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總持寺 世界禅Challenge とは
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ユージ
吉田明世
ONE MORNING NEW TREND ONEでは、
毎月第3月曜日に “總持寺 世界禅Challenge” を特集!
全国で開催されるイベントを応援するとともに、
JFN各局でも “世界禅Challenge” を特集した企画をお届けしていきます。
【Vol.7】NEW TREND ONE × 總持寺 世界禅Challenge
2024.03.18 / TOKYO FM
ユージ:
前回から『坐禅』と『○○(まるまる)』とのコラボというカタチで、意外な組み合わせを通して「坐禅の魅力」を深掘っていきます!
吉田:
今回のコラボは「アスリート×禅」です。
2001年と2005年に行われた「世界陸上」男子400mハードルで銅メダルを獲得され、男子400mハードルの日本記録保持者の、為末大(ためすえだい)さんです。
為末:
おはようございます。
ユージ:
アスリートの方がトレーニングのひとつとして「坐禅」を取り入れるというお話、たまに聞くこともあるんですが、為末さんが坐禅に向き合うようになったのは、現役時代からですか?
為末:
引退寸前くらいですかね。サンフランシスコで練習してた時に、ジャパンタウンで禅がブームになっていて、それで鈴木大拙(すずきだいせつ)さんというアメリカで有名な方の本を読んだのが最初のきっかけです。
吉田:
アスリートの方は「ゾーン」に入るということをよく言いますが、禅と共通する部分ってあるんですか?
為末:
走ろうと思うのをやめると上手くいく、みたいなことがよくあってですね。例えば、好きな人の前だと上手く振る舞えないけど、そうでもないと自然に振る舞えるみたいなのあるじゃないですか。ああいうのにちょっと似てると思うんですけど、オリンピックだ!と思うと力むけど、普通のレースだと普通に走れるみたいな。選手はそっち(普通)の状態を作りたくなるんです。
何万人の観客の前だとなかなかできないので、その時に自我というか自分を、空っぽにしようとする、そういう心境が禅と似ているんだと思います。
ユージ:
為末さんは、ゾーンは感じたことありますか?
為末:
選手ってだいたい人生で3回入るとか言うんですけど、私もそれくらい経験があります。メダルを取った2つのレースと、2008年のオリンピック予選の1つのレースが、ゾーンに入ったレースですね。
吉田:
毎回入るわけではないんですね。
為末:
やっぱりちょっと違う感じなんですよね。気がついたらゴール前まで行っているというような感じ。
ユージ:
ゾーンと禅は、似た感覚ってあるんですか?
為末:
ゾーンで選手が言うのは、時間感覚の変容、身体領域の変容、視点が変化する、だいたいこの3つなんですよ。
時間感覚というのは要するに、気がついたらレースが終わっていたとか、ボールが止まって見えたとか。長い時間が一瞬に感じたり、逆に一瞬が長く感じたり。
身体領域については、外の領域と自分の身体の境目がよく分からなくなったという言い方をする選手がよくいて、自分中心というのがなくなり、溶け合うまで言うと大袈裟ですが、そんな感覚だと思います。
ユージ:
為末さんにとって、坐禅の効果というのはどういうことだと思いますか?
為末:
リセットだと思いますね。
ユージ:
禅に取り組む前の状態と禅をした後の自分だと、やはりスッキリしたものがある?
為末:
ずっと自分の頭の中で自問自答している、チャットしている感じないですか?「あれでいいんだっけ?」「次これやらなきゃ」みたいな。近年は特に、声が黙らないですよね。
吉田:
忙しいですよね。情報社会なので、歩いているだけでも、目からも耳からも情報が入ってきますもんね。
為末:
(頭の中で)自分にもツッコミ入れたりするんですけど、そういうのが一回黙るというか、静かになるというか、そういう効果が大きいと思います。雑念が浮かばないわけではないが、それに捉われないという感じですかね。
吉田:
脳の休息みたいなことなんですかね。
為末:
ゾーンを体験した選手たちがほぼ一様に言うのは“快感”や“心地よさ”なんですよね。自分を出し切れた感とか、もう一回体験してみたいなんて言うんですけど、やっぱり人生で何回かしか入れないですね。本当にディープなものは。
ユージ:
やっぱり禅に似ているのかもしれない。アスリートの方もボーっとしててゾーンに入ることはなくて、努力と訓練があって、ここでピンポイントで成果を出すぞってのがハマった時にゾーンに入れるような気がします。
禅もボーっとしているんじゃなくて、取り組むという姿勢、環境作りから始まって、そこに自分で向かっていくので、そこに関しては似ているのかも。
為末:
そうですね、ゾーンの条件に、例えば、ハードル跳ぶとかそういうのは一切忘れられるくらい練習は必要というのがあるんですよ。
ユージ:
2歩手前でここに足を置いて、とかは考えないでパーンと跳べちゃうみたいな。
為末:
そうそう、サッカーにしても野球にしても、自分がやる身体の動きは一切考えなくていいところまでいくと今度、心理状態がもう少しディープなところまで入っていくと。だから先に身体の動きを覚えちゃうということですね。
ユージ:
(坐禅を)一回体験したんですけど、もう一回体験したくなってきましたね。
吉田:
そうですね。ここまでお話を聞いてきて、坐禅を体験してみたいと思った人もいるかと思います。
来月、4月7日(日)岩手県・奥州市(おうしゅうし)にある「大梅拈華山圓通正法寺(だいばいねんげざんえんづうしょうぼうじ)」にてイベントが開催されます。
こちらのイベントは毎月お知らせしています、瑩山禅師(けいざん・ぜんじ)没後700年の記念行事開催に向けた全国イベントの第6弾です。
為末さん、こういうイベントに参加して坐禅を体験することって良いものですか?
為末:
ぜひ。特にインターネット時代と禅が着目しているところってセットだと思います。情報が多い社会でね、ぜひみなさんも体験してみてほしいなと思います。
ユージ:
為末さん、ありがとうございました!
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