このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。
おととし、千葉県八街市でトラックが小学生の列に突っ込み、児童5人が死傷した事故、ニュースでも大きく取り上げられたので記憶に残っている方も多いと思います。警察庁のまとめによると、登下校中の事故で死亡したり重傷を負ったりした児童の数は、2018年から 2022年の5年間で766人にのぼっています。
八街市の事故を受け、全国の自治体で通学路の見直しや安全対策が進んでいますが、時間や費用の問題から、まだまだ全ての道路をカバーするには至っていません。
そうしたなか、横浜市ではGoogleマップを活用した“こども・交通事故データマップ”を公開、事故防止に取り組んでいます。
今回は、この取り組みを行っている横浜市道路局 総務部 交通安全・自転車政策課の松村美貴さんにお話を伺いました。
引用:Googleマップ
まずは、“こども・交通事故データマップ”の概要についてお聞きしました。
「こども・交通事故データマップは、神奈川県警察が保有している交通事故データのうち、2017年から横浜市内で小学生・中学生が関係した交通事故約2,500件を
Googleマップのマイマップ機能を利用して、データを落とし込んでいるマップです。マップを開くと、横浜市のどこで小学生・中学生が交通事故にあっているのか、「小」・「中」のアイコンで確認することができます。
このアイコンをクリックすると、交通事故の詳しい情報を見ることができ、発生月や時間帯、曜日など「いつ」交通事故が発生したのか、発生場所は「どこ」なのか、また、天候は晴れ・曇り・雨のどれだったのか、当時、どのような状況の交通事故だったのかイメージできる内容になっています。また、一部の端末によっては、マップからGoogleストリートビューにつなげて確認することができるため、現場に行かなくても、その土地の様子を見ることができます」
では、現場では具体的にどのように使われているのでしょうか?
「“こども・交通事故データマップ”は、現在、小学校・保護者と行政で実施する通学路の安全点検のときや街頭で見守り活動を行う際の実施場所の見直しなど、主に学校での交通安全活動で活用しています。また、小学校の授業でマップを活用し、実際にどこで・どんな交通事故が起きているのか、子どもたちと一緒に分析しながら、自分が交通事故に遭わないため・起こさないためにどんな行動をしたらよいのか考える授業を行いました。
“こども・交通事故データマップ”は、どなたでも利用できるものになります。ぜひ、ご家庭でもマップをご覧いただき、交通事故が発生しているところはないか、実際に交通事故が発生した場所は、事故が起きやすい場所でもあるので、しっかりと安全な行動につなげていただきたいと思います」
実際にデータマップを使ってみた利用者からは、こんな反応もあったそうです。
「先日、横浜市内の小学校で、この“こども・交通事故データマップ”を使った交通安全の授業を行ったのですが、子どもたちがマップを初めて見た時の感想として「真っ赤、真っ赤」と言ってくれたのがとても印象的でした。たしかに、マップのアイコンの色を赤色にしているので、マップ開いたとき、横浜市中が赤く表示されるんです。子どもたちの印象としては、「こんなに横浜市中が赤く表示されてしまっている、たくさん交通事故が発生していて大変だ、とても危ない」と、捉えてくれたようでした。
横浜市は今まで、交通事故の件数のみしかお伝えできていなくて、小中学生が関係する交通事故は、2017年から2021年の5年で約2,500件も発生してしまっていますよとだけ伝えても、数字だけでは多いのか少ないのかなかなかイメージしにくかったと思います。今回、初めてマップに落とし込んでみて、横浜市内でどれくらい交通事故が発生したのか、子どもたちに印象深く伝えることができて「交通事故の見える化」をした意味があったなと思ったエピソードでした」
最後に、今後の目標として松村さんはこのようなお話をされていました。
「マップを公開して1年目になりますので、まずはマップの利用回数100万回達成を目指して、皆様にご活用いただけるよう、周知を行っていきたいと思います。また、マップを利用したいと、皆様に思っていただけるよう、利用者目線を大切に取り入れながら運営を心がけて、マップの改善などにつなげていきたいと思います」
松村さん、貴重なお話、ありがとうございました。
2023
10.02
横浜市が公開している「こども・交通事故データマップ」