ON AIR REPORT オンエアレポート

最終回はショパンで!

2018.10.01


「ピアノでめぐり逢い」最終回、お聴きいただきありがとうございました!

2009年の10月にスタートしたこの「ピアノでめぐり逢い」。
2010年のショパン生誕200年に向けて、ショパンの生涯をじっくり辿ることからスタートしました。

2010年の5月には「ショパン・ピアノソロ全166曲コンサート」を開催。
朝9時から深夜1時までの1日で弾く、という内容で、「24時間でもっとも多い曲数を1人で演奏したアーティスト」としてギネス世界記録に認定されました。

そこから毎年新しい試みを取り入れながら、少しずつ形を変え、
来年2019年にはちょうど第10回という大きな節目を迎えます。

最終回の今夜は、改めて「ショパン」について、お話し、
来年行われる第10回「入魂のショパン2019」についてもご紹介しました。

<Playlist>
 M1 ショパン 《12のエチュード op.10》より 第1曲、2曲/ 横山幸雄(ピアノ)<入魂のショパン2014>ライブ録音

 M2 ショパン 《チェロ・ソナタ》op.65 より 第一楽章 / 趙 静(チェロ)、横山幸雄(ピアノ)<三鷹Voyage第5回>のライブ録音

 M3 ショパン 《17のポーランドの歌》op.74 より <乙女の願い>
  /ステファニア・ヴォイトヴィチ(メゾ・ソプラノ)、ワンダ・クリモヴィチ(ピアノ)
 
 M4 ショパン 《ポロネーズ第7番「幻想」 Op.61》/ 横山幸雄(ピアノ)<入魂のショパン2014>ライブ録音

● 第10回目、「入魂のショパン2019」
2019ゴールデンウィーク、東京オペラシティコンサートホールで開催!

・「入魂のショパン」史上初! 3日間におよぶ演奏会!
・こちらも入魂のショパン」史上初! ソロ以外の作品を本来の形で演奏!
管弦楽作品のみならず、室内楽作品、歌曲など、ショパンの全作品をオリジナル形式で演奏します。
・本当にショパンの全作品が味わえる、人類史上初、横山さんにとっても二度とないかも!なコンサート!
ぜひ足をお運びください!

M1「12のエチュード 作品10」は、これまでのショパン全曲演奏会で、コンサート冒頭あるいは各部の冒頭に演奏する機会がもっとも多かった作品。
「この作品が<入魂のショパン>では、ひとつの鬼門でした。大変な作品で、この曲を無事に乗り切れると安心します」と横山さん。

M2「チェロ・ソナタ」は、ショパンが生前に発表・出版した最後の作品。1846年に完成。
彼の親友で、当時、フランスを代表するチェリストであったオーギュスト・フランショームに捧げられています。
フランショームはショパンの写譜をするなど、ショパンを支え続けてきた人物。フランショームの友情に感謝し、彼との共演という夢を果たすため作曲されました。
「この作品は、それまでとは作風もちがい、ショパンが長生きしたときの作風を想像させます。演奏される機会が少ないのは、ピアノのパートもとても難しいからだと思います。」と横山さん。

M3 歌曲集「17のポーランドの歌」から「乙女の願い」は、18歳のときに書かれたといわれる作品。ポーランド語で、シンプルで素朴、祖国へのおもいやりにみちています。
第1曲の「乙女の願い」は、歌曲の中でも最も有名です。ピアノ独奏用編曲で広く知られています。
ショパンが亡くなってから草稿の中から見つかった歌曲を集めて出版されました。
・ 「乙女の願い」の歌詞(ステファノ・ヴィチヴィッキ)は・・・
もし私が空の太陽だったら あなただけを照らすのに。
海でも森でもなくあなたの窓辺だけを永遠に。太陽になれたなら.....
もし私が森の小鳥だったら あなただけのために歌うのに。
海ででも森ででもなくあなたの窓辺でだけ永遠に。小鳥になれたなら....

M4 「幻想ポロネーズ」は、ショパン全曲演奏会でラストに演奏する機会がもっとも多かった作品。「生涯にポロネーズをたくさん書いたショパンですが、この最後のポロネーズで形式から自由になり、自由な世界にはばたいた」「この曲で、<入魂のショパン>が終わる、というイメージを私自身も持っています」と横山さん。

「全472回、長い間、お聴きいただきありがとうございました。私自身にも貴重な経験になりました。
またコンサート会場でお会いできることを楽しみにしています。横山幸雄」
ありがとうございました!

スタッフ
プロデューサー:松任谷玉子、
構成:山原麻紀子、成田麗奈(2015年8月―2016年3月)
演出:和田夕子 (2009年ー2013年)、氏家美佳(2013年ー2018年)

没後100年ドビュッシーに注目!

2018.09.24


今夜もお聴きいただきありがとうございました。
今回は、没後100年のドビュッシーに注目しました。

<Playlist>
M1 ドビュッシー<牧神の午後への前奏曲> /横山幸雄(ピアノ)(1994年のアルバム『イマージュ』より)

M2 ドビュッシー 《版画》 より第1曲 <塔>/ジャック・ルビエ(ピアノ)

M3 ドビュッシー <亜麻色の髪の乙女 / "La fille aux cheveux de lin"> 《前奏曲集 第1集》より 第8曲 /横山幸雄(ピアノ)(三鷹Voyage 第2回のライブ録音より)

M1は、ドビュッシー30歳(1892-1894年にかけて)のとき作曲された管弦楽作品で、この頃から新進作曲家として有名になりました。

ドビュッシーが敬慕していた詩人マラルメ の『牧神の午後』(『半獣神の午後』)に感銘を受けて書かれた作品で、" 夏の昼下がり、好色な牧神が昼寝のまどろみの中で官能的な夢想に耽る"という内容です。
牧神の象徴である「パンの笛」をイメージする楽器としてフルートが重要な役割を担っています。

今夜は、横山さんがピアノ曲に編曲したバージョンをお送りしました。

M2 1890年代半ばごろから作曲に着手し、1903年に完成、翌年初演された。ドビュッシーが印象主義的なピアノ技法を確立した作品です。
<塔>は、ドビュッシーが1889年にパリで開催された万国博覧会において、バリ島民の演奏するガムラン音楽を聴き、深く興味をもったことから生まれています。

『版画』は「塔」「グラナダの夕べ」「雨のそそぐ庭」の三曲から構成されており、各曲それぞれ、オリエント、スペイン、フランスから題材をとっていますが、実際にドビュッシーは東洋にもスペインにも行ったことがないため、「想像でうめあわせをするしかありません」と手紙に書かれています。

M3 前奏曲集 第1集は、1909年から1910年にかけて作曲。ドビュッシー47〜48歳頃の作品。『亜麻色の髪の乙女』は他の曲と趣が異なり、調性もはっきり変ト長調に定まった旋律的で短い小品である。詩人ルコント・ド・リールの『スコットランドの歌』という詩集中の同名の詩に影響を受けて作曲されました。

この詩では、「亜麻色の髪の乙女」 について、次のように表現されている。 “夏の明るい陽をあびて、ひばりとともに愛をうたう、桜桃の実のくちびるをした美少女”


●ドビュッシーは、1862年 -8月22日 パリ郊外の町サン=ジェルマン=アン=レで陶器商の家に生まれました。パリ音楽院に12年間在籍し、ローマ大賞も受賞しています。

1880年 - チャイコフスキーのパトロンであったフォン・メック夫人の長期旅行にピアニストとして同伴。1888年には、ドイツのバイロイトに行き、ワーグナーに傾倒しています。ロシアはじめ各地をまわったことは、彼の音楽形成に大きな影響をおよぼしていると考えられます。

1918年 - 3月25日 死去。今年は没後100年です。
それを記念して、横山さんのコンサート、CDのリリースがあります。

12月27日(木) 紀尾井ホール 「クロード・ドビュッシーに捧ぐ」 横山幸雄
12月に発表予定のドビュッシーの「前奏曲集」のCDつきチケットは9月29日発売です!

20180923ベートーヴェン・プラスVol5 第2部を終えて

「ベートーヴェン・プラスVol5」無事に終了!
お越しいただいたみなさまありがとうございました。
アンコールでは、この番組のエンディングテーマでもある、
横山さん作曲の「アヴェマリア」が演奏され、スタッフも大感激でした。

さて、来週は、この番組の最終回となります。ぜひお聴きくださいね!

終演後 サイン会でも笑顔の横山さん

<ベートーヴェン・プラスVol.5>直前スペシャル3!

2018.09.17


いつもお聴きいただきありがとうございます。
今回は、いよいよ今度の日曜に迫った<ベートーヴェン・プラスVol.5>の直前スペシャル3回目をお送りしました!


M1 ベートーヴェン 《ピアノ・ソナタ第22番 Op. 54》 /横山幸雄(ピアノ)(CD『ベートーヴェン12会』より)

M2 ショパン 《ピアノ・ソナタ 第3番 Op. 58》より 第1楽章 /横山幸雄(ピアノ)(「入魂のショパン2014」のライブ録音)

M3 ラヴェル 《夜のガスパール》より第1曲「オンディーヌ」 / 横山幸雄(ピアノ)( 三鷹Voyage第10回のライブ音源)

M1は、ベートーヴェンが「交響曲第3番 英雄」を作曲した1804年34歳の作品。「ワルトシュタイン」と「熱情」というピアノ・ソナタの傑作のあいだに生まれた少し地味な存在ですが、2楽章構成かつソナタ形式を持たないという「とらえどころがない、実験的な作品」と横山さんもおっしゃっています。

M2は、1844年、ショパン34歳の作品。ショパンのピアノ・ソナタの中で3番は古典回帰、といったイメージ。ショパンにとっては最後の大作です。

M3は、1908年、ラヴェルが33歳の作品。最も難しいと当時言われたバラキレフの<イスラメイ>よりも難しい曲を書くと宣言して作曲したといわれます。

ベートーヴェンが30代の絶頂期、「創作の森」と言われた時期の作品を一挙に演奏、そして、後に続く作曲家の30代の作品に注目した内容、横山さん自身も「難しい曲」と解説した曲が並んでいます。でもいつものように軽々と感動的な演奏を聴かせてくれることでしょう。
ぜひお出かけくださいね!

<ベートーヴェン・プラスVol1.5>
日時:9月23日(日・祝)、朝の11時開演、夕方4時半の終演予定
場所:東京オペラシティコンサートホール
第1部 11:00開演
ベートーヴェン:創作主題による6つの変奏曲 ヘ長調Op. 34
       「エロイカ」の主題による15の変奏曲とフーガ 変ホ長調 Op. 35
第2部 12:00開演
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 Op. 53「ワルトシュタイン」
第3部 13:30開演
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第22番 ヘ長調 Op. 54
         ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 Op .57 「熱情」
第4部 14:30開演
 ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 Op. 35
 ショパン:ピアノ・ソナタ3番ロ短調 Op. 58
第5部 15:40開演 
 ドビュッシー(横山幸雄編):牧神の午後への前奏曲
 ラヴェル:夜のガスパール

ニューアルバム「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番」

2018.09.10


9月9日(日)

今夜もお聴きいただきありがとうございました!
今回は、8月22日にリリースされたばかりの横山幸雄さんのニューアルバム「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番」と、
11月の豪華なコンサートについてご紹介しました!
Rachimaninov


M1 ラフマニノフ 《パガニーニの主題による狂詩曲》作品43
M2 ラフマニノフ 《ピアノ協奏曲 第2番 》より 第1楽章
横山幸雄(ピアノ)、下野竜也(指揮)、新日本フィルハーモニー交響楽団
(M1,M2ニューアルバム「横山幸雄:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番」より)
M3 プロコフィエフ《ピアノ協奏曲第3番》作品26から第1楽章/マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)、クラウディオ・アバド(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ニューアルバムは、今年1月20日に横浜みなとみらいで行った「ショパン&ラフマニノフ 珠玉の協奏曲の饗宴」から、コンサートの後半に演奏したラフマニノフ(1873-1943)のピアノと管弦楽のための作品2曲をおさめました。

M1は、1934年、セルゲイ・ラフマニノフが61歳の頃に作曲。ラフマニノフ最後の協奏作品で、スイスのルツェルンの別荘で作曲しました。

ピアノとオーケストラのために書かれた変奏曲形式の作品で、パガニーニ(1782−1840)の《24のカプリース》というヴァイオリンのための無伴奏独奏曲の最後、第24番を主題としています。パガニーニの「24のカプリース(奇想曲)」の最終曲、第24番はいろいろな作曲家がテーマとして繰り返し用いています。リスト《パガニーニ大練習曲第6番》 / ブラームス《パガニーニの主題による変奏曲》/ ルトスワフスキ《パガニーニの主題による変奏曲》などなど。いずれも超絶技巧の難曲です。
ブラームスの変奏曲は、9月23日の<ベートーヴェン・プラス>でも演奏します!


M2のピアノ協奏曲2番は、1901年の完成で、ラフマニノフ20代後半に書いた出世作。

1897年(24歳)で《交響曲第1番》を作曲、初演するものの批評家の酷評にあい、ラフマニノフは鬱傾向と自信喪失に陥り、作曲活動ができない状態となりまます。その後、1900年、友人のすすめでニコライ・ダーリ博士の催眠療法と心理療法を受け、家族の支えもあり快復。ラフマニノフは、翌年この「ピアノ協奏曲第2番」を作曲し、ダーリに献呈しています。初演は大成功に終わり、ラフマニノフがそれまでの数年間にわたるうつ病とスランプを抜け出す糸口となりました。

その後も広く演奏されて圧倒的な人気を得る作品で、横山さんももっとも多く演奏するピアノ協奏曲です。この秋もこの協奏曲を聞くチャンスがあります!


「華麗なるロシア4大ピアノ協奏曲の響宴」
☆11月25日(日) Bunkamuraオーチャードホール(東京・渋谷)
お昼1時開演〜4時頃終演予定
ピアノ:横山幸雄/指揮:アレクサンドル・スラドコフスキー/東京フィルハーモニー交響楽団   
曲目:
チャイコフスキー(1840-1893)ピアノ協奏曲第1番
プロコフィエフ(1891-1953) ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ ピアノ協奏曲2番&第3番
日本におけるロシアイヤーをしめくくる一大イベントです。

◎どりーむコンサートVol.107 シェエラザード 〜千夜一夜物語〜
日時:10月28日(日)、お昼の2時開演
場所:府中の森芸術劇場 どりーむホール(東京)
曲目:ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番      
共演:指揮:井上道義 管弦楽:東京交響楽団

ぜひライブでもCDでもお楽しみください!


ベートーヴェン・プラスVol.5直前スペシャル第2回!

2018.09.03


今夜もお聴きいただきありがとうございました。

今回は、9月23日(日・秋分の日)に東京オペラシティ コンサートホールで行う「横山幸雄・ベートーヴェン・プラス Vol.5」の直前スペシャル第2回!
ベートーヴェンにとって重要な作曲ジャンルであった「変奏曲」に焦点をあて、演奏会の第1部の内容を中心にご紹介しました。

 <PLAYLIST>
♪M1 ベートーヴェン 《創作主題による6つの変奏曲 ヘ長調Op. 34》 / 横山幸雄(ピアノ) (『ベートーヴェン12会』より)
♪M2 ベートーヴェン 《「エロイカ」の主題による15の変奏曲とフーガ 変ホ長調 Op. 35》 横山幸雄(ピアノ)(『ベートーヴェン12会』より)
♪M3 ブラームス 《パガニーニの主題による変奏曲op.35》/リーリャ・ジルベルシュテイン(ピアノ)

M1は、1802年、ベートーヴェン32歳の作品です。
出版に際して、ベートーヴェンは、「本当に全く新しい手法」を用いた作品であると宣伝しました。
なぜなら、当時の変奏曲の多くが、聴衆にとってなじみのある民謡や人気のあるオペラのアリアなどを基にしていたのに対し、この変奏曲では、「創作主題による」とあるように、作曲家自身による主題が用いられています。
さらに、構成も、6つの変奏の調性が3度ずつ下行しています。これは当時の一般的な変奏曲にはないパターン。「変奏曲」というものの可能性をいろいろ試してみようというベートーヴェンの意欲が感じられます。
ベートーヴェンも20代では、オペラの主題を借用し、一般的手法で多くの変奏曲を書いていますが、作品番号はついていません。本作および Op.35の「エロイカ変奏曲」は、初めて作品番号をつけて出版された変奏曲です。

M2も、1802年作曲、翌年出版。
《プロメテウス》変奏曲あるいは《エロイカ》変奏曲という愛称で親しまれています。交響曲第3番《英雄(エロイカ)》終楽章で同じ主題が使われるためですが、作曲年はこの変奏曲の方が先です。

この変奏曲の特殊な点は、主題と15の変奏を挟み込むように、導入変奏とフーガ・フィナーレが配置されていること。変奏曲をどう終わらせるかは作曲家にとって難しい問題ですが、ベートーヴェンはフーガで華麗なフィナーレを創作しています。

今回の演奏会の4部と5部では、ベートーヴェンゆかりの作曲家が30代で創作した作品にスポットをあてます。演奏予定のブラームスの書いた変奏曲に今夜は注目しました。

M3、ブラームス(1833-1897)が、30歳頃に作曲し、32歳で自ら初演した作品。パガニーニの有名な《カプリッチョ第24番 イ短調》を主題にした変奏曲。もともと芸術的練習曲として構想されたこともあり、超絶技巧で名高い。初版の表紙には「変奏曲」の横に小さく「練習曲」と書かれています。横山さんいわく「演奏家には、苦難の連続!」という難曲です!

 <ベートーヴェン・プラス Vol.5 >
日時:9月23日(日・祝)、午前11時開演、夕方4時半終演予定、
5部構成
場所:東京オペラシティコンサートホール

ぜひお越しください!
詳細は、インフォメーション・コーナーで。

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