ON AIR REPORT オンエアレポート

3月20日 ヨハン・セバスチァン・バッハ ②

2011.03.21


ケーテンの宮廷楽長として充実した時を過ごしていたバッハでしたが、
1723年5月にザクセン地方の大都市ライプツィヒでトーマス教会のカントールに就任。
この時期には、教会カンタータ、《マタイ受難曲》や《ヨハネ受難曲》、
《クリスマス・オラトリオ》など、教会声楽曲の作曲と演奏が活動の中心となりました。
バッハは就任後5年間、カンタータを毎週作曲したと言われています。
現代の作曲家も映画音楽を3日で作らなければ、などという話も聞きますが、
毎週新たに作曲とは、すごいですね!

また、この時期は、代表的なクラヴィーア作品も多く残しています。
《ゴルドベルグ変奏曲》、《音楽の捧げもの》、《フーガの技法》といった大作があります。
《ゴルドベルグ変奏曲》はバッハが残した鍵盤楽器のための作品の
最高傑作といえるのではないでしょうか。
この曲は「2段鍵盤のチェンバロ」のために作曲されたものですが、鍵盤が2段あることで、
音色を変化させられる点、そして手の交差が自由にできる点が利点として挙げられます。
そういう点では、現代ピアノは鍵盤1段なので、演奏がちょっと難しいと言われています。

さて、私たちピアニストは子どもの頃からバッハの作品を勉強してくるわけですが、
バッハを学ぶ意味について改めて考えてみました。
まず、十二平均率(1オクターブの音程を均等に12等分した音律)という考え方が
バッハの時代に確立しました。
1オクターブにある12の音をそれぞれ主音とする長調・短調=24の調性をフルに使った作品、
《平均率クラヴィーア曲集 第1集&第2集》をバッハは残しています。
転調も自由にできるようなり、平均率のもつ特性を最大限に利用した作曲家がバッハです。
バッハの音楽は、調性音楽の基礎ともいえるでしょう。

また、バッハは自分の楽譜に音符とリズム以外、ほとんど何も記入していないんですね。
我々はそこから音楽を読み取らねばなりません。
強弱記号や速度記号などの演奏記号が書かれていない楽譜をもとに、どんな音楽を形作っていくか、どうやったら自然な音楽に聴こえるか一生懸命考えるわけですね。
つまり音符しか書かれてない楽譜から、どのようにして豊かな演奏を引き出すのか。
バッハを勉強する意味はここにあるのかもしれません。

さらに、バッハの音楽はその後のモーツァルトやベートーヴェンのように、旋律と伴奏という音楽ではなく、各声部で複数の旋律が同時に出てくるような音楽です。2声や3声をきちんと意識しながら演奏するのは、なかなか難しいんですね。そういった意味で、指のコントロールのためにもバッハを勉強する意味はあると思います。特に3声になると、さらに難しくなり、このあたりでピアノを弾くことに挫折したり、「バッハは難しいから嫌い!」となる人が多いと聞きますが、そこをちょっと我慢して続けると、新しい世界が開けてくるんだと思います。

今回は、音楽の父といわれるバッハの人生&音楽をご紹介してきました。
バッハの作品は本当に多種多様ですが、教会音楽は最も重要なジャンルでしょう。
教育的な作品も、単に教育的な価値だけでなく曲としても充分に楽しめる要素を持っています。
さらにバッハの作品は、後世において様々なジャンルに編曲もされています。
もちろんピアノ用のアレンジもありますし、またロックやポップにアレンジされたり、
本当に幅広い魅力を持っていますよね。
今回こうしていくつか作品を紹介し、僕自身もバッハについて再認識しました。
昔バッハに苦しめられた人も、改めて聴いてみると新たな魅力を発見できるかもしれませんよ。


<オンエア楽曲>
♪M1 J.S. バッハ《管弦楽組曲第3番》より 第2曲 <G線上のアリア >
♪M2 J.S. バッハ《ゴルドベルク変奏曲》/横山幸雄
♪M3 J.S. バッハ/ブゾーニ《シャコンヌ》/横山幸雄

5月3日(祝)ギネス世界記録チャレンジコンサート開催!

2011.03.14


是非、その場で更新の瞬間をご覧下さい。
チケットはこちらのURLから!
http://www.tfm.co.jp/event/index.php?action=item&id=fbc08dc2342f86fb49583bbe95a6acb2


世界的ピアニスト横山幸雄、ショパン連続演奏のギネス世界記録更新に挑みます。
ショパンの現存曲212曲に挑戦!もちろん暗譜です。
ギネスの世界記録更新を果たすことができるのか!
更新の瞬間、あなたは何を感じるのか?

【第一部 パート1 (12曲)】朝8:00〜
1 ポロネーズ ト短調 WN2 (1817)
2 ポロネーズ 変ロ長調 WN1 (1817)
3 ポロネーズ 変イ長調 WN3 (1821)
4 ポロネーズ 嬰ト短調 WN4 (1824)  
5 ポロネーズ 変ロ短調 WN10 (1826)
6 マズルカ ニ長調 (1820)
7 マズルカ 変ロ長調WN7 (1826)
8 マズルカ ト長調WN8 (1826)
9 ロンド ハ短調 op.1
10 マズルカ風ロンド ヘ長調 op.5
11 ロンド ハ長調 WN15 (1828 op.73)
12 ソナタ 第1番 ハ短調 op.4
【第一部 パート2 (22曲)】午前9:25〜
13 ドイツ民謡『スイスの少年』による変奏曲
   ホ長調 WN6 (1824)
14 葬送行進曲 ハ短調 WN9 (1828 op.72-2)
15 エコセーズ ニ長調 WN13 (1826 op.72-3)
16 エコセーズ ト長調 WN13 (1826 op.72-3)
17 エコセーズ 変ニ長調 WN13 (1826 op.72-3)
18 変奏曲 パガニーニの思い出
  イ長調 WN16 (1829)
19 コントルダンス 変ト長調 WN27 (1827)
20 アレグレット 嬰ヘ長調 WN36 (1829)
21 マズルカ イ短調 WN14 (1827 op.68-2)
22 マズルカ ハ長調 WN24 (1829 op.68-1)
23 マズルカ ヘ長調 WN25 (1830 op.68-3)
24 マズルカ ト長調 WN26 (1830 op.67-1)
25 ポロネーズ ニ短調 WN11 (1825-27 op.71-1)
26 ポロネーズ ヘ短調 WN12 (1826-28 op.71-3)
27 ポロネーズ 変ロ長調 WN17 (1829 op.71-2)
28 ポロネーズ 変ト長調 WN35 (1830)
29 ワルツ 変ホ長調 (1827)
30 ワルツ ホ長調 WN18 (1829)
31 ワルツ ロ短調 WN19 (1829 op.69-2)
32 ワルツ 変ニ長調 WN20 (1829 op.70-3)
33 ワルツ 変イ長調 WN28 (1829-30)
34 ワルツ ホ短調 WN29 (1830)
【第一部 パート3 (26曲)】午前10:50〜
35 マズルカ 第1番 嬰ヘ短調 op.6-1
36 マズルカ 第2番 嬰ハ短調 op.6-2
37 マズルカ 第3番 ホ長調 op.6-3
38 マズルカ 第4番 変ホ短調 op.6-4
39 マズルカ 第5番 変ロ長調 op.7-1
40 マズルカ 第6番 イ短調 op.7-2
41 マズルカ 第7番 ヘ短調 op.7-3
42 マズルカ 第8番 変イ長調 op.7-4
43 マズルカ 第9番 ハ長調 op.7-5
44 ノクターン ホ短調 WN23 (1827 op.72-1)
45 ノクターン 嬰ハ短調 WN37
  『レント・コン・グラン・エスプレッシオ-ネ』 (1830)
46 ノクターン 第1番 変ロ短調 op.9-1
47 ノクターン 第2番 変ホ長調 op.9-2
48 ノクターン 第3番 ロ長調 op.9-3
49 エチュード 第1番 op.10-1 ハ長調
50 エチュード 第2番 op.10-2 イ短調
51 エチュード 第3番 op.10-3 ホ長調 『別れの曲』
52 エチュード 第4番 op.10-4 嬰ハ短調
53 エチュード 第5番 op.10-5 変ト長調 『黒鍵』
54 エチュード 第6番 op.10-6 変ホ短調
55 エチュード 第7番 op.10-7 ハ長調
56 エチュード 第8番 op.10-8 ヘ長調
57 エチュード 第9番 op.10-9 ヘ短調
58 エチュード 第10番 op.10-10 変イ長調
59 エチュード 第11番 op.10-11 変ホ長調
60 エチュード 第12番 op.10-12 ハ短調 『革命』

【第二部 パート1 (12曲)】昼12:30〜
61 華麗なる変奏曲 変ロ長調 op.12
62 ノクターン 第4番 ヘ長調 op.15-1
63 ノクターン 第5番 嬰ヘ長調 op.15-2
64 ノクターン 第6番 ト短調 op.15-3
65 序奏とロンド 変ホ長調 op.16
66 マズルカ 第10番 変ロ長調 op.17-1
67 マズルカ 第11番 ホ短調 op.17-2
68 マズルカ 第12番 変イ長調 op.17-3
69 マズルカ 第13番 イ短調 op.17-4
70 ワルツ 第1番 変ホ長調 op.18
   『華麗なる大円舞曲』
71 序奏とボレロ ハ長調 op.19
72 スケルツォ 第1番 ロ短調 op.20
【第二部 パート2 (22曲)】午後1:55〜
73 アンダンテ・スピアナートと
   華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 op.22
74 マズルカ ニ長調 (1832)
75 マズルカ 変ロ長調 WN41 (1832)
76 マズルカ ハ長調 (1833)
77 マズルカ 変イ長調 WN45 (1833)
78 マズルカ ハ長調 WN48 (1835 op.67-3)
79 ワルツ 変ト長調 WN42 (1832 op.70-1)
80 ワルツ 変イ長調 WN47 (1835 op.69-1)
81 カンタービレ 変ロ長調 WN43 (1834)
82 プレリュード 変イ長調 WN44 (1834)
83 幻想即興曲 嬰ハ短調 WN46 (1834-35 op.66)
84 ラルゴ 変ホ長調 (1837)
85 春 ト短調 WN52a (1838)
86 変奏曲 ヘクサメロン 第6変奏 ホ長調 (1837)
87 3つの新しいエチュード 第1番 ヘ短調 (1837)
88 3つの新しいエチュード 第2番 変イ長調 (1837)
89 3つの新しいエチュード 第3番 変二長調 (1837)
90 マズルカ 第14番 ト短調 op.24-1
91 マズルカ 第15番 ハ長調 op.24-2
92 マズルカ 第16番 変イ長調 op.24-3
93 マズルカ 第17番 変ロ短調 op.24-4
94 バラード 第1番 ト短調 op.23
【第二部 パート3 (21曲)】午後3:20〜
95 ポロネーズ 第1番 嬰ハ短調 op.26-1
96 ポロネーズ 第2番 変ホ短調 op.26-2
97 ノクターン 第7番 嬰ハ短調 op.27-1
98 ノクターン 第8番 変ニ長調 op.27-2
99 即興曲 第1番 変イ長調 op.29
100 マズルカ 第18番 ハ短調 op.30-1
101 マズルカ 第19番 ロ短調 op.30-2
102 マズルカ 第20番 変ニ長調 op.30-3
103 マズルカ 第21番 嬰ハ短調 op.30-4
104 エチュード 第1番 変イ長調 op.25-1
    『エオリアンハープ』
105 エチュード 第2番 ヘ短調 op.25-2
106 エチュード 第3番 ヘ長調 op.25-3
107 エチュード 第4番 イ短調 op.25-4
108 エチュード 第5番 ホ短調 op.25-5
109 エチュード 第6番 嬰ト短調 op.25-6
110 エチュード 第7番 嬰ハ短調 op.25-7
111 エチュード 第8番 変ニ長調 op.25-8
112 エチュード 第9番 変ト長調 op.25-9 『蝶々』
113 エチュード 第10番 ロ短調 op.25-10
114 エチュード 第11番 イ短調 op.25-11 『木枯らし』
115 エチュード 第12番 ハ短調 op.25-12 『大洋』

【第三部 パート1 (33曲)】午後5:30〜
116 ノクターン 第9番 ロ長調 op.32-1
117 ノクターン 第10番 変イ長調 op.32-2
118 マズルカ 第22番 嬰ト短調 op.33-1
119 マズルカ 第23番 ニ長調 op.33-2
120 マズルカ 第24番 ハ長調 op.33-3
121 マズルカ 第25番 ロ短調 op.33-4
122 マズルカ イ短調 『ノートル・タン』 (1840)
123 マズルカ イ短調 『エミール・ガイヤールへ』 (1841)
124 スケルツォ 第2番 変ロ短調 op.31
125 プレリュード 第1番 ハ長調 op.28-1
126 プレリュード 第2番 イ短調 op.28-2
127 プレリュード 第3番 ト長調 op.28-3
128 プレリュード 第4番 ホ短調 op.28-4
129 プレリュード 第5番 ニ長調 op.28-5
130 プレリュード 第6番 ロ短調 op.28-6
131 プレリュード 第7番 イ長調 op.28-7
132 プレリュード 第8番 嬰ヘ短調 op.28-8
133 プレリュード 第9番 ホ長調 op.28-9
134 プレリュード 第10番 嬰ハ短調 op.28-10
135 プレリュード 第11番 ロ長調 op.28-11
136 プレリュード 第12番 嬰ト短調 op.28-12
137 プレリュード 第13番 嬰ヘ長調 op.28-13
138 プレリュード 第14番 変ホ短調 op.28-14
139 プレリュード 第15番 変ニ長調 op.28-15 『雨だれ』
140 プレリュード 第16番 変ロ短調 op.28-16
141 プレリュード 第17番 変イ長調 op.28-17
142 プレリュード 第18番 ヘ短調 op.28-18
143 プレリュード 第19番 変ホ長調 op.28-19
144 プレリュード 第20番 ハ短調 op.28-20
145 プレリュード 第21番 変ロ長調 op.28-21
146 プレリュード 第22番 ト短調 op.28-22
147 プレリュード 第23番 ヘ長調 op.28-23
148 プレリュード 第24番 ニ短調 op.28-24
【第三部 パート2 ( 17曲)】夕方6:55〜
149 即興曲 第2番 嬰ヘ長調 op.36
150 ノクターン 第11番 ト短調 op.37-1
151 ノクターン 第12番 ト長調 op.37-2
152 ワルツ ヘ短調 WN55 (1841 op.70-2)
153 ワルツ イ短調 WN63 (1847-49)
154 アレグレットとマズール イ長調
155 ソステヌート 変ホ長調 WN53 (1843)
156 フーガ イ短調 (1841-42)
157 モデラート 『アルバムの一葉』
   ホ長調 WN56 (1843)
158 ギャロップ・マルキ 変イ長調 WN59 (1846)
159 ノクターン ハ短調 WN62 (1845-46)
160 ブーレ ト長調 (1846)
161 ブーレ イ長調 (1846)
162 ワルツ 第2番 変イ長調 op.34-1 『華麗なる円舞曲』
163 ワルツ 第3番 イ短調 op.34-2 『華麗なる円舞曲』
164 ワルツ 第4番 ヘ長調 op.34-3 『華麗なる円舞曲』
165 ソナタ 第2番 変ロ短調 op.35 『葬送』
【第三部 パート3 (13曲)】夜8:20〜
166 バラード 第2番 ヘ長調 op.38
167 スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 op.39
168 ポロネーズ 第3番 イ長調 op.40-1 『軍隊』
169 ポロネーズ 第4番 ハ短調 op.40-2
170 マズルカ 第26番 ホ短調 op.41-1
171 マズルカ 第27番 ロ長調 op.41-2
172 マズルカ 第28番 変イ長調 op.41-3
173 マズルカ 第29番 嬰ハ短調 op.41-4
174 ワルツ 第5番 変イ長調 op.42 『大円舞曲』
175 タランテラ 変イ長調 op.43
176 ポロネーズ 第5番 嬰ヘ短調 op.44
177 プレリュード 嬰ハ短調 op.45
178 演奏会用アレグロ イ長調 op.46

【第四部 パート1 (10曲)】夜10:00〜
179 バラード 第3番 変イ長調 op.47
180 ノクターン 第13番 ハ短調 op.48-1
181 ノクターン 第14番 嬰ヘ短調 op.48-2
182 幻想曲 ヘ短調 op.49
183 マズルカ 第30番 ト長調 op.50-1
184 マズルカ 第31番 変イ長調 op.50-2
185 マズルカ 第32番 嬰ハ短調 op.50-3
186 即興曲 第3番 変ト長調 op.51
187 バラード 第4番 ヘ短調 op.52
188 ポロネーズ 第6番 変イ長調 op.53 『英雄』
【第四部 パート2 (8曲)】夜11:25〜
189 スケルツォ 第4番 ホ長調 op.54
190 ノクターン 第15番 ヘ短調 op.55-1
191 ノクターン 第16番 変ホ長調 op.55-2
192 マズルカ 第33番 ロ長調 op.56-1
193 マズルカ 第34番 ハ長調 op.56-2
194 マズルカ 第35番 ハ短調 op.56-3
195 子守歌 変ニ長調 op.57
196 ソナタ 第3番 ロ短調 op.58
【第四部 パート3 (16曲)】深夜0:50〜
197 マズルカ 第36番 イ短調 op.59-1
198 マズルカ 第37番 変イ長調 op.59-2
199 マズルカ 第38番 嬰ヘ短調 op.59-3
200 舟歌 嬰ヘ長調 op.60
201 ノクターン 第17番 ロ長調 op.62-1
202 ノクターン 第18番 ホ長調 op.62-2
203 マズルカ 第39番 ロ長調 op.63-1
204 マズルカ 第40番 ヘ短調 op.63-2
205 マズルカ 第41番 嬰ハ短調 op.63-3
206 マズルカ イ短調 WN60 (1846 op.67-4)
207 マズルカ ト短調 WN64 (1846 op.67-2)
208 マズルカ へ短調 WN65 (1848 op.68-4)
209 ワルツ 第6番 変ニ長調 op.64-1 『小犬のワルツ』
210 ワルツ 第7番 嬰ハ短調 op.64-2
211 ワルツ 第8番 変イ長調 op.64-3
212 ポロネーズ 第7番 変イ長調 op.61
<

東日本大震災に伴うお知らせ

2011.03.14


東日本大震災に伴い、
通常の番組内容を変更して、特別番組をお送りしています。
番組Webサイトの通常更新は行っておりません。
あらかじめご了承下さい。

3月6日 ヨハン・セバスチャン・バッハ①

2011.03.07


3月第1回目は、3月生まれの大作曲家、ヨハン・セバスチャン・バッハの人生&音楽を特集しました。
実はこの2月、3月という時期に生まれた作曲家は他にも結構たくさんいるんですよ。
例えば、2月生まれでは先週とりあげたリストの師匠、チェルニーや、メンデルスゾーン、ワーグナー、ロッシーニ、ヘンデルなど・・・3月にはショパン、ヴィヴァルディ、ラヴェル、ハイドン、その他多数。

●「音楽の父」と呼ばれるバッハの人生(30 代後半まで)
============================
・1865年3月21日、ドイツ中部、テューリンゲン地方のアイゼナハで生まれました。
・幅広いジャンルにわたって作曲を行い、オペラ以外のあらゆる曲種を手がけ、その数1000曲以上。
・幼い頃両親を亡くし、その後兄から音楽教育を受けますが、兄からあたえられた教材に満足でき ず、兄秘蔵の楽譜を持ち出して夜毎秘かに書き写した、という逸話はよく知られています。
・15歳のバッハは自立の道を選んで北ドイツの町リューネブルクへ移り、ミカエル教会付属学校の給費生となり、聖歌隊で歌うのと同時に、オルガニストとしての腕も磨き、この頃からオルガン曲やクラヴィーア曲の作曲を開始しています。
・18歳から21歳までアルンシュタット(テューリンゲン地方)でオルガニストとしての職を務めました。そこで最初の妻(バッハは生涯で2度結婚)、マリア・バーバラ・バッハと出会い、翌22歳で結婚。(マリアとは父親同士が従兄弟という遠い親戚にあたる。その後 5男2女をもうけるが、1720年バッハが35歳の時、マリアが急死。)
・その後、ミュールハウゼンでの教会オルガニスト(21歳〜23歳)、ヴァイマールでの宮廷オルガニスト(23歳〜32歳)の経験を重ね、オルガニストとしてのバッハの名声はドイツ各地に広まっていきました。
・32歳のときにケーテンの宮廷楽長に就任(1717〜1723年。32歳〜38歳)。
・当時のケーテンの宮廷楽団には優れた器楽奏者がおり、バッハはそのメンバーのために数多くの器楽曲を作曲。ソナタ・組曲・協奏曲等の主要な器楽作品は殆どこの時代に作曲されています。
・クラヴィーア作品が集中的に書かれたのもこの時期で、主に弟子の教育や家庭での演奏を目的として2声と3声の《インヴェンション》(BWV 772〜801)、 24の長調と短調を用いた《平均律クラヴィーア曲集第1巻》(BWV 846〜869)、《イギリス組曲》(BWV 806〜811)、《フランス組曲》(BWV 812〜817) などがあります。
==============================


●バッハのクラヴィーア作品について

私たちに馴染みのある「ピアノ」は、当時発明されたばかりで、まだ試作品の段階でした。その後徐々に改良されていき、ショパンやリストの時代に現代のピアノの形が出来上がって行きます。
バッハのクラヴィーア作品は主にチェンボロ、オルガン、クラヴィコードの3種のいずれかの楽器のために書かれていますが、バッハ自身は楽譜に楽器を明示しなかったので、私たちは作品の音域や様式から推測するしかありません。

そんなバッハの作品を私たちはチェンバロで演奏したり、また現代のピアノで演奏したり、さらには違う楽器に編曲して演奏したりしています。たとえ本来は現代ピアノのために書かれたものではなくとも、偉大な作品には楽器をも選ばない音楽としての普遍性と多様性があるのではないかと思います。

僕もバッハの作品を現代ピアノで演奏しますが、もしバッハがタイムマシンで現代にやってきて演奏したらどんな音楽になるんだろう?!・・・なんてことを想像しながら演奏しています。

バッハの作品には、まだまだたくさんの名曲があります。
来週も引き続き、新たなバッハの魅力をみなさんと一緒に発見できたら思いますので、
どうぞお楽しみに♪

<オンエア楽曲>
♪M1 《小フーガ ト短調》(BWV578)
♪M2 《ブランデンブルク協奏曲 第5番》(BWV1050)より第1楽章
♪M3 《イギリス組曲 第3番》(BWV808)よりプレリュード

<横山幸雄の今後の予定>
● 3月9日(水)午後7時から
会場:東京、上野学園にある石橋メモリアルホール
「プレイエルによるショパン ピアノ独奏曲演奏会 第6回」があります。
曲目:パリ時代初期の遺作のマズルカ、4つのマズルカOp.17、12の練習曲Op.25 他

●5月3日(祝) 午前8時(7時半開場)〜深夜2時 終演予定
会場:東京オペラシティコンサートホール
「横山幸雄 ショパン・ピアノソロ 完全奏覇全212曲 世界記録更新チャレンジコンサート」

2月27日の放送では・・・音響設計士の永田穂さんをお迎えしました!

2011.02.28


昨年から12回にわたるシリーズとして行っている、
「プレイエルによるショパンピアノ独奏曲演奏会」。
今月も17日に第5回が終わり、来月3月9日には第6回が予定されています。
開催場所は毎回、上野学園の石橋メモリアルホールなのですが・・・

今夜はその石橋メモリアルホールを担当された音響設計士 永田穂さんをゲストにお迎えして
お送りしました。永田さんといえば、日本を代表する音響設計士でいらっしゃいます。
永田さんの設計ではない音楽ホールを探す方が難しいくらい、各地のホールを手がけていらっしゃいます。
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<永田さんの経歴>
NHK入局後、同技術研究所音響研究部長、主管を歴任
1971年 永田 穂 建築音響設計事務所創立
1993年 株式会社 永田音響設計に改称
1994年 代表取締役社長を退き、取締役特別顧問に就任、現在に至る

<主な著書>
「リスニング・ルームの設計」(音楽之友社)
「私のベートーヴェン 二つのベートーヴェン・ホール」
「静けさ よい音 よい響き」「新版 建築の音響設計」

<これまでに音響設計を実施した主なホール>
NHKホール /東京文化会館 /石橋メモリアルホール/ 昭和女子大学人見記念講堂/ サントリーホール/ 東京芸術劇場
すみだトリフォニーホール /葛飾シンフォニーヒルズ /京都コンサートホール /水戸芸術館 
松本ザ・ハーモニーホール /福島市音楽堂 /熊本県立劇場 /カザルスホール /津田ホール 
紀尾井ホール /トッパンホール / その他多数・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

永田さんが音響設計に関わられた当初は、まだ日本の音響学やその他の基盤も整っておらず、
永田さんはこの分野での草分け的存在です。 NHKホールの設計やドイツ留学を経て、
1971年に永田穂 建築音響設計事務所を創立されました。

そして事務所設立後、一番最初に手がけられたのが、初代石橋メモリアルホールであり、
さらに2008年に改修された新石橋メモリアルホールも永田さんが音響設計をご担当されました。
僕は初代石橋メモリアルホールの自然な響きがとても気に入っていたので、改修工事の際も、
ぜひ当初の響きを残して欲しいと思い、「この響きを再現できるなら壊しても良い」とお願いしたんですよね。
そんな経緯もあって、再び永田さんの設計により、素晴らしいホールが完成しました。
今僕が行っている「プレイエルによるショパンピアノ独奏曲演奏会」では約100年前の楽器を使用していますが、あの楽器が弾くのに本当にぴったりの響きだと思います。

その他にも、永田さんには日本と海外のコンサートホールの構造や素材の違いについてもお話頂きました。
そして、永田さんに今後どんなホールがあれば良いと思います?と伺ったところ、今の日本には「カテドラル(教会)の響き」がない、とのことでした。ヨーロッパの教会は高い天井、重厚な石造りで、残響も7秒程度のところもあるそうです!
また、もう一つは、「森の中の響き」。確かに細かい反射音がたくさんあって、気持ちがいいですよね。「カテドラルの響き」にしても「森の響き」にしても、コンサートホールと呼ばれるものができるよりも、ずっと以前から人間と一緒にあったものというのが、面白いですね。
永田さんの手によって、ぜひそんなホールが実現したらいいのになと思います!

今夜は永田さんのお話を伺って、ホールの素晴らしい響きがあってこそ、
我々の演奏がいきてくるということを再認識しました。
永田さん、どうもありがとうございました!

皆さんも永田さんの手掛けられたコンサートホールで、音楽を堪能してみてはいかがでしょうか?




★★★スペシャルプレゼントについて★★★

●【プレイエルによるショパン ピアノ独奏曲演奏会 第6回】ご招待券プレゼントについて

今回のゲスト、音響設計士の永田穂さんが設計されたコンサートホール
石橋メモリアルホールにて行う【プレイエルによるショパン ピアノ独奏曲演奏会 第6回】

・日時 3月9日(水) 開演 19:00(午後7時)
・2名1組さま
・ご希望の方は、メールにてご応募下さい。
 お名前、住所、ご連絡先電話番号、年齢をお書き下さい。
 (発送手配の都合により、締切を3月3日(木)24:00までとさせて頂きます)

※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせて頂きます。
 

普段は、電波を通して聞いてる、横山幸雄の生演奏を石橋メモリアルホールにてお楽しみください。

<オンエア楽曲>
♪M1 ベートーヴェン<ピアノソナタ第26番 告別>より第2楽章 ピアノ:ペーター・レーゼル
♪M2 ショパン<舟歌> ピアノ:横山幸雄
(アルバム『Cher Chopin』より。永田さん設計の那須野が原ハーモニーホールにて録音したものです)






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