このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。
DXの取り組みを進める自治体は増えています。そうしたなか、今回は吉本興業とソフトバンクと連携して常設メタバース空間「バーチャルやぶ」を開設している兵庫県養父市の取り組みをご紹介します。
お話は、兵庫県養父市 経営企画部 経営政策・国家戦略特区課 課長の安達一郎さんです。
まずは、常設メタバース空間「バーチャルやぶ」開設の経緯についてお聞きください。
「市内の人口が減っていく中で、どのようにして町を活性化していくかと1つの考え方として養父市以外の方で、少し養父市に関心を持ってもらったり、まちづくりに関わってもらう繋がり人口という考え方を持ちまして、その繋がり人口を拡大する方法として、インターネットや、こういうバーチャルを使ったコミュニケーションということを作るのがいいのではないかということで、まず令和4年度にVRチャットという3Dのプラットフォーム上にバーチャル養父を構築しました。
一方で、このVRチャット版のメタバースというのは、高齢化の進んでいる養父市民にとっては少し敷居が高く、使いやすいものにはならなかったという課題がありました。そうしたことを解決する方法としてスマホとかブラウザベースで動くZEP版のバーチャル養父を別途構築をして、その中で市民の方にも活用をしていただいて、市外の方とも繋がって、人口の拡大とか色々なコミュニケーション取っていただいて、養父市のまちづくりにも関わってもらえたらといったようなことで進めているところになります」
どういったメタバース空間になっているのか、具体的な内容についても伺いました。
「形としては養父市の実際の形を模したような、全体的な作りになっていまして、その中に市役所ですとか歴史のある明延鉱山、氷ノ山とか天滝とか、養父市で有名な養父神社、そうしたものを中に再現しました。あとステージエリアというのも作りまして、そこでは動画配信ができるような仕組みも作っておりまして、そうしたものも活用していただけたらなと考えております。
市役所エリアの中には、様々な方がコミュニケーションを取ってもらえるスペースですとか、あらかじめ設定したパスワードを持っている人しか入れない、会議スペースというのも作りまして、ある程度プライバシーが守られた会議ができるようなスペースも用意しております。一般の方にも使えるようにしていますので、コミュニケーションツールとして活用いただけたらという風に考えております。
観光スポットでは、情報が見れるようにウェブサイトに飛ぶことができるように、そこへ行っていただいてボタンを押してもらうと、養父市のウェブサイトに飛んだりですとか天気予報などのサイトにも飛ぶようになっております」
最後に、今後の展開について、こんなことを考えているそうです。
「アバターの方にIDを付与しまして、その方にポイントを付与して、リアルの商店ですとかそういったところで使えるようなことができれば、利用者の方にも何らか使っていただきやすいものになるかなと思っております。あと、ECサイトなんかにも飛ぶようにしたいと思っていますので、市内の事業者さんに活用いただいて、販売促進に利用いただけるような仕組みをできればと…。で、当然アバター同士で交流もできますので、お客さんと直接交流いただいて、ECサイトへのつなぎができるようなこともできればいいかなと思っております。
あと教育ツールとして、子どもたちにもアバターで入ってもらって、連携をしております吉本興業さんとかにですね、ワークショップをしていただくことも可能かと思いますので、そうしたことにも可能性があるかなと思います。
養父市民の方については、実はやっぷるIDという、養父市民1人1人固有の番号を付与しておりまして、それと連動させることで、例えばもう少し先になりますけれども、選挙であったりとか、そういう行政サービスの一部にも使えるんじゃないかなということで、そうした展開を見込んでいるところです」
安達さん、貴重なお話、ありがとうございました。
2024
01.08
兵庫県養父市が開設している常設メタバース空間「バーチャルやぶ」