このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介していきます。
今日は、各企業の課題となっているDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進についてご紹介しました。
最近、よく耳にするDX(デジタルトランスフォーメーション)。
一般的というか、本来の意味としては、デジタル技術を用いて、融合とか結合させて新しいビジネスとか革新的なビジネスモデルを作って付加価値を見出そうという取り組みのことを言います。
一方で、一般的な資料や業務書類を、単に電子化するようなものは、デジタイゼーションと言います。
また、この手作業でやっていた作業を電子化、システム化することで効率があがることをデジタライゼーションと言います。
こういった デジタイゼーション や デジタライゼーションは、DX、デジタルトランスフォーメーションへ繋がる入口で、DXの取り組みの一つと言われています。
つまり、DXと聞くと、デジタルを活用した新しいビジネスモデルのイメージがありますが、今までの手作業をシステム化するとか、電子化するようなこともDXなんです。
そんなDXの推進が、デジタル化が進み、働き方も変わっていく中、今、中小企業を中心とした各企業の大きな課題となっています。
そこで今朝は、企業のDX推進について、アクタスHR(エイチアール)コンサルティング株式会社・アクタス社会保険労務士法人の松澤隆志さんにお話を伺いました。
まずは、DXの推進が企業の課題になっている理由についてお聞きしました。
「2030年の推計なんですけど、今の労働力人口(働けます、働きたいでと考えている人達)は、だいたい6300万人から6400万人ぐらいに推移しています。
ところが、2030年ぐらいになると高齢化などで800万人から900万人ぐらい減るのではないかと推計されてます。
これだけ減ると、労働力として活用できる人口が急激に減っていきます。
そのことで、作業とか、定型的な業務に対して人を使ってやってもらう余力がなくなっていくのは間違いありません。
人には、ものを考えたり判断をしたり、創造的な仕事を考えたり、そういうところで活躍してもらって、
システムやロボットに代替可能なものについてはやってもらうしかない。そういう状況に間違いなくなっていきます。
そういったことから、今からデジタルシフトをどういう風にやっていくかというところが、各社の課題になっていると思います」
こういった背景から、松澤さんのところには、全国の様々な企業からたくさんのコンサルティングの依頼が来ているそうです。
そこでは、システム化できる作業の削減や、長年の歴史の中で複雑化している業務の整理、スリム化などの相談にのられているそうなんですが、
それ以外にも、こんなアドバイスもされているそうです。
「先々を踏まえて、デジタル化だとかDXだとか、その他、リモートワークや柔軟な働き方など、
そういったものを前提とした時に、なかなかフェイストゥフェイスで会う機会もない中で、
コミュニケーションを今までと同じように自然体でできるようなやり方がないかだとか、
あとは今までの働き方と変わる部分もあるので、変わることをキャッチアップするために、今の上司の考え方を変えるための研修とか、
そういったガイダンスやマニュアルの作成を依頼されることもあります。
あとは、人の評価。ボーナスの査定とか昇給の査定とか、そういったものに対して、
従来顔をつき合わせて、上司の主観みたいなところで決まっていたところをもう少し指標を明確にして、
わかりやすい制度にしていきたいっていうような、デジタルシフトを前提とした時に、
労務管理・人事評価のあり方やマネジメントの仕方っていうのをそれに合わせて変えていく必要があるが、その辺を変える作業を手伝って欲しいという依頼も多いです」
ただ、デジタルやA Iの技術が進むことで、仕事がなくなるんじゃないかと不安に思われている方も多いと思いますが、その辺の不安についても松澤に伺いました。
「そもそもこれから働き手がどんどん少なくなっていく。そういった中で、今のままで仕事をしていくとなると、法改正もあれば、システムの更新もあれば、
さらに、自社がデジタルシフトしなかったとしても他社はしていくわけであって、
そういったもののミスマッチを解消するための作業だとか、とにかく自分の仕事が、どんどん増えていきます。
なので、自分の仕事がなくなることはまずなくて、このまま放置しておくと対処しきれないぐらいにやることが増えていくので、
システムなり機械で代替できることはやらしておいた方がいいです」
今後、デジタル化が進んでA Iが人間の代わりをしてくれることで、どんどん仕事がなくなると思っていましたが、そうでもないんですね。
今回、松澤さんのお話を伺ってDXのイメージがかなり変わりました。
DXって、A IやI Tを活用したビジネススタイルだけではなくて、全ての企業の課題でもあるんですね。
松澤さん、貴重なお話、ありがとうございました。
2021
05.31
各企業の課題となっている“DXの推進”