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このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
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2023 05.22
青森県の弘前大学が進めている「AI津軽弁プロジェクト」

このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。

方言の中でも聞き取りが難しいとされるのが津軽弁ですが、青森県の弘前大学では今、AIを活用した津軽弁を翻訳するシステムの開発に取り組んでいます。

東北地方などの方言の特徴は、文字が短縮されるところ。例えば、「け」という言葉だけでいろんな意味があります。「食べなさい」「食べていい」「かゆい」というのも「け」になりますし、心配というのも「け」と言ったりします。
数ある方言の中でも難しいと言われる津軽弁。その翻訳システムの開発の背景には、いろいろと事情があるようなんです。

そこで今回は、この開発の取り組んでいる弘前大学大学院 理工学研究科教授の今井雅さんにお話を伺いました。

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まずは、開発の背景についてお聞きください。

「もともとは、東北電力との共同研究から始まっておりまして、東北電力の方で、コールセンターにかかってきた電話が津軽弁で喋られていて、コールセンターを受ける方が何を言っているかわからないというところで、それを文字化できないかという依頼がありまして、文字化にまず取り組んだというのがあります。ある程度文字化ができるということが分かったんですけれども、そこから津軽弁をコールセンターだったり、お医者さんだったりというところが、なかなか津軽出身でないとわからないということで、それをなんとかしなければならないと、このプロジェクトが始まったという感じですね。
医療現場だったり介護現場だったり、そういうところで津軽出身ではないお医者さん、看護師の方が津軽出身の方からの症状として、津軽弁でどういうところが痛いとか、(例えば)津軽弁だと、「かかと」が「あぐど」という言葉になってしまうので、全然違う言葉になってしまい、どこが痛いのかというのがわからないというようなことがありまして、それをAIを使ってなんとか共通語にできないかと、進めているわけですね」

青森県でも人口の減少と介護人材不足が深刻で、実習生や留学生など外国の方が介護現場で働くケースが増えているそうです。まだ、開発途中ということですが、こういったシステムをめざしているそうです。

「まず、AIとしては2種類ありまして、津軽弁の音声を津軽弁の文章にするという音声認識にかかるAI、それと、津軽弁の文章を共通語のテキストに変換するAIとして2種類それぞれ開発に取り組んでいるというところになります。
アプリ化までできればいいんですけれども、最終的に目指すところとしてはそこだとしても、今開発しようとしているのは、透明なディスプレイがありまして、患者さんと医者が対面して、そのディスプレイを中間に置いて、お互いに医者側から見ると共通語になっていて、患者側から見ると津軽弁のテキストが出ていると、そういうシステムができないかということで、システム化は取り組んでいる形ですね」

開発で難しいのは音声認識だそうで、区切りをどこに取るかというところがなかなか難しいそうです。英語だと単語、単語で分かれていて、間にスペースが入っているので、それぞれわかりやすいのですが、日本語の文章は句読点はあるものの、文章自体はずらずらと続いていて、単語単語に分かれていないということで、まず文書を単語単語に分ける作業が大変なんだそうです。

最後に、冒頭で開発の背景として医療・介護現場での活用のお話を紹介しましたが、今回のプロジェクトには、こういった背景もあるそうです。

「やはり高齢の方の使われる津軽弁と若者が使う津軽弁というのは異なっていると。若者はお年寄りの言っている津軽弁がわかるんですけれども、自分はもう言わない、そういう使い方をしないということが結構ありまして。昔からある津軽弁、古くからある津軽弁というのがどんどん消えていくような状況になっているんですね。辞書などを調べるといっぱい単語が出てくるんですけれども、これを実際に使われているかというと、津軽弁の音声を収集して照らし合わせてみると、なかなか使われていないなというところもありまして。そういう意味で言うと、津軽弁の昔からある津軽文化がどんどん消えていくという懸念もあるので、この津軽弁を主体としたそういう津軽文化をちゃんと残そうと、アーカイブ化して残そうという意味でも、このプロジェクトに取り組んでいるところになります」

今井さん、貴重なお話、ありがとうございました。 

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