2025.12.09
自動化ロボットで世の中を便利に
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週と来週のゲストは、株式会社New Innovations代表取締役の中尾 渓人さんです。中尾 渓人さんは、1999年、和歌山県のお生まれ。14歳のとき『ロボカップジュニア』世界大会で入賞。高校在学中の2018年にNew Innovationsを設立されています。
14歳で世界大会入賞というのもすごいんですが、1999年生まれということでまだお若いのもすごいですよね。その14歳の時に入賞した「ロボカップジュニア」というのはどういう大会なんでしょうか。
「ロボットを人間がリモコンで操作する、いわゆる「ロボコン」と呼ばれるものとはちょっと違いまして、予め書いたプログラム・アルゴリズムに従ってロボットが自動で動く自律型と呼ばれるロボット同士で争う大会になります。自分はサッカーの種目にずっと出ていまして、ロボット同士が2対2でサッカーをするというものでした。」
そもそもロボットはいつから作り始めていたんですか?
「5歳ぐらいの時から工作が好きで、ちゃんとプログラムを書いて動くロボットでいうと、小学校四年生ぐらいから作り始めました。」
すごいですね!でも、ロボットって作るのにお金かかりませんか?
「そうですね。もちろんお金はかかります。最初お金がない時はロボットを作るためのお金が欲しいと思うんですが、ちょっとロボットにお金をかけられるようになると、「お金じゃない技術だ」となって、そこにこだわるとまたお金が必要になるというループですね(笑)。」
結局のところ、どちらも大事ってことですよね。
子どものころっていろいろほしいものがいっぱいあると思うんですが、そんな中でもロボットにお金をかけたかったんですか?
「ですね。この会社の成り立ちにも関係してくるんですが、当時はロボットの試合に勝つためにお金が必要で、お金を稼ごうというところでフリーのエンジニアとして働いていました。」
高校在学中に、起業されるというのはなかなか周りにもいなかったと思うんですが、やはり資金面で課題があったから会社を作ったというのもあったんですか?
「そうですね。元々ロボットの大会に出ていて、その大会のためにお金が必要ということで、フリーのエンジニアとしていろいろホームページを作らせてもらったりと、いろいろな仕事をさせていただいて、それが会社になって現在に至るという成り立ちでした。」
高校生ということで勉強の方も大変じゃなかったですか?
「そうですね。自分は勉強があまり好きじゃなかったので、こっちをやろうと思った形ですね。」
これも立派な勉強の一つではあると思うんですが、親御さんのリアクションはどうだったんですか?
「すごい親だったので、あまり心配といった感じはなかったんじゃないかなと思っています。応援してくれていたと思います。」
New Innovationsの事業内容というのもぜひ教えてください。
「子どものころから変わらずロボットを作っていまして、主に飲食業界と小売業界のお客様、チェーン店様に対して厨房で動くような自動調理ロボットを作ったり、「root C」というコーヒーの無人販売機のようなスマートコーヒースタンドと呼んでいるものを作ったりしています。」
調理ロボットで具体的にどういったものを作ってくれるんですか?
「調理ロボットは、ハンバーガーを自動で調理したり、かき氷を自動で盛り付けたりといったものを作っています。」
画像を見ると冷蔵庫のような形をしていて家電のようにも見えますね。
「例えば今ある世界初の極小スペースに対応したハンバーガー全自動調理ロボット「Burger Cooker」という製品があるんですが、見た目は冷蔵庫みたいな形で、中で勝手にハンバーガーを作ってくれるというロボットです。基本的に弊社は汎用ロボットをあまり扱っていなくて、専用ロボットと言われるようなものを中心に扱っています。なぜこうなっているかというと、やっぱりチェーン店のお客様が多いので、今ある厨房レイアウトとの互換性を保ち、元の形をいかに崩さずできるかというところで、大体大きな冷凍庫、冷蔵庫を 1、2台どかして弊社のロボットを入れるという形になることが多いです。そのため、結果的にサイズ感が冷蔵庫っぽくなっていくんです。」
僕の先入観かもしれないですが、僕が知っているロボットって手足があって動いているというイメージだったんですが、これはロボットと言えるんでしょうか?調理器とは違うんですか?
「調理器でありたいとは思っています。ただ、いわゆる従来の調理器だと調理しきれないものを僕たちは扱っています。それは何かというと、単一工程と言われる個の何か作業や手順だけのものは自動化されているんですが、そうではない複合工程があるようなロボットを得意としているという感じですね。」
これも一応ロボットという扱いになるんですか?
「なりますね。 箱に入っているが、中身はロボットという形で、いわゆる半閉鎖空間における自動化というのをやっています。」
この冷蔵庫のような見た目の箱の中でどうやって作るんでしょうか?
「中に材料がセットされていて、この機械の中で生肉を焼くといったことはやらなくて、基本的にはうちのどのロボットも材料がセットされていて、そしてそれを組み立てるというところを担当するようなロボットが多いです。」
例えばバーガーだったら、玉ねぎ、レタス、肉、ケチャップ、バンズといった材料だけは提供して、あとはそれを全部ロボットが順番通り組み立ててハンバーガーにして、包装までまでして完成させてくれるということなんですね。そのプロセスがロボットに任せられるだけで、どれだけの人件費が減るんだろうって考えるとすごく便利ですよね。接客にも集中できますしね。
スマートコーヒースタンドというものも気になるんですが、これはどういった特徴があるんですか?
「美味しいコーヒーをお客様の来店時間に合わせて、お客様一人ずつ一杯ずつひいて提供するという、カフェのコーヒーの品質に振り切ったような自動化ソリューションですね。」
なるほど!じゃあアプリで事前にオーダーしておいて、着いたらパッと取って淹れたてのコーヒーを飲めるということなんですね。それはうれしいですね!
やっぱり駅とか、そういった需要のあるところに置くんですか?
「そうですね、ちょうど先月からオープンしたStarbucks Coffee Japanさんが日本で始めて新横浜駅のホーム上にオープンしたスタバのホーム店舗があるんですけれども、そこで弊社のroot Cをご採用いただいていまして、実は毎日root Cが動いているんです。」
実際に利用された方からはどんな感想が届いていますか?
「めちゃくちゃ美味しいといううれしい感想をいただいています。」
このroot Cは先ほどのBurger Cookerよりもっと大型ですよね。
「そうですね。だいたい自動販売機二台横に並べたぐらいの大きさですね。」
コーヒーの種類っていろいろ選べるんですか?
「そうですね。場所によって、店舗によって違うんですけれども、8種類ある店舗があったり、機械によって選べるメニューがいろいろあります。」
すごいですね!聞いていると調理や飲食系のロボットはこれからどんどん出てくるのかなと思うんですが、例えばチャーハンを自動で作ってくれるロボットみたいな動画を見たことがあるんですが、複雑な調理をロボット化するというのはどこまで可能だと思いますか?
「可能かということと、事業として成り立つかというところは、結構ラインが違うかなと思っています。調理のペースを人間よりだいぶ遅く、ゆっくり作っていいのであれば、定食のような複雑な料理って作れると思うんですが、 ただ、それだとあまり自動化するメリットがなく、利用・導入する会社さんが出ないということで現実的ではないです。やっぱりファストフードと言われる業界や、ボーダレスで国を越えて料理の名前を言ったときに大体どの国の人も想像する見た目が同じような食べ物は、自動化が十分にできる対象かなと思っています。」
大阪万博でも話題になった人間洗濯機ってありましたよね。あれも要は人間を洗ってくれるロボットだと思うんですが、ああいったものも未来には全然あり得ますか?
「あり得ると思いますし、ちょっと僕は欲しいなって思いますね。」
最後に、これまで乗り越えてきたハードルを教えてください。
「昔ロボットのテストをやろうという時に、部品が届かずにもう間に合わないということで、もう現地、その場に部品を配送業者の人に届けてもらって、その場で組み付けて翌日から作業するといったことがありました。当時は大変でしたが、今思えばめちゃくちゃ楽しかったですし、一緒に作業していたみんなと今も仕事ができているのは良かったかなと思います。」






20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、





