このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。
これから秋にかけては、台風や豪雨など風水害が多く発生するシーズン。毎年、洪水や土砂災害の被害が発生、ニュースでも大きく取り上げられています。
そうしたなか、ドローンによる地図の作成が、大規模災害の救助活動には欠かせない作業になっていて、現在、全国の消防本部のおよそ6割が導入しているそうです。
そこで今朝は、災害時に飛行機型ドローンを飛ばし、被災状況を高速撮影し、撮影した地図データを国や消防などに提供、救助活動の後方支援を行っているNPO法人クライシスマッパーズ・ジャパンの理事長、古橋大地さんにお話を伺いました。
まずは、クライシスマッパーズ・ジャパンの具体的な活動内容について伺いました。
「災害が起きた時に、我々災害協定はもうすでに自治体と連携していますので、その自治体に迅速にドローンを持ち込んで、素早く航空写真を撮るということを最初に行います。
撮影された航空写真を元に、今度はそれをインターネット上に公開していくという処理を行っていくのですが、公開することによってインターネット越しに我々の撮影した航空写真は誰でも受け取れますので、この航空写真を背景にしながら街がこうなったということを、今は人間の目で分析して、それを地図に反映させていくということをやっています。
最近はAIの技術も進歩してきていますので、そういったAIの力も借りながら、我々が撮影した航空写真を地図に起こしていく作業というものはだんだんとコンピューターと共同作業になってきているかなと思っています」
この地図のメリットや必要性について、さらに古橋さんに伺いました。
「復旧復興作業でも、ここに穴が開いたとか、ここの道路が使えなくなった、どのぐらいその道路が陥没したのかということを考えて、工事関係者や復旧復興作業に関わる人たちも、そこに駆けつけるためにどういった資材が必要なのか、僕らが連携している国境なき医師団や赤十字の人たちは、その集落に何人、人が住んでいるから、どのぐらい医薬品や衣料品を持っていかないといけないのかということを、ある程度推定した上で現場に行かないと役に立たないわけです。
そういった定量的な分析というものができる地図とできない地図では圧倒的な差があるんですけれども、現場で活動している人たちを支える基礎的な情報としてのデジタルの地図というのも、いろんな場面で必要になってくるはずです」
気になる個人情報の問題についても伺いました。
「もちろん僕らのデータそのものの撮影方法に関しては、各自治体の個人情報審議会というのにかけてもらって、こういったやり方で公開しますよということで承認を得ているものなので、プライバシーの問題はないこと前提でやっています。
逆にいうと、プライバシーと意識されるところというのは、多分ドローンの動画を大体高度50メートルぐらいから斜めに撮影するような映像が仮に公開されると、それは結構プライバシー・個人情報に関わる情報が映ると思いますが、僕らは上空100メートルから真下に向けてカメラを向けて、写真を数百枚、数千枚ただひたすら撮ってくるんですね。
なので、人の頭しか映らなくて顔の表面は映らないので、こういった撮り方であればプライバシーの問題は起きにくい、いうことでチェックをしてもらっています。
ですので、ドローンが全て大丈夫かというと、やはり撮り方はすごくシリアスに効いてくるところもありますので、我々のスキルで、そういった問題が起きないように工夫して撮影していることは事実ではあります」
今後の展開について伺ったところ、災害時に古橋さんたちが重要視しているのは、オフラインで使える地図サービスなんだそうです。
インターネットはいつでも繋がるようでいて、やはり災害が起きた時、つながりにくかったり、電源も含めてインフラが破壊されることはよくあるので、そういった状況下でも素早く自分たちの地図データをオフライン環境でもちゃんと受け取ってもらえるような技術作りを進めているとのことでした。
古橋さん、貴重なお話、ありがとうございました。
2023
08.07
ドローンを使った災害地図作成の取り組み