たちは、まず娘に、そしてお互いを見つめ、
「おめでとう」と言った。

東京都「あんぱんぱん」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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