このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。
ウォーキングアプリは、コロナ禍での運動不足解消や健康意識の高まりから人気を集め、最近では歩くだけでなく自転車や自動車、電車など様々な移動手段での移動に対してポイントが貯まるアプリも登場し、注目を集めています。
そこで今朝は、移動するだけでポイントが貯まる移動系アプリについて取り上げました。
お話を伺ったのは、去年12月からモバイルアプリサービス「ANA Pocket」を提供しているANA X株式会社 事業開発部 イノベーション企画チームの廣岡理奈さんです。
廣岡さんによると、ANA Pocketはスマートフォンの位置情報からAIが移動手段を自動で割り出し、その距離に応じてポイントを付与します。
健康や環境に配慮した移動ほどポイントが高く、例えば1キロの移動では、徒歩だと50ポイント。電車なら8ポイント、車は6ポイントになるそうです。
そんなANA Pocketの開発にはこんな経緯と目的があったそうです。
「新型コロナウイルスが影響して人々が行動する時に航空事業というのが大きく変化したということから、これまでANAグループが取り組んできた非日常の領域に加えて移動という日常領域においても人々の生活だったり人生を豊かにするということと、
あとは地域活性化ですとか、エコな移動への行動変容機会を提供したいという思いからANA Pocketの提供を開始することを決めて開発を進めています。
やはりコロナを通して人が移動しづらくなったという影響もあったと思うんですが、そんな中でも日常の移動というもの少しでもワクワク感だったり楽しみだったりを見出していただきたいという思いもあって企画をさせていただきました」
ANA Pocketとはどんなアプリなのでしょうか?
「ANA Pocketは日常生活での移動ですとか、あとはチャレンジというゲーム型のミッションに参加していただくことによってポイントが貯まるというシンプルなアプリです。
そのポイントはガチャを通して特典だったり、マイルやスカイコインに変えられるというものになっています。
ウォーキングアプリだと単に移動の歩数をカウントしたりということだと思うんですが、ANA Pocketの特長としてはチャレンジという機能だったり、ポイントを特典に交換する時のガチャだったり、使っていただく方の思考だったりライフスタイルに合わせていろんなゲーム要素だったり仕掛けを用意していることかと思います。
例えば、チャレンジについては今も表示をしていますが、混雑回避でポイントが貯まるというチャレンジ企画を行っていて、コロナ禍ならではの行動変容をすることで、さらにポイントも貯まるといったようなそういう楽しみ方ができることもひとつですね。
あと、ANAならではの特典としては、貯まったポイントをスカイコインやマイルに交換することで、将来の旅行に使うことができるというのもひとつかなと思います。
ANA Pocketは他にも、こんな効果やメリットがあるそうです。
「社会課題としては、行動変容を促せるという点で大きく2つあると思っています。一つ目は現代人の健康だったりエコに対する意識向上に貢献できるというところです。
例えば、在宅勤務などで今、健康被害等も予想されているなかで、徒歩を促すチャレンジなどを設定することによって、一日中家に居るのではなくて少し運動してみようとか散歩に行ってみようとか、きっかけとか習慣づくりにつながります。実際、まん延防止期間中にスタートした徒歩のチャレンジについては約一ケ月で100万回を超えるエントリーがありました。
あとはエコという観点からは普段自動車での移動区間もポイントが付与率が高い徒歩に変えようとか、そういった行動を促すことができますので、エコの観点を普段の生活から意識してもらえるきっかけになればなと思っています。
あと大きな二つ目としては、日本の地方創生の貢献もできると思っていまして、現在もいくつかの自治体との連携を進めていますがアプリを通して観光地だったり、逆に過疎化した地域への誘客を実施したりですとか、行ってみたいな面白いなと思ってもらえるスポットを紹介するプラットフォームとしても期待していただければと思います」
利用者の反応について廣岡さんに伺ったところ、毎日アプリを開いている人が全体の40%を超えていて、毎日使用されているのが大きな特長だそうです。
使い方としては、1日の移動を振り返るとか日々の生活に寄り添った形で使っている方がどんどん増えていって欲しいとお話されていました。そして、今後の展開についてはこんなお話をされていました。
「意外とこういうアプリによって人の行動が変わるんだなと改めて感じています。実際のチャレンジのエントリー数を通しても、かなりの人がこれをきっかけに動いてくださったということが実際の数字としても出ていますし、あとは普段の移動振り返るきっかけになっているのかなと思うので、そういった面でいろんな使い方ができるなという幅にかなり期待をしています。
今後はチャレンジですとか、これから開発していく機能を活用して誘客だったりデータを活用して地域活性化など、具体的な他のサービスとの連携も含めて機能拡張していけたらなと思っています。あとはさらに楽しんでいただけるように、充実したクーポンのラインナップですとかあとは毎日さらに開けたくなるような使いたくなるようなアプリの工夫などを展開していければなと思っています」
行動変容や地方創生などにも活用できるというのは驚きでした。そう考えると、これからいろんな形での活用が広がっていきそうですね。今後どんな企画や活用が登場するのか、楽しみです。
廣岡さん、貴重なお話、ありがとうございました。
2022
03.28
今注目を集めている移動系アプリ「ANA Pocket」