今や地域に人を呼ぶ産業？林業の現在地

Uターン、Iターン、Jターンなど、
今、働き方、暮らし方の変化から移住を考えている方が増えていますが
この時間は“地方移住”についてご紹介します。

お話を伺うのは、これからの地域との繋がりかたを提案する雑誌
「TURNS」プロデューサーの堀口正裕さんです。

浜崎秘書：今週は“移住先で林業”というテーマでお届けします。

堀口：農業や漁業に比べて、具体的にどういった仕事なのか？
イメージが湧きにくいかと思うので、まずは林業についてご説明します。

やしろ本部長：よろしくお願いします！

堀口：日本は国土の約3分の2を森林が占める、世界有数の森林大国です。
そんな豊かな森林資源を持っている日本ですが、
高度成長期に入ると木材の輸入自由化に伴い、
海外から多くの木材が輸入されるようになりました。

また、木材価格の低迷も続いたことから、日本の林業は厳しい状況が続き、
国産材の自給率も一時期20%を切る状況にまでなりました。

しかし、近年では木材が他の資材に比べて
サステナブルで環境に負荷の少ない材料として注目され始めて
国産材を使うことの重要性が理解されるようになりました。

公共建築物の木造化が進んでいることや、
一般の消費者にも木材の価値が理解されるようになったことも影響し、
自給率は徐々に回復して、現在では４０％を超えるまでになりました。

森林を適正に育てることは地球温暖化防止や災害防止など
環境問題にも寄与するとして、林業が期待されるようになり、
木材の利用と環境問題の双方で注目が集まっています。

さらに最近では機械化やICT技術の導入なども進み、
林業の働き方も変わりつつあります。

豊かな自然の中で働けることに魅力を感じ、
都会から移住して林業に従事する方も増えており、
徐々に若年者の就業率も向上しています。

林業は今まさに“地域に人を呼ぶ産業”へと変わりつつあります。

浜崎秘書：今日は千葉県南房総市に移住して、林業を担われている　
「千葉県森林組合安房事業所」の橋本 誠さんとお電話が繋がっています。

橋本さん：よろしくお願いします！

やしろ本部長：橋本さんはどうして林業を始めようと思ったんですか？

橋本さん：千葉県には趣味のサーフィンでよく訪れていたのですが、
2019年の房総半島台風の影響で山の木が倒れて道路を塞いでいたり、
倒れた木が海に流されていた状況や、
被害に遭われて困っている方々の様子を見て、

自分にも何かできることがあるんじゃないか？
大好きな自然を守る仕事がしたいと思っていたところ見つけたのが
今の職場である千葉県森林組合安房事業所の求人でした。

やしろ本部長：林業を仕事にされて、いかかですか？

橋本さん：林業の現場での仕事は体力的にきついこともありますが、
なにかスポーツに打ち込んでいる感覚と似ているように感じていて、
状況が変化する自然の中で柔軟な判断力や技術が試されるため
非常に面白いと感じています。

チェーンソーで木を伐り倒した時の爽快感はたまらないです。
それに加えて、健康への意識の高まりや、
心身ともに鍛えられて成長できていると実感しています。

また、手入れが遅れていた山がきれいになったり、
台風の被害木を取り除いて感謝されたりと、
自分がやった仕事の成果が目に見えて分かるのが林業の大きな魅力だと思います。

堀口：林業を始められるとき、どうやってスタートしたんですか？
活用された制度などあれば教えてください。

橋本さん：自分は特に制度などは使わず、特別な資格もなく未経験でしたが
気合いと勢いでこの林業の世界へ飛び込みました。

就職した後に林業の就職支援のための体験会や講習会があり、
チェーンソーなどの資格も事前に取れると後から知って、
事前の情報収集は大事だなと思いました。

やしろ本部長：制度は色々とあったんですね（笑）

橋本さん：今、その講習会で自分の体験談を話す機会があるのですが、
林業に興味を持ちご参加頂いた方々には自身の経験を踏まえて、
「講習での作業体験はぜひやった方がいい」と伝えています。

やしろ本部長：リスナー社員の皆さんの中にも、
新しいことにチャレンジしてみたい、仕事を変えようと考えている
リスナーさんもいらっしゃると思います。
そうした方にメッセージをお願いします。

橋本さん：私の場合、前職での働き方に違和感を覚えたことがきっかけで、
心機一転すべく転職及び移住を決意しました。

今、考えると我ながらよく決断できたなとは思いますが、
時には自分のやりたいことや描きたい人生、
自分自身の心の声に素直に従ってみることも大事だと感じています。

勇気を振り絞ってくれた過去の自分には感謝していますし、
有意義な日々を過ごすことが出来ているため、
この決断への後悔は一切ありません。

誰しもが一度きりしかない人生の中で、枠に囚われすぎることなく、
新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

やしろ本部長：林業を始めとした、一次産業をいかにして守っていくか？は
国全体として意識的に取り組んでいかなければならない問題なので
こうやって知識を得ることが、まずその第一歩に繋がると思います。
今回は橋本さんのお話を聞くことが出来て本当に良かったです。

橋本さん：ありがとうございます！

浜崎秘書：ここで「全国森林組合連合会」からのお知らせです。

全国森林組合連合会では、厚生労働省の委託を受けて、
林業への就職に興味がある方向けに
「林業就業支援講習」を全国で実施しています。　

この講習は林業に必須となるチェーンソーなどの
資格が取得できる20日間コースのほか、
普段なかなか触れる機会のない林業の作業体験や、
現場見学を行う5日間コース、
まずは林業の現状や基礎知識を学びたい方向けの1日コースなど、
受講者のニーズに合わせた充実の内容となっています。

全てのコースで参加費は無料！
遠くからご参加の方には宿泊費の補助もあります。
詳しくは「林業就業支援事業」ホームページからどうぞ！

そして、1月17日には林業をテーマにTURNSでイベントを開催します。
ゲストの橋本さんもご登壇する予定です。
詳しくはTURNSウェブページをご覧ください。

やしろ本部長：橋本さん、堀口さん、ありがとうございました！