このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。
今日は、今朝は、最近、よく耳にするようになってきた「フェムテック」について、取り上げます。
フェムテックとはフィメール(女性)とテクノロジーを掛け合わせた言葉で、女性の健康課題をテクノロジーで解決していこうとするサービスやプロダクトのことをいいます。
ここ数年、国内外で注目され、日本では2020年がフェムテック元年と呼ばれていて、去年から今年にかけてムーブメントが拡大しています。
経済産業省の調査によると2025年のフェムテックによる経済効果は、年間およそ2兆円と推定されています。
今回は、女性特有の温度リズムを自動計測するヘルスケアデバイス「わたしの温度」を
開発したトッパン・フォームズ株式会社・中央研究所で「わたしの温度プロジェクト」のプロジェクト担当をしている江尻綾美さんにお話を伺いました。
まずは、「わたしの温度」とは、どんなヘルスケアデバイスなのか?
「私の温度では、いわゆる女性の月経周期に伴う悩みをサポートしていきたいということを考えていまして、月経周期に伴う女性ならではの周期的な温度の変化というものを分かりやすくするためのサービス開発が進んでおりました。
具体的には就寝中に計るということを大事にしておりまして、専用のナイトブラに取り付けられた温度計測デバイスで就寝中の温度を測り日々の計測を続けることによって、
その温度リズムを知ることができるというサービスになります。これがわかることで次の月経周期の予測や自分の体調が崩しやすい時期などが分かってきますので生活に備えて頂けることができる、このようなことを強みとしております。
特にこだわったというのは基礎体温計測ですね。この基礎体温計測を毎朝行っていた方々にとって、なかなか続けられなかったことや、
なんとなく周期的な変化を知っているけど、本当にどういう状態になっているのかわからない方々が意識しなく無理なく続けられるこういうところで夜間時に測れるところをどのように実現するかにこだわりました」
また、「わたしの温度」には、こんなメリットもあるそうです。
「今まで女性の健康だったり月経に関することは、周期的な変化として女性特有の健康問題というものは、世の中の多くの方々においてまだまだ伝えづらかったし、
当事者としてもなんとなく分かっているけれど、それが解決していくとか生活の改善につながっていくための自分でできる取り組みがあるということを知らなかった方も決して少なくはないと思うんですね。
そのなんとなく知っていたようなそういう変化というものに対して、なんとなく不調を抱えていた、でもしょうがない我慢するしかないと思っていた方々が自分のそういう周期を知っていることによって、気をつけるポイントが分かったりスケジュールの調整をしたり、
生活の改善をしていく第一歩というものを踏み出して頂くことによって、ご自身の中での今後のキャリアを築いていく、生活の質を変えていく上で本当に色々な可能性を秘めているんだろうなと思っております」
この「わたしの温度」を実際に使った方々からはこんな声も上がっているそうです。
「とにかく便利だった。計るストレスがなくなったということや、女性ならではの月経周期ですと体の温度が低い状態と高い状態に分かれてくるんですが、しっかりとグラフが安定して計れた。
それによって自分の周期が安定していることがわかったというような声も頂いております。
嬉しかった声と致しましては、製品を世の中に出す前に、実は企業の働く女性を対象にした実証実験を行ったんですね。
その3ヶ月ほど実証実験を行った結果と致しましては、自分の周期が分かったことによって例えば辛い時期にスケジュールの調整をされるとか、何か仕事の進め方を変えるだったりとか、自分をいたわる感覚でしょうか、そういった形の行動変容された方が7割ぐらいいらっしゃったということ。
そして、そういう行動を変えていくことを続けていく事によって働き方、パフォーマンスの向上が見られた方が5割ぐらいいらっしゃったということがありました。
そして、多くの働く女性におかれましては企業における購入補助や福利厚生としてぜひ入れて欲しいというお声も頂いております」
さらに、男性からは、女性の健康や月経周期に伴って心と体が変化していくことを知らなかったという声がたくさんあったそうです。
また、身近なパートナーや家族が、もしそういう状態であるのであれば、それを知ってサポートをしたいというような声もあったそうです。
最後に、フェムテックが普及することで、私たちの生活はどう変わっていくと思うか、江尻さんに伺いました。
「女性自身におかれては、やはり今まで何となく分かっていた、でもどうしていいのかわからなかったものが自分ごととして手に取るようなサービスがいろいろ出てくる中で、
自分らしく生きるためのサポートとなるツールというものを手に入れやすくなる、ひいては今までこういう問題に対して、どうしてもタブー視しがちでなかなか声を出さなかった、話しづらかった、こういうことがありましたが、
フェムテックとかそういうような言葉を通して、当事者間で話し合うだけでなく社会の中でパートナーだったり身近な方、その広がりの中で話ししやすくなるということはあるんだと思うんですね。こういうところで、お互いが理解し合える社会が広がっていく事によって全体としてこの女性の特有の問題に端を発しながら女性の活躍推進やダイバーシティというとこに広がっていくのではないかと私自身は期待をしております」
「フェムテック」をきっかけに、これまでなかなか声を上げられなかった女性の問題について、話し合ったり、理解しあえる機会がどんどん増えていくといいですね。
江尻さん、貴重なお話、ありがとうございました。
2021
10.04
女性の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」