2024.04.23
話し方教育を義務教育に
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週のゲストは先週に引き続き、株式会社カエカ 代表取締役で、スピーチライターの千葉佳織さんです。お願いします。
千葉佳織さんは1994年生まれ、札幌市のご出身。15歳から日本語のスピーチ競技の「弁論」を始め、高校の弁論の全国大会など3度優勝されています。大学を卒業後、DeNAに入社。スピーチライティング・トレーニング業務の立ち上げに携わった後、2019年に株式会社カエカを設立。今月26日に初の著書、『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』を出されます。
今週は千葉さんのこれまでについて伺いたいと思います。弁論を始められたのが15歳ということですが、何かきっかけがあったんですか?
「元々話すことがかっこいいなと思っていたのは正直あるんですけれども、そこが本質というよりは、勉強がとにかく苦手だったんですよ。そうしたら、弁論部で全国優勝したら、早稲田か慶応に推薦でいけるいうふうに担任の先生に言われたんですよ。じゃあ勉強しないで弁論やろうと、一発逆転しようって決めて最初始めたんです。」
お話自体は好きだったんですか?
「そんなに上手くはなくて、例えば面接で20秒質問回答止まってしまうとか、結構緊張してしまう人ではあったんですけど、人がやってないことに頑張った方が、もしかすると可能性があるかもしれないというマイナーなものをやってみようという気持ちで始めましたね。」
そもそも高校の弁論の全国大会というのが出たことがないのでわからない部分も多いんですけど、どんな大会なんですか。
「そうですね、お話の内容をまず7分間で自分で考えます。取材をして社会的な背景とか自分の意見をまとめます。全部頭の中に入れます。暗記をします。そして当日、綺麗な話し方も含めて発表すると審査員8名ぐらいの方がそこに点数をつけるという競技なんです。」
これは出場者は何人ぐらい出るんですか?
「全国大会ですと大体16人の方が本戦に出場して、皆さん発表するというような感じです。高校生の部は高1から高3、あとは社会人の部というのもあります。」
弁論とか人前で喋るというお仕事だったら、例えば大学に入ってアナウンサーさんを目指すというのも選択肢としてはあったのかなと思うんですけどいかがですか?
「目指したんですけど私になれなかったんですよ。アナウンサーになるということ自体すごく狭き門で、自分も目指したんですけど慣れなかったので、一般企業に勤めるっていうような流れになりました。そこで入ったDeNAというインターネットの企業で、これまで自分はたくさん話し方に触れてきたけれども、実際のビジネスマンって意外と話し方うまくできないというような状況がわかったんですよ。せっかくいろいろ勉強してきた私だからこそできることをやろうと思って、DeNA内でスピーチライタートレーナーという仕事を始めて、立ち上げを行いました。」
DeNAにはそういう仕事はなかったんですか?
「ありませんでした。なのでもう社長に直接、こういうことやりたいんですけどというふうに新卒2年目のときに偉そうにプレゼンをしに行ったら、いい会社なので、人事部の中でプロジェクトを自分で自由に作ってやっていいですよというふうに言ってもらいました。」
そういったお仕事されていく中で、独立して起業しようと思うようになったきっかけは何だったんですか?
「そうですね、やっぱり自分の人生何やりたいかっていうのを1から見つめ直したんですよね。そうなったときにやっぱり自分の人生を助けてくれたのは、弁論を含めて話し方の学習だったなと。なのでこれを世の中に残せることが私の一番の幸せだなというふうに思って、思いきり独立しました。」
このジャンルって日本ではそんなに大きいジャンルではないじゃないですか。それを仕事にして起業というのは結構勇気が必要じゃなかったですか?
「そうですねかなり必要でしたね。なので元々やっていたお仕事を副業としても外部で仕事をしながら、ここだったらビジネスチャンスがありそうっていうところですね。一応自分で模索をしながら起業したという段階は踏みましたね。」
ちなみにそういうプロジェクトを起業してやるんだと言ったときの周りの反応とかはどうだったんですか?
「話し方で起業って何?っていう感じでしたね。いやそんなのって別にビジネスチャンスとかないんじゃない?とか、そういう意見が結構多かったですね。」
今では実際にお客さんもいらっしゃるわけなんですが、そういう会社をやられてる目線から、今の政治家さんとかは、スピーチ力に関してどう感じますか?
「もっと鍛えていただきたいと率直に思いますね。実際政治家の方も、かなり最近私達のサービスをご利用いただける機会が増えてきたんですね。元々は何だかスピーチライターとかトレーナーつけると自分の言葉じゃなさそうだよね、という空気があったんですけれども、やっぱり世の中の流れ的に、失言が取り沙汰されるようになるとかそういうのもあって、徐々にお問い合わせが増えてきていて、あとは使ってくれたっていうことを外部に公開してくれるような政治家さんも増えてきました。」
人の力を借りて私はスピーチの届け方を勉強してるんですと言うのは恥ずかしいことじゃないっていうふうに思い始めてくれてるわけですよね。
「そうなんです。むしろ、そういうパートナーをつけて言葉を考えるぐらい有権者のことを考えてますよっていうポジティブな側面の方が多いよねっていうふうに思っていただけるようになりました。」
せっかくだから簡単なテクニックみたいな、今日聞いてくださってる皆さんもこういうことをすると、ちょっとよく聞こえるよみたいなことは何かありますか?
「そうですね、わかりやすい観点で話し方のご紹介をしてみようかなと思うんですけれども、『重要な伝えたい言葉は0.8倍速で話す』これちょっとご紹介したいんですよね。すでに実践されているかもしれないんですけれども、言いたいワードだけ少しゆっくりします。すると内容がそこが目立って聞こえるので、ご自分のお名前とか重要なワードというのは少しゆっくりめに相手に伝えようとすることが重要だったりします。」
千葉さんは今週金曜日、4月26日に初の著書『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』を刊行されます。こちらはどんな内容になってますか?
「これまで私達の会社では5000名の方の話し方のトレーニングというのを行ってきたんですけれども、そのノウハウが凝縮された12万字超のボリュームの1冊となっています。話し方を内容構築の部分とか抑揚とか、一つ一つ分解をして体系的にお届けしていますので、ビジネスシーンなどいろいろとご利用いただけると思います。」
最後にこれからの夢を教えてください。
「私達は話し方教育というのを義務教育にしたいと思っています。より多くの日本人の方が言葉を磨いて、社会が良くなる状態を目指していきたいです。」
株式会社カエカの千葉佳織さんでした。ありがとうございました。