このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。
今朝は近年、導入する自治体が増えている「デジタル地域通貨」(特定の地域内に流通し参加店等で使える地域通貨がデジタル化されたもの)について取り上げました。
今回ご紹介したのは、去年末から福島県会津地域で本格導入されているデジタル地域通貨の「会津コイン」。
お話を伺ったのは、会津地域のスマートシティ化に取り組む一般社団法人AiCT(アイクト)コンソーシアムで、会津コイン担当されている小林慶介さんです。
まずは、「会津コイン」の概要について伺いました。
「会津コインはいわゆるスマートフォン決済で、スマートフォンに「会津財布」というアプリをインストールしていただきまして、ここに使いたいお金を銀行口座からチャージをして、チャージをしたお金で会津コインに加盟している店舗で使うという形になります。
特徴といいますと、やはり地域通貨ですのでお店とのつながりがかなり深いということもあって、例えば会津コインでお支払いをすると特別なメニューが注文できたり会津コインで支払うと少し安くしてくれたり、そういったお店独自の工夫でもってお得だったり嬉しさだったりというものが得られるものになっています。普段のお買い物をこの地域通貨ですることによって地域の企業とともにこういった良いことが、その先にぐるぐると回っていくようなプログラムも行っていまして、例えば地元の段ボールメーカーさんと共同で会津コインで決済をされた金額ごとに、その段ボールメーカーさんが作っている会津地域に赤べこという、牛の工芸品、民芸品があるのですが、これをかたどった段ボールで作る赤べこのキットというものがありまして、これを決済をされた一定の金額されるごとに、この赤べこのクラフトキットを保育園であるとか病院の入院している方達にお届けして、これで作って楽しんでもらったりですとか、少しでもこの経済活動が地域の循環、地域に良いことが起こるような、そういった仕組みになっています」
導入の背景やメリットについても伺いました。
「やはり地方は、この20年30年先を考えると人口が何十%も減っていくことがあるんです。会津地域もそうですし、それ以外の地域でも同じようなことが起きていて、特に人口流出、人口減少が著しい地方においてはかなり危機的な状況になっています。なので、これまで以上に生産性も上げていかなければいけない、少ない人数で事業だったり賑わいだったりというのを作っていかなければということを考えると、やはりこういうデータの活用であるとか、しっかりと地域にお金を残していくんだということに取り組まないと、なかなか地域の持続性というところでは繋がらないんじゃないかなというふうに思っています。いわゆるこのキャッシュレスというものは、お金もその地域の外にどんどん逃げていってしまうようなそういった性質があったりですとか、そこで取引された内容というのがなかなかデータとして地域に残らないみたいなところが課題感としてありました。
お金をしっかりと地域の中にとどめて循環させて、そこで生じるデータもちゃんと地域に溜めてこれを地域で活用していこうということが背景にあって、この地域通貨というのが生まれたところになります」
最後に、「会津コイン」にかける期待について伺いました。
「地域の中でお金が落ちるということは自治体もそうですし、いろんな事業者、商業団体さんも課題にされているところで、しっかりと地域の中にお金が落ちる仕組みができたということについては非常に期待をいただいているところになります。
会津コインは単純にキャッシュレスというだけではなく、その地域の活性化を促進するためのツールとして、地域で活用いただけたらというふうに思っています。
支払うというのは、それ自体が目的になることはなくて、病院だったりスーパーだったりバス・タクシーだったり、いろんなサービスを受けるときに使ったりするものになりますので、こういった様々な分野で地域通貨と組み合わせて取り組むことで、地域の持続性、地域への広がりみたいなものを作れたらというふうに期待をしています」
小林さん、貴重なお話、ありがとうございました。
2024
03.25
福島県会津地域で導入されているデジタル地域通貨「会津コイン」