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このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
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2022 02.14
画像解析による野菜等の「おいしさの見える化」技術

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このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。

食や農業の分野でもデジタル化の動き、デジタルトランスフォーメーション(DX)が広がっています。
そんななか今回は、AIを活用した「おいしさの見える化」という取り組みを紹介しました。

お話を伺ったのは、スマートフォンやタブレットで撮影した野菜や果物のおいしさを瞬時に解析し、グラフで「見える化」できるアプリを開発、「おいしさの見える化」技術の構築を掲げるマクタアメニティ株式会社の代表取締役 幕田武広さんです。
まずは「おいしさの見える化」とは、どういった技術なのか、伺いました。
「人間が視力で捉えられるものというのは RGB 光の三原色で成り立っています。それ以外のものは人間の視覚細胞では識別できません。
それが混合して多様な色になっているということが基本的な事実としてあります。人間の目から見ると赤く見えたり青く見えたり緑に見えたりなんですが、
その三つの色(三つの光)の組み合わせで、光というものは波なんです。波長なので人間がそれを識別できないというだけで個々の情報を持っています。まずそれが前提にあります。
ですから、トマトってだいたい赤色なんですけど、ちょっとオレンジがかっていたり真っ赤だったり、色々するんですけれども、
そういった傾向は分かってもそれが何を表すということは人間ではわからなくて、美味しそうに見えたなと思っても食べてみるとあまり美味しくなかったとか甘くなかったとか、酸っぱかったとかっていうことが色々あるということで、買い物して失敗したというケースは皆さん大なり小なりあると思います。
けれども、そういった情報を膨大にとりまして、それをいわゆるビックデータとして蓄積して、こういう光の情報が来た時はこういう味だよという組み合わせを AI で行い、“こういう美味しさですよ”という情報として提示するものです」

つまり、AIの画像解析で美味しさを判断するということなんです。具体的には、アプリを立ち上げて、測りたい野菜や果物などを黒色の紙や布の上に置いて、その写真を撮って送信します。するとその情報がアプリを通じてクラウドに飛び、クラウドの中の AI が計算をします。
そして、ほぼ瞬時に対象品目に応じて3〜5つの味覚の値から「甘い」や「酸っぱい」、「苦い」などのコメントをAIで判定、画面に表示します。

この「おいしさの見える化」の開発には、こんな経緯があったそうです。
「農業生産を指導して品質の高い物を生産して、それを首都圏のデパ地下とか高級品店とかそういったところに直接販売する事業を元々行っていました。
そのなかで生産指導して、これ美味しいよねということを生産者にもすぐ説明できるようにとか、あるいはその販売先のスーパーとかデパ地下にこれはこういう品質なんですよっていうことを定量的に説明できるようにこのシステムを開発し始めたっていうのが元々の発端でした。
サプライヤーは「うちのは美味しいよ」って売るに決まっているので、そこにエビデンス、これだけの美味しさですよっていう情報を付ければ絶対に競争力は上がるわけです。意地悪なことを言えば、美味しくないっていう情報にもなりかねませんが生産者は美味しくないって情報があれば、栽培上の改善で常に美味しいものを供給できるようにすれば、それが本当のそのブランド化とか競争力ですから。
そうすると、それが確実に美味しいものであったりとか、需要者が自分の目的に合う品質、美味しさのものであったりすれば、対価が高くてもいいっていう発想になりますので」

実は、このアプリとは別に大手食品メーカーや研究期間では、すでに味覚センサーという機械が使われています。
しかし、非常に高額で1千万円以上したり、取り扱いが難しく専用のオペレーターが必要だったり、手間と費用、あと時間もかかるそうです。普通の農家さんなど実際の流通の中で、この機械を使えないという事情もあって、このアプリを開発されたそうです。

手間やコストの他に、こんなメリットもあるそうです。
「中間流通の需要、例えば食品産業のカット野菜の工場とかもこういうカット野菜の原料が欲しいとか、入ってきた原料のチェックとか、あと売る方も例えば外食産業なんかも品質を揃えるとか、あるいは消費者は自分の食べたいもの自分の料理に合わせた買い物をするとか、自分の好みに合わせた買い物ができるようになる。商品とそういう情報を提供して売ることによって、その売り場も競争力というか差別化が出来るという、いろんなところで使えますよね」

消費者が自分の作りたい料理に合うものが欲しいということになってくると、そういう素材を買えばいいわけで、色や形が良くなくてもかまわなくなる。
その結果、効率的な出荷が可能になることで、農家の省力化や経営基盤強化につながる。また、生産から流通にいたる無駄が省けるのでフードロスの防止にも結びつくのではないかと幕田さんは、お話されていました。
ちなみに、今年の春から、伊藤園が展開する茶産地育成事業の一部産地にて、このアプリを使ったお茶の美味しさを推定する試験運用もスタートするそうです。

最後に、「おいしさの見える化」で農業はどうかわっていくのか、伺いました。
「買い方が変わると作り方も売り方も変わるということになりますので、たくさん作って安く出すんだっていうやり方は否定しませんが、
日本の場合は人件費とか耕地が狭くて山が多いという制約もあるので、質の高いものにエビデンスをつけて提供して、消費者の訴求力を高めていく、このツールを使った生産流通消費のシステムということで変わっていくのではないかと思います。
それで食料問題とか過疎とか、安心な農産物を食べたいというニーズに応えることによって、いろんな社会課題の解決につながるのではないかと考えています」

見た目から味を推測するのって本当に可能なのかなと思っていましたが、AIやビッグデーターを活用することで可能になるんですね。今後、様々な分野で活用されそうな技術ですね。

幕田さん、貴重なお話、ありがとうございました。

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