三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2019.11.12

利便性高く安心できる医療体験をすべての患者さんに

株式会社カケハシ代表取締役CEO
中尾豊
必要な人材の24時間の生活を想像して会いに行く

ゲストは、先週に引き続き、株式会社カケハシ 代表取締役CEOの中尾豊さんです。

今週はまず、スタートアップ企業にとって大事な人集めについて伺いました。
就職した会社に残るか、独立するか、親戚の薬局経営を引き継ぐか
悩んだ時に行った大学院で、中尾さんは気づいたことがありました。

「どんな人を集めるべきかの前に、どんな世界観を作りたくて、
 自分1人だと何が出来るのかを整理すると
 足りないピースが見えてくるかなと思いました。
 すごく良いきっかけになったのが、
 大学院でMBA(経営学修士)の勉強をしていたんですけども
 マーケティングとか、アカウンティング、ファイナンスがすごく上手な方とか
 各領域にスペシャリストがいるんですよね。
 そうした方に追いつく勉強をしていたらキリがなく
 僕1人で何かを成し遂げるのは無理な話なので
 やりたい世界観を整理した後は自分が出来るところを整理して
 出来ない領域の人に声を掛けに行くということをずっとやっていました。」

実際にはどうやって仲間を集めていったんですか?

「どういう人が必要かというのをエクセルにまとめました。
 自分は大学病院で働いていたただの営業マンなので、
 事業がわかる人、エンジニアなどの人達がどこにいるのか
 1ミリも分からないんです。
 その人材が24時間どういう生活をしているのかを想像して
 こういう所で食事をして、こういう所でミーティングしているだろう
 というストーリーを徹底的に書き出し
 僕の24時間をそこに当てはめに行くというのをずっと続けていました。」

それで、探していた方達には会えたのでしょうか?

「そうですね。会うまでには時間がかかりましたが、
 たとえば、 マッキンゼーというコンサルティング会社にいた優秀なメンバーの
 中川という者に声を掛け、現在彼は共同創業者となっています。」
  
頑張って出会うことができた方々、説得はどのようにしたんですか?

「すべてのビジネスに言えると思うのですが、
 聞き手側に合わせることが非常に重要で
 例えば事業の人であれば“その事業がどれくらい伸びるか”という
 話をした方が刺さるんですよね。
 また医療従事者には“こういう医療体験があった方がいいのではないか”
 エンジニアには“こういう問題解決をテクノロジーで出来たら楽しいじゃない”
 というように、聞き手にすべての話し方を合わせないと
 惹きつけられないのでそれを徹底的にやっていました。
 まさにエレベーターピッチと呼ばれるものですが
 僕は地下鉄でもやっていたくらいで、
 小さい声でひそひそピッチしていました(笑)」

そういった努力の上で“Musubi”が生まれる訳ですが
仲間たちとはどういう風に作っていったんですか?

「まず現場のペインポイントと呼ばれる課題は何なのか、
 薬局業界の課題や、患者さんが何を求めているかを徹底的に調査したんです。 
 そして、事業的にどうしたら成立するかを設計して
 デザインに落とし、その後プログラミングに落とすので
 最初はデザイナーとエンジニアがどうしても必要でした。
 現場のヒアリングは、僕と共同創業者の中川を中心に行なったのですが
 何百軒も薬局を回って調査して1から作りに行きました。」

何百軒もの薬局を回った中尾さん、
薬局での営業をどのように行なったのか伺いました。

「3時間×400人の薬剤師に調査をしたのですが誰も僕のことを知らない。
 カケハシの創業前なので名刺もまだ無いという状況でした。
 そこで薬局の方に“中尾くんに会うのは私達に得する体験だ”と
 思っていただくしかありませんでした。
 薬局側にとっては何のメリットもなく、
 “この業界がこんなに楽になったらどうか"という話を
 提案しながら、今の業務を徹底的に手直しさせてくださいと話しました。
 あらゆるシステムを見て、"今どの画面見ていましたか?"
 “どの患者さんにどうやって話そうと思っていましたか?"と
 ものすごく面倒くさい質問をひたすら投げるのですが
 それを”中尾くんと話したら面白いから”と
 薬局を紹介していただき、それを繰り返して400軒になりました。
 まず薬剤師へのリスペクトがあったので
 専門的な知識を必要とする業務に集中できるよう
 “この仕事面倒くさいですよね?無くしましょう!”と。」

医薬以外にもやっていただきたいと思える内容です!
そして、最近大きな資金調達に成功されたカケハシ、
その目的にはこんな展望がありました。

「今は“Musubi”というサービスをリリースして全国に広げている所ですが
 それを更に拡大させたいと思っています。
 具体的には“Musubi”の
 “患者さんにとっての価値を出しながら薬局業務を効率化する”
 という目的に一緒に向かっていけるメンバーを
 一気に増やしていきたいというのが1点。
 あとは、新規事業を立ち上げたく
 薬局の外にいる患者さんでも薬剤師に相談できたり、
 利便性高くお薬が手に入ったりという世界が実現できたら面白いと思っているので
 どんどん立ち上げられるよう26億円の資金調達をしました。
 人材に積極的に投資しているので、
 優秀な人が集まるようになってきたのではないかと思っています。」

最後に、これからの夢を教えて下さい!

「すべての患者さんが利便性高く安心できる医療体験は
 本当に実現したいと思っています。
 現状、医療従事者は夜中も呼び出されたりとすごく大変。
 お医者さんにも薬剤師さんにも負担のない形で 
 患者さんの利便性を高めながら、より安心できる状態を
高齢化社会と言われている日本で作ることができれば
 自分の人生として生きた意味があったなと。
 いまは足元の事業のことを中心に考えていますけど
 いかにそういう状態を早く作れるか考えて生きています。」

中尾さん、貴重なお話ありがとうございました!
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