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このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
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2022 01.17
GPS活用した海洋ごみ調査船ロボット

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このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。

今年4月から、プラスチック新法案が施行されますが、海洋ごみは地球規模で拡大していて2050年までに海洋中のプラスチックが魚の総重量を上回るという試算もあります。
陸から海に流れ出すプラスチックごみは、少なくとも年間約800万トンと言われていて、海中を漂っている間に細かく砕けてマイクロプラスチックになります。
それを魚などが取り込むと言われています。
そんななか開発されたのが、GPSを活用して自立航行できる「海洋ごみ調査船ロボット」なんです。
これまで目視などで実施していた海洋ごみの実態調査の効率化を図ろうと開発されました。

そこで今朝は、この調査船ロボットを開発し、実証実験に成功した長崎大学 副学長の山本郁夫教授にお話を伺いました。

まずは、開発の経緯についてです。
「2020年初期なんですけど対馬に行きまして松島海岸での漂着ごみの多さに衝撃を受けました。これをなんとかしないといけないと思いました。
私はのロボットの開発をしておりますので飛行ロボット、ドローンのようなもので漂着ごみを撮影して種類や分量をAI 解析などして、
そういったゴミがどれぐらいの量どこから来るのかを検討していたんですが、飛行ロボットを飛ばしておりますと、人の行けない海岸にもたくさん漂着ごみがあることが分かって、
こういったものをずっと自立自動で調べていかないといけないと思うことで船ロボットで活用しようと思ったのが開発の発端です」

ロボットにはのこんなメリットもあるそうです。
「ひとつは無人で走るということですね。人がその船に乗って計測すると、それだけ労力もかかりますし、気象条件が悪い時に計測すると結構リスクがありますが、
ロボットにするといろんな気象条件でも定期的に計測できるんですね。今まで対馬の西岸(阿連、小茂田)や東岸(美津島、黒島)などゴミが集まりやすい所ってのがいくつかあるんですけど、
例えば美津島とか黒島ですね、そういうところで自律航走させました。ポイントは設定された航路に従って海中・海上のゴミを安全に撮影できるといったところですね。そういうところがメリットになります」

調査船ロボットは、長さ1.4メートル、幅1.1メートルで重さは30キロ。バッテリーで約4時間稼働し、最速で時速10キロ程度で航行できます。
調査範囲を指定するとGPSを駆使して自立航行し、1キロの範囲で遠隔操作が可能。調査船には360度観測できる水上カメラだけでなく、海中カメラを備えた小型ロボットを搭載。
遠隔操作で船から分離して海中を自由に動き、撮影した画像や映像をリアルタイムで地上へ送ることができます。

実は水中を撮影することで、とても大事なことがわかるそうなんです。
「まだあまり知られてない海の中の現状がわかるということが重要なんですね。意外と海の中っていうのは皆さん知ってるようで分かっていないんですね。観測することによって、そういった現状がわかる。
その次は潮流シュミレーションですね。例えばゴミがあると次にどこに流れていくか、今後のごみの行き先の予測ができるんですね。
それで、ゴミが溜まりやすい場所というのが予測できますから、いずれはゴミ回収船でゴミを効率的に回収できればいいと思っております」

すでに、気象庁気象研究所や東京大学と連携して、海洋ごみの動きを予測する研究も初めているそうです。

ロボットを開発した山本教授によると、海洋ごみは地域というより、世界的な問題の解決につながるんだそうです。海洋プラスチック採集用には、サイボットという海中からの採水船ロボットも開発していて、赤潮有害プランクトンの採水もできるそうです。
また、船に二酸化炭素を把握できるセンサーをつけて計測すれば、海の二酸化炭素吸収濃度を定量的に把握できて、地球温暖化の問題の解決にも役立つかもしれません、と話されていました。
今回ご紹介した海洋ごみ調査船ロボットは、今年中には実用化される見通しだそうです。     
使いやすいように、数多く実験をこなして改造することが必要で、今後は、ごみの多い海域での実験を進めるとのことでした。

山本教授、貴重なお話、ありがとうございました。

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