和歌山県
移住者が約半数の町、色川
Uターン、Iターン、Jターンなど、今、地方移住を考えている方が増えていますがこの時間は、地方移住についてご紹介します。
お話を伺うのは、これからの地域との繋がりかたを提案する雑誌「TURNS(ターンズ)」プロデューサーの堀口正裕さんです。
浜崎秘書:今回は、和歌山県滞在記最終日の様子をお届けします。
堀口さんよろしくお願いします。
堀口:よろしくお願いします。今回は滞在2日目に訪れた、色川という地域をご紹介したいと思います。
色川は那智勝浦町という、中心から車で約40分の山間部にあります。日本一落差の長い滝、那智の滝は有名ですね。
その西側に位置する場所、9つの集落から成り立っています。人の暮らしや生きる知恵、自分たちで耕して生きていく、そういう大切なことを長い年月ずっと変わらず積み上げられてきた村なんです。
そういう意味からも、相当に成熟した山里の文化があります。
本部長:はい。
堀口:人口はかつて3000人いたんですけど、今は300数十人ですね。いわゆる過疎地域なんですけど、色川のすごいところは、その土地ならではの暮らしや営みをずっと守って、次の世代につなげていこうということで住民皆さんで共有をして、いろんな地域課題に取り組んでいます。
40年間で、住民の半数の約150人が実は移住者なんですね。
本部長:え、そんなにですか! 約50%の方が外から入ってきた方なんですね。
堀口:全国でこういう地域は珍しいんですね。
浜崎秘書:私も一緒に取材をさせていただいて、美しい棚田があって古き良き日本の風景が広がっている場所なんですね。美しい景色と、大自然とともに生きる場所です。
40年前に移住された原さんにお話を伺ったのですが、本当にこの地域の伝統や文化を守って、かつ、先人の思いを尊重されて、色川を大切に思う気持ちがとても強い方でした。お話しを聞いていると、「移住者には移住者にしかできないことがある、逆も然り」という言葉が、すごく印象的に残りました。若い移住者さんたちも多くて、ご夫婦で移住されている千葉さんご夫妻は、喫茶室の営業と地域活動、そして編集業、ライティングなども、山里での暮らしを送りながらされているんですね。
ここで「人と人」、そして「人ともの」、「人と地域」を繋げていくお仕事をされていたんですが、地元の方々が喫茶店に集まってきて、色川の過去と現在と未来がずっと行き来する、不思議な空間でした。
本当に素敵な人が集まってる場所だなと思いました。
本部長:写真を見ていると、年配の方から若い方も含めて、いろんな世代の方がいて。自然もあれば、人々、町、村の過去と現在と未来の話をみんなでしている、色々な時間が溶け合っている感じが写真から伝わりますね。
堀口:先ほど浜崎さんも仰っていた、40年前にこの地域に移住した原さん。印象に残っている言葉が、人を集めるために、その地域らしくないものを持ってきたりする、それはダメだと。やっぱり、「その地域らしさをちゃんと残して、それを殺してしまったら何の意味もないんだ」ということを力説されていました。
そういう話を伺っていると、過疎っていうのはマイナス面だけじゃないんだなっていうことを、学んだ滞在でしたね。