このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。
これまで様々な業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を紹介してきましたが、どの企業も今、DXの導入・推進に力を入れています。そのDXや働き方改革など、企業が抱えている多くの課題解決に活用されているのが、「コンテンツクラウド」です。
コンテンツクラウドとは、インターネット経由で利用できて、容量の問題やバックアップに手間をかけず、企業内にあふれるコンテンツを一元化し、外部とのコラボレーションを促進するシステムのことを言います。
今回は、この「コンテンツクラウド」とは何か?
コンテンツクラウドが解決する企業の課題やメリットについて、株式会社Box Japan 代表取締役社長の古市克典さんにお話を伺いました。
まずは、「コンテンツクラウド」とは何なのか、働き方改革やDXに必要な理由について伺いました。
「私たちが日々の仕事の中で取り扱うデータの中には、構造化データと非構造化データの2種類があります。構造化データというのは、財務情報とか機械の稼働時間など、通常、表形式のデータベースやデータデータウェアハウスで管理されています。一方、非構造化データというのは、文書や画像、動画、図面などのデータで、これが一般にコンテンツと呼ばれます。
この社内に散らばる様々なコンテンツを一元管理する仕組みがコンテンツクラウドです。
いわゆる構造化データ、こっちの管理や分析には、実はいろんなハードウェア、ソフトウェアシステムが開発されて、全社でこの構造化データは活用されているんです。
ところが、このいわゆるコンテンツ、非構造化データコンテンツの社内活用は著しく遅れていまして、せいぜい個人単位か、部単位での利活用にとどまっています。いわゆる働き方改革で生産性を上げるには、コンテンツの全社活用を飛躍的に高めるコンテンツクラウドがとても必要です」
コンテンツクラウドは社内に散らばる様々なコンテンツを一元管理して、社員全員がそれぞれの権限に基づき、社内のすべてのコンテンツを結合、編集できるようにする仕組みで、DXに取り組む第一歩としては必須のITシステムということでした。
また、Boxではセキュリティーには力を入れていて、そのクオリティの高さが、1万5700社もの企業がBoxを導入している大きな理由のひとつとのことでした。
さらにBoxには、こんなメリットもあるそうです。
「最近よく聞くのが、いわゆる生成AIというものです。この生成AIは私たちの働き方を大きく変えようとしていますが、生成AIはコンテンツクラウドととても相性が良いんです。これまでコンテンツクラウドで、コンテンツを一元管理して、社内での利活用がぐんと進みました。ただ、この時は人の認知能力の範囲内でやっているんです。ところが生成AIになると、この限界が取り払えます。そうなると、構造化データを活用しているのと同じくらいか、それ以上のレベルで、非構造化データ、コンテンツが社内でフル活用されるようになります。さらにいうと、コンテンツは企業内データの9割を占めるわけですので、飛躍的な生産性の向上が期待できると考えています」
そういったメリットから最近は企業だけでなく、オンライン学習など、BOXを利用する大学も増えているそうです。
最後に、古市社長に今後の展開について伺いました。
「日本法人を設立してからの10年間で、IT活用に先進的な企業や、セキュリティーに敏感な企業はかなり積極的にBOXを導入してくれました。とはいえ、日本におけるクラウドサービスの活用は欧米に比べてかなり遅れているようなイメージを持っています。
仕事柄、米国企業とよく話しますが、米国企業の皆さんは、ほぼ全てがクラウドサービスを活用していて、生産性とセキュリティ向上させていると感じます。一方日本企業は、クラウドサービスを活用しているのは半分くらいで、自社専用に開発したITシステムを、自社のファイルサーバーで運用している会社がまだまだ多いと思っています。このクラウドサービス導入に慎重な、保守的な企業の皆様に、大事なコンテンツをBOXに預けても大丈夫です。セキュリティーだけではなく、生産性も向上します、ということをしっかり伝えていきたいと思っています」
古市さん、貴重なお話、ありがとうございました。
2023
10.16
コンテンツクラウドが働き方改革やDXに必要な理由