令和2年度(第75回)文化庁芸術祭ラジオ部門優秀賞受賞 TOKYO FM 特別番組 Positive ~コロナとホテルとラインチャット~

  • TOKYO FM
インタビュー

『大曲貴夫先生インタビュー』

新型コロナウィルスは、私たちの心も身体も蝕んだ。老若男女問わず、あまねく人々は未曾有のパンデミックとの戦いを強いられた。その先頭で戦ってくれたのが医療従事者の方々であることは疑いがない。彼女・彼らはこれまでどのような時間を経験し、そこで何を見たのか。国立国際医療研究センター病院で国際感染症センター長を務める大曲貴夫先生に聞く。

コロナ患者による
LINEグループが支えとなる

  • マンタ
  • マンタ:私は4月(2020年)に新型コロナウィルスに罹患したんですが、療養ホテルに隔離されたときはとても戸惑いました。ここにいつまでひとりでいなきゃいけないんだろうって、すごく心細かったんです。そんな時に、エレベーターのなかで、コロナ患者同士LINEで繋がりませんか?って張り紙を見つけて。それからはお互いに情報を交換したりして、心を落ち着かせていました。どこの病院から来たとか、陰性・陽性がどれくらい続いているかとか。鼻うがいをしたらPCRの陰性が二回出やすくなるっていう情報まで交わしてました(笑)。
  • 大曲
  • 大曲:さすがですね。現代ならではというか。
  • マンタ
  • マンタ:あの頃はルールが厳格で、陰性が二回続けて出ないと退院出来なかったんですよね。LINEグループには多いときで25人くらいいましたけど、みんな疲れてました。陰性になっても、次に陽性が出てしまうと、また最初からやり直し。それをずっと繰り返している男性の患者さんもいて、みんなから「陽性おじさん」って呼ばれていました(笑)。
  • 大曲
  • 大曲:僕は、そういうお互いに支え合う自助グループはとても大事だと思います。医者に対する不満とか、コロナにかかったことの恐怖など、患者さん同士でしか分かち合えないものもあるでしょうから。コロナ禍を乗り越えていくために、同じ境遇の人同士でコミュニティを作るというのはすごく良いことだと思います。コロナに限らず、そうやって同じ病気の方が集まって語り合うというのは珍しいことではありませんし。
  • マンタ
  • マンタ:私はあのLINEグループがあってめちゃめちゃ救われました。他の人に話してもわかってもらえないんです。コロナにかかったのは自己責任だって言われている気がしていましたから。あのとき、傷を舐め合えたことで頑張れたんですね。
  • 大曲
  • 大曲:これはぜひ広まってほしいですね。でも、それは医療の側が主導していくことではないとも思います。医者がコロナ患者はコミュニティを作ってそこで愚痴を吐いてくださいっていうのは、押し付けがましいですし。患者さんや一般の方が自発的にそういうコミュニティを形成するからこそ意味があるんじゃないでしょうか。まだこの病気はわからないことが多いわけです。合併症や後遺症についてははっきりしたことが言えない。だから、僕ら医者はどうしても病気の正体を探ることに力を入れがちなんですが、病気は人に起こるものなんですよね。患者さんの立場に立つ、ということの大切さを、つい、忘れがちになってしまうのは反省しなければなりません。
  • マンタ
  • マンタ:新型コロナウィルスは研究と治療を同時にやっていかなきゃいけないわけですね。病気と人間、両方に向き合わなければいけないというのはなかなか大変だと思います。
  • 大曲
  • 大曲:ええ。だから、患者さんたちからのフィードバックはとてもありがたいんです。専門家は専門的な観点に立って、病気を見る癖がついてしまっています。つまり、自分たちが問いかけたい問題しか思い浮かばないんですよ。仮説を立てて立証していくにしても、医者としての自分の想像の外に出ていかない。だから、患者さんから見た世界がどうなっているのかに気づけないことがある。患者さんの視点から、一緒に病気を見るというのは大切なことです。

ダイヤモンドプリンセス号から市中感染へ

  • マンタ
  • マンタ:新型コロナウィルスが感染拡大した3月、4月というのは、医療従事者の方々にとってはどんな期間だったのでしょうか?
  • 大曲
  • 大曲:医療従事者のなかでもそれぞれが置かれた境遇は異なるので、一般化はできないと思います。僕という個人に関して限って言うと、実は三月前半は落ち着いていたんです。というのも、その前月、我々はダイヤモンドプリンセス号の対応に明け暮れて、かなり疲弊していましたから。災害対応のように、24時間ずっと忙しかった。真夜中でも患者さんを受けれたり、重症の患者さんも少なくなくて。時間だけが慌ただしく過ぎて、ボロボロでした。それがひと段落したのが、3月の前半だったかな。一、二週間は静かだったように記憶しています。僕も実家でゆっくりする時間を持つことができましたし。3月の連休が明けたあたりから、外来と入院の患者さんの数が一気に増えました。中等症や重症の患者さんの入院要請もどんどんくる。これはやばい、危ないと思い始めたのが3月後半でした。病院のベッド数も、外来の受付もパンパン。あの頃、僕は、もはや一部の医療従事者だけで対応できる状況ではない、医療従事者がみんなで協力する必要があるということをきつい言い方で言っていました。それくらい強く言わないと伝わらなかったんです。感染症指定医療機関が頑張ってくれれば大丈夫って、現場を知らない人が簡単に言うんですね。現状を知ってもらうためにエネルギーを使ってしまい、ストレスでいっぱいでした。
  • マンタ
  • マンタ:3月25日に小池百合子都知事が会見で初めて「三密」という言葉を使ったとき、大曲先生は都知事の隣にいらっしゃいました。先生はあのとき、どんな心境だったんですか?
  • 大曲
  • 大曲:とにかく現場の状況を知ってもらわなければ、と思っていました。医療機関はかなり逼迫していましたから。専門的な立場から見た事実、僕たちの現況を伝えるという使命感に駆られながらあの場所に座っていました。ロックダウンという言葉を小池百合子都知事が使ったときは驚きましたけど、みなさんに現実を知ってもらうためにはそれくらいしなければならないのかなとも思いました。
  • マンタ
  • マンタ:それでも感染者数は減りませんでしたよね。それどころか、どんどん増えていった。緊急事態宣言が解除されるまで、油断できない状況が続いたと思います。私がコロナにかかったのは4月ですけど、あのとき、病院側も混乱していたんじゃないかなって思います。
  • 大曲
  • 大曲:患者さんはものすごい勢いで増えていきましたよね。重症の方が亡くなられたりもして、気を抜けない日々が続きました。ただ、病院の内部では、分業の体制が整っていて、感染症対策にみんな一丸となって臨むことができました。あのときは、本当に医療関係者のみなさん、よくやってくれたと思います。それでも、感染の勢いは衰えることがありません。大きなクラスターも次々に生まれて、僕としては、みんなにもっと危機感を持ってもらわなければダメだと感じていました。あの頃、メディアを通じてけっこう厳しいことを言いました。お叱りの言葉もだいぶいただきましたけど、でも仕方なかったかな、と思います。

療養ホテルの誕生

  • マンタ
  • マンタ:医療崩壊という四文字も頻繁にニュース番組などで見かけるようになりました。それくらい医療施設が逼迫していたんだと思いますけど、宿泊施設がコロナ患者を受け入れたことで、ベッド数は増えました。療養ホテルの誕生ですね。
  • 大曲
  • 大曲:緊急事態宣言が発令されて以降、医療体制の整備は一気に進みました。ただ、そうは言っても、患者さんを受け入れるための病床の準備は、一朝一夕でできるものではないんですね。今まで感染症の指定医療機関でもなかった一般の病院に、未曾有の病気である新型コロナウィルスの患者さんを受け入れなさいというのは、素朴に考えればとんでもない話なわけですから。だから、患者さんが入院するためのベッドの確保は大変でした。確かに重症患者以外の方には、大きな治療は必要ないんです。でも、この病気はいつ化けるかわからないんですね。軽症から、病状が一気に悪化するということもあります。だから、観察はしなければならない。そこで、宿泊療養のためのホテルが急速に確保され始めたのが、4月上旬でした。
  • マンタ
  • マンタ:療養ホテルには大変お世話になりました(笑)。まさか都内でホテル暮らしをするなんて思ってもいませんでした。
  • 大曲
  • 大曲:東京はオリンピックなどもあって、つい最近までインバウンドで盛り上がっていたんですよね。ホテルの料金もどんどん上がっていっていました。気軽に泊まれない料金体系になっているだろうと思っていたので、コロナ対策のために一棟まるまる借り上げるなんてできないだろうと思っていました。でも、多くの宿泊業者の方々が協力してくださって、とてもありがたかったです。
  • マンタ
  • マンタ:さっきも言ったんですけど、 療養ホテルでは陰性が二回続かないと退院ができないルールになっていました。これがなかなか大変で。どうしてそこまで厳しいルールを定めたんでしょうか?
  • 大曲
  • 大曲:新しい感染症が出てきたときっていうのは、いつ隔離をやめればいいかが全然わからないんですよ。病原体がいないことを証明できればいいのですが、そのための精度が一番高いのがPCR検査なんです。そうは言ってもPCR検査も完璧じゃない。だから、陰性が二回続けて出たら、間違いなく大丈夫だろう、と考えることにしました。確かに、厳しいルールだったと思います。ただ、当時は、わからないことが多かったので、やむを得ませんでした。現在では、ウィルス培養の研究結果で、生きているウィルスが軽症の患者さんの体にいる期間は10日前後だということがわかりました。なので、退院基準も見直され、発症から10日が経過、もしくは症状軽快から72時間経過に変更になりました。隔離期間が長くなってしまうとベッドがどんどん足りなくなってしまうので、僕も短くした方が良いということを進言したのを覚えています。
  • マンタ
  • マンタ:療養中はすごく気分が沈みました。イライラしちゃったし、悲しくもなって。あの頃は現場にいる人は、お医者さんも患者さんもみんな負の感情を抱えていたと思います。
  • 大曲
  • 大曲:そうですよね。僕も何度もネガティヴな気持ちになりました。身体的には2月がかなりきつくて、精神的には3月の終わりが辛かった。忙しいなかで感情を波立たせないようにするにはそれなりにエネルギーを使いますし。ヘトヘトになりました。
  • マンタ
  • マンタ:夏頃に第二波のようなものが来たとき、まだ終わってなかったんだ……ってショックを受けました。先生や医療従事者の方も、だいぶ苦しかったんじゃないでしょうか。
  • 大曲
  • 大曲:でも、そんなに大きな動揺はありませんでした。というのも、医療体制が整っていることの安心感がありましたから。症状の悪い方を受けいれてくれる施設がある、検査を受ける場所が近くにある。それはとても心強いんです。宿泊療養から退院までの流れも確立されましたし。4月のような不安はありませんでしたね。あの頃は、医療の全てがどん詰まりな状態でしたから。だからこそ、夏頃に、繁華街を中心にクラスターが発生したとき、速やかに感染者を見つけるにはどうすれば良いか、感染を食い止めるにはどうすれば良いか、ということに注力できたんだと思います。

私たちを襲ったシンデミックとは一体?

  • マンタ
  • マンタ:先日、東京都医師会の記者会見で、今年の8月は、女性の自殺者数が例年に比べて八割くらい増えたと言ってて、とてもびっくりしました。八割って、ほとんど二倍じゃないですか。コロナ禍でコミュニケーションが不足したからだとも言われていますけれど。
  • 大曲
  • 大曲:コロナって、具体的な身体の病気だけじゃないんです。新型コロナウィルスは病気を通じて様々な社会の歪みをもたらしました。みんなが自粛して出かけなくなったりとか、それまでやっていた活動ができなくなったりするわけで。非正規雇用の方は経済的にも不安だろうし、アルバイトがなくなった学生たちも自分の社会的な意味を見出せなくなってしまう。高齢者の方も、外に出られず、運動不足になったりする。自粛生活が続いたことの心身の問題は、これから顕在化してくると言われています。そういう意味では、新型コロナウィルスはこれからの社会に禍根を残す病原菌なんです。だからこそ、弱い立場の人をどうやって救っていくか、ということを真剣に考えなきゃいけないと僕は思っています。
  • マンタ
  • マンタ:社会学者の水無田気流さんは新型コロナウィルスを新自由主義的な病気だっておっしゃっていました。
  • 大曲
  • 大曲:なるほど。その通りだと思います。「シンデミック」って言葉がありますね。病気の感染拡大に、貧困などの社会的な問題が絡まって、より大きな問題となってしまうことを意味します。そういう意味では、僕たちに襲いかかっているのはパンデミックよりもっと複雑なシンデミックという問題なんだと思います。肉体的な病気はトリガーに過ぎません。そこから社会のあらゆる部分が刺激され、歪みができてしまう。新自由主義的な病気というのはその通りで、こうなると、必ず取り残されてしまう人が出てくるんです。この問題が根深いのは、決して相対的に貧しい国ではない、G7の国々の内部のあちこちでも起きているからです。それが何を意味するのかというのは、是非、専門家の方の意見を聞いてみたいですね。

ウィルスを防ぐのは抗体だけではない

  • マンタ
  • マンタ:現在は私が入院していた頃よりも、医療整備がかなり整っていると思います。先生から見た、今の現場の状況はどうなっていますか?
  • 大曲
  • 大曲:だいぶこの病気との付き合い方がわかってきたので、3月、4月の頃のようなストレスは緩和されたと思います。ただ、疲弊している様子はあります。僕は中間管理職なので、休ませることもしなければならないと思っています。疲れると気分も滅入っちゃいますし。持久力もなくなってしまう。この病気との戦いは長丁場になります。そればかりはどうしようもない。だからこそ、医療従事者の体調管理はきちんとしなくちゃいけないなって思うんです。
  • マンタ
  • マンタ:コロナとの戦いが長期戦になるというのは、みんな覚悟できていることだと思います。でも、そうは言ってもやっぱり怖い。一度、罹患した私は、もしまたコロナにかかったらどうしよう……あんな思いを繰り返したくないって考えちゃうんです。私がもう一度コロナにかかる可能性ってあるんでしょうか。
  • 大曲
  • 大曲:誤魔化さずに言うと、あると思います。でも、それは新型コロナウィルスが特殊だからとかじゃなくて、考えてみれば当たり前なことなんです。風邪のウィルスなわけですから。ようやく、最近、そのことが科学的に立証されたというだけなんです。
  • マンタ
  • マンタ:コロナから回復したときは抗体ができたからある意味では良かったのかもしれないと思っていました。でも、最近、ニュースで、コロナは抗体ができる場合とできない場合もあるって言っていて。私自身は、国際医療研究センターで調べて頂いたところによると、IgG抗体はあまり出来ていない、という結果で落ち込みました。
  • 大曲
  • 大曲:抗体にもいろいろありそうだというのがわかってきました。みんながみんな抗体ができるわけではないんですね。一説によると、軽症の方はできにくくて、重症の方はできやすい、らしい。それから抗体ができても、数ヶ月経てば、消えていってしまう。ただ、人間の体のなかでウィルスを防ぐ免疫って、抗体だけじゃないんですよ。人間の体にはT細胞というのがありますね。血液のなかのリンパ球の一種です。T細胞の働きもコロナから身を守るためにはとても大切です。もちろんそれ以外にも免疫細胞というのはあります。免疫について議論する際には、抗体だけではなく、T細胞などの免疫細胞もひっくるめて話をしなければならないわけです。
  • マンタ
  • マンタ:実際、私も抗体検査を受けたら、抗体はほとんどできていなかったんです。検査結果では、T細胞の中和抗体がまぁまぁ、みたいなことを言われました。これはどういうことなのでしょうか?
  • 大曲
  • 大曲:僕は免疫のプロではないので、はっきりしたことを言えませんが、健康な方というのは、抗体が作られる前に、T細胞などが反応して、ウィルスを封じ込めちゃうんじゃないでしょうか。だから、体内に入っても、比較的早期に、ウィルスを退治できる。それが長引いてしまう人は、体のなかに抗体が作られていくんじゃないか、と考えられます。だから、抗体ができない人は、免疫が弱いというわけじゃなくて、逆なんだと思います。抗体ができる前に体のなかの免疫細胞がウィルスをやっつけてくれるわけですから。
  • マンタ
  • マンタ:若くて元気な人たちを検査してもなかなか抗体ができないのはそういう理由なんですね。T細胞は大人も子どもも両方あるんでしょうか?
  • 大曲
  • 大曲:あります。T細胞っていうのは、胸腺で作られるものなんです。胸腺ではそれ以外にも多くの細胞が作られるんですが、最近の研究では、こうした胸腺に関連した細胞がコロナの重症化を防いでいるんじゃないかということがわかってきました。胸腺は子どもにとってはリンパ球を作る大事な器官なんですね。だから、子どもはコロナにかかっても重症化しにくいんじゃないかと考えることもできるんです。

コロナ禍を乗り越えるためには
ポジティヴであり続けることが必要

  • マンタ
  • マンタ:現在(取材時は2020年10月末)、新型コロナウィルスの重症患者は減少してきていると言われていますよね。だから政府も、軽症者や無症状の人には自宅療養を促しています。今の先生のお話を踏まえると、人間の身体は十分にコロナと戦える免疫が備わっているっていうことですね。
  • 大曲
  • 大曲:そう考えられると思います。だから、政府の指示も決して間違ってはいません。3月、4月のように医療がパニックに陥らないためにも、入院が必要な患者さんとそうじゃない人を分ける必要があるんです。病院のキャパシティも無限だというわけではない。症状が軽い方には、自宅やホテルで療養をしていただくのが最適解だと思います。
  • マンタ
  • マンタ:これから冬を迎えるにあたって何か注意点ってありますか?
  • 大曲
  • 大曲:身も蓋もないことを言うようですが、風邪をひかないでください、ということに尽きると思います。だって、この状況で風邪をひいたら面倒くさいでしょう?周りからはコロナだって疑われて、自分でも不安になってしまう。職場など、いろんな方面にいちいち連絡するのも、気を使って嫌ですよね。だから風邪をひかないように、体調管理はしっかりしてください。それと、ニューノーマルの世界では、運動を怠けずしてください。動けない人は負けてしまいます。いつも以上に体を強く保っていてほしいです。
  • マンタ
  • マンタ:風邪ひとつとっても、普段以上に気をつけなければならないんですね。
  • 大曲
  • 大曲:いつもの日常ではないということを考えてほしいですね。普段だったら、ちょっと調子が悪いなって思っていても、何も問題はないと思いますが、今はもしかしたらコロナかもしれない。だから、会社を休む必要が出てくる。その上で検査を受けに行かなければならない。とにかく面倒だと思うので、そうならないように体調管理には最大限の注意を払っていてほしいです。それと、もし最悪、体調を崩してしまったときのシミュレーションをあらかじめしておくべきだと思います。どこで検査を受ければ良いか、会社はどれくらい休む必要があるのか、どこで療養すれば良いのか。熱が出てから、こういったことを考えるのってとても大変なんですよね。あと、少しでも体調が悪かったら、会食・飲み会は絶対に参加しちゃダメです。このことは例外なく、みんなに守ってほしい。コロナ禍ではあらゆることが普段通りにはいきません。常にリスクを考えて行動してほしいと思います。
  • マンタ
  • マンタ:コロナ禍での楽しみ方を知らなきゃいけないわけですね。少しでも前向きに考えないと挫けそうです。
  • 大曲
  • 大曲:ポジティヴに考えるというのは良いことです。さっきも言いましたが、この病気は社会の歪みを可視化させ、肉体だけじゃなく、精神状態にも影響を与えます。行動も制限されて、楽しみたいことも楽しめなくなると、ただただ辛いだけです。でもそのなかで、ポジティヴな感情というのを失ってしまうと、社会が縮こまっちゃうだけなんですよね。だから何事も前向きに考える必要はあると思います。この病気と長く戦うという意味でもそれはとても大事です。
  • マンタ
  • マンタ:コロナと戦うために必要なのは、前向きに考える力だってことですね。
  • 大曲
  • 大曲:はい。前向きに考える力、そして、他者を思いやる力。この二つだと思います。若い人はみんな自由がほしいんですよね。でも、同時に重症化しやすい高齢者をどう守るかということを考えなくちゃいけない。自分の自由を尊重しつつ、他人を守る。この両輪でもって、前向きに進んでいける社会になれたらいいなと思います。