ON AIR REPORT オンエアレポート

4月17日 ゲストは萩原麻未さん

2011.04.20


17日の放送では、ピアニストの萩原麻未をお迎えしました。
昨年のジュネーブ国際音楽コンクールで優勝され、大注目の若手ピアニストですが、
萩原さんは、僕のパリ時代の後輩でもあります。

地震当日はコンサートのため久々に帰国し、広島にいらしたそうです。
その後3月19日にご出演されたチャリティー公演・・・昨年のコンクール以降、
はじめて日本で舞台に上がることにプレッシャーもあったそうですが、
被災地の方のために何か役に立つことがしたい、そして今後も音楽を通して、
演奏家として自分ができることをやっていきたい、という想いで舞台に臨んだそうです。

ジュネーブ国際音楽コンクールの本選当日は、実は練習の時に爪が割れて、当日朝までテーピングをしていたそうです。でも本番では、あえてテーピングはずして、自分の怪我を意識しないようにして最後の力を振り絞って弾き切ったそうです。すごい精神力ですよね!演奏家にはこのような不意のアクシデントもありますが、それを乗り越える精神力と実力をすでに兼ね備えている萩原さん、ますます今後のご活躍が楽しみですね。

演奏するときはある意味、自分の精神状態との戦いだといえると思いますが、
今回5月3日に予定されている『横山幸雄 ショパン・ピアノソロ全212曲完全奏破コンサート』は、全曲暗譜で弾きますが、それも僕自身、どれだけリラックスした状態で臨めるか、という点が重要になってきます。一日かけて全ての作品を弾く事で、ショパンの人生、ストーリーが連続して体験できる・・・ショパンに対して、そうできたら素敵だなと思ったことが、この企画のきっかけなんですよね。僕にとってはショパンをより深く理解するための演奏会でもあるんです。

萩原さんはこれからどんどん周りの環境が変化していくと思いますが・・・
今後どんな演奏家になりたいですか、という質問に対して
聴いて下さった方が幸せな気持ちになってくれるような演奏家になりたい、
と最後に語ってくれました。楽しみですね!

僕たち音楽家に出来ることは「音楽」だけなので、今大変な思いをしている方たちの何かお役にたてればいいなと思います。




♪M1 シューマン《子供の情景》より<トロイメライ> / 横山幸雄
♪M2 ショパン<英雄>/ 横山幸雄
♪M3 ショパン《コントルダンス》 / 横山幸雄

4月10日 ショパン全212曲完全奏破に向けて

2011.04.11


来月5月3日の『ショパン・ピアノソロ全212曲完全奏破コンサート』をチャリティーコンサートとして行うことに決めたことは先週もお知らせしましたが、このコンサートの収益金は、JFNヒューマンコンシャス募金として、一部を災害復興支援のため、日本赤十字社を通し被災地にお送りします。
皆さまにもぜひ足をお運びいただきご協力頂ければと思います。

今回は来月のチャリティーコンサートに向けて、ショパンの名曲をいくつかご紹介していきました。

《スケルツォ 第1番》
ショパンが祖国ポーランドを離れた20歳の時の頃から作曲したのではないかと言われています。
当時ポーランドはロシア、プロイセン、オーストリアに分割統治され、落ち着かない情勢の中、思う存分音楽に没頭できる環境を求めて祖国を後にしたショパン。まずはウィーンへと向かいます。1年前にウィーンを訪れた際は大人気のショパンでしたが、二度目のウィーンは様変わりしていました。というのも、その年ワルシャワを占拠していたロシア人への蜂起が起こったため、ウィーン市民のポーランド人に対する感情は急激に悪化し、ポーランド人であるショパンは演奏会すら開くことができなくなったのです。これはおそらくショパンにとっての最初の苦難、試練だったのではないでしょうか。親友のティトゥスも革命軍に参加するために帰ってしまい一人孤独に過ごしたショパン・・・。その時の自分の気持ちを吐き出し、激情のおもむくままに創作したのが本作、という気がします。その後ショパンはウィーンを去り、父親の祖国パリへと向かいます。そして新天地で徐々に活躍の場を広げていったのです。

<別れのワルツ>
25歳の夏、ショパンはカールスバードで両親と久々の再会を果たしますが、その帰り、家族ぐるみで付き合いのあったヴォジンスキ家が滞在していたドレスデンに立ち寄り、16歳の美しく才能あふれる女性へと成長したマリアと再会します。マリアの美しさに一目で心を奪われてしまったショパン。この曲はマリアへ贈られています。二人は婚約するまで発展したものの、結局は別れる運命となってしまいます。そのことから後にこの曲は<別れのワルツ>と呼ばれるようになりました。

《子守歌》
再起不能と言われるくらい体調を崩し、ジョルジュ・サンドとの関係も悪化・・・そんな時期に書かれた作品ですが、そういったことをみじんも感じさせない美しい作品となっています。一説によるとサンドと共通の友人の子どもを一時預かることになり、その幼子をショパンは大変可愛がっていたことが知られています。その経験が契機となり作曲された曲ではないかと言われています。

♪M1 ショパン《スケルツォ第1番》
♪M2 ショパン《2つのワルツop.69》より第1曲。通称<別れのワルツ>
♪M3 ショパン《子守歌》

4月3日 デビュー20周年を振り返る

2011.04.05


こんばんは、横山幸雄です。
まずは被害に遭われ今も困難に直面している方々へ心よりお見舞い申し上げますとともに、
亡くなられた方々へ深く哀悼の意を表します。

ここ数週間、音楽家として自分に何ができるのかいろいろ悩みましたが、音楽を聴くことの出来る状況にいる人たちに向けて、この番組やコンサートを通して音楽を届けることで、その気持ちを被災された方々のもとへつないでいけるのではないかと思います。
そこで、5月3日の『ショパン・ピアノソロ全212曲完全奏破コンサート』を、急遽チャリティコンサートとして行うことに決めました。このコンサートの収益金は、JFNヒューマンコンシャス募金として、一部を災害復興支援のため、日本赤十字社を通し被災地にお送りします。

『TOKYO FM チャリティコンサート
〜横山幸雄 ショパン・ピアノソロ 全212曲 完全奏破コンサート』
来月、5月3日(祝) 午前8時(7時半開場)〜深夜2時まで。
東京オペラシティコンサートホールにて行います。
ぜひ足をお運び頂き、皆様のご協力を頂ければと思います。

昨年の166曲コンサートに引き続き、ショパン全作品212曲を一日で弾き切るコンサートですが、ショパンといえば、19歳の時にショパンコンクールで入賞してから、実は今年デビュー20周年なんですね。そこで今回は、「ピアニストとしての活動20周年」を振り返ってみました。

この20年、どんな変化があったかなと考えてみたのですが、毎日自分がやるべきだと思うことを、そのまま素直にやってきたので、「何が変わったか」ということを言葉にするのは難しいですね。常に自分ができる最大限の演奏をしようとすることに今も昔も変化はありませんが、デビュー当時は、「横山幸雄」というよりも「ショパンコンクールの入賞者」として見られている感が強かったような気はします。でも僕の中では、作品に対するアプローチに大きな変化ないように思います。
二十歳という比較的若い時期にデビューしたので、「失敗も許される」と思い、特に最初の10年は様々なことにチャレンジしました。そして、ピアニスト以外でも幅を広げたいと思い、教員として後進の指導にもあたっています。
ショパン、ベートーヴェン、ラヴェル、ブラームスはじめ、全曲演奏をしてきましたが、やはり人前で演奏するというところまで完成度を高めないと、作品の本質を理解することは難しいと思いますし、何度も本番を経験することで、その理解度も深まるのだと思います。今年もショパン全曲コンサートを行いますが、一日でショパンの人生を駆け抜け、ショパンという作曲家と同化していければいいなと思っています。

<リストコーナー>
前回は、リストの20代最後、本格的な演奏活動を再開した頃のお話をしました。
当時のリストはマリー・ダグー伯爵夫人とも幸せな生活を送り、演奏旅行も精力的に行っていました。
今回ご紹介したのは、リストが1839年(28歳)、久々にハンガリーを訪れたことがきっかけとなって生まれた作品です。この曲は、皆さん一度は耳にしたことあるのではないでしょうか。

リストは故郷ハンガリーを想いながらジプシー音楽の要素を取り入れて、そこにピアノとしての演奏効果を充分に盛り込んだ作品を作りました。そして大きなホールでたくさんの聴衆を対象に、祖国への想いをぶつけ、人々を熱狂されたのです。一方、ショパンの作品、例えばマズルカなどは、自宅で一人ひっそりと祖国を想いながら演奏したのはないかと想像されます。同じ祖国を想う曲でも、ショパンとリストでは内と外と、向かっていく方向がまったく逆のように感じられます。

<オンエア楽曲>
♪M1 ショパン 《マズルカ二長調》(1820年、ショパン10歳の作品)/横山幸雄
♪M2 ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ第30番 作品109》より第一楽章 / 横山幸雄
♪M3 リスト 《ハンガリー狂詩曲 第2番》/ ヴォロドス

【TOKYO FMヒューマンコンシャスライブ 横山幸雄 ショパン・ピアノソロ全212曲完全奏覇コンサート】に向けて

2011.04.01


★★★スペシャルプレゼントについて★★★

 【TOKYO FMヒューマンコンシャスライブ 
横山幸雄 ショパン・ピアノソロ全212曲完全奏覇コンサート】
  番組ご招待席 ペア(2名)5組さまご招待券プレゼントについて

・ご希望の方は、メールにてご応募下さい。
 お名前、住所、ご連絡先電話番号、年齢をお書き下さい。
 (発送手配の都合により、締切を4月26日(火)24:00までとさせて頂きます)

・日時 5月3日(火) 開演8:00〜終演は深夜26:00(深夜2:00頃予定)
・会場:東京オペラシティ コンサートホール
・各部の券をご用意しております。ご希望の部を明記してください(もちろん1部〜4部まで希望可能)

 ♪【第一部 】朝8:00〜
 ♪【第二部 】昼12:30〜
 ♪【第三部 】午後5:30〜
 ♪【第四部 】夜10:00〜

※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせて頂きます。
※当選者の方については、当日、身分証明を確認させて頂きます。
 (転売防止の為ご了承ください)

 
世界的ピアニスト横山幸雄、ショパン連続演奏のギネス世界記録樹立から1年。
あの感動をもう一度!
お時間がある方、是非とも足をお運び頂き、ギネス世界記録達成を一緒に経験しましょう!


★★★横山幸雄ショパン・ピアノソロ全212曲完全奏破コンサート Ustream中継します!★★★

世界的ピアニスト横山幸雄、ショパン連続演奏のギネス世界記録樹立から1年。
あの感動のコンサートがバージョンアップして帰ってくる!

昨年5月には、作品番号を振った166曲を16時間かけて演奏し、
見事にギネスに登録されましたが、今回はそれを上回る212曲に挑戦!
ギネスの世界記録更新を果たすことができるのか!
更新の瞬間、あなたは何を感じるのか?

当日は、Ustreamにて完全中継を実施します!!

中継予定時間:2011年5月3日 8時00分〜26時00分
※演奏休憩時間には配信を中断することがあります。
※予告なく配信を中断、中止することがあります。

●演奏中の楽曲名はTwitterでご案内します。
 Ustreamのページでソーシャルストリームををご覧ください。

このコンサートの収益金は、JFNヒューマンコンシャス募金として、
一部を災害復興支援のため、日本赤十字社を通し被災地にお送りします。

Ustreamでご覧の方も、ぜひ以下のURLから、募金にご協力をよろしくお願い致します。
Yahoo!ボランティアを通じて、インターネット送金することも可能です。



3月23日リリース! 『横山幸雄 プレイエルによるショパン・ピアノ独奏曲全曲集1〜3』

2011.03.28


先日23日にリリースとなりました、『横山幸雄 プレイエルによるショパン・ピアノ独奏曲全曲集1〜3』についてご紹介いたしました。このアルバムは・・・
*12回シリーズの「プレイエルによるショパン ピアノ独奏曲 全曲演奏会」をCD化
* 3ヶ月毎に3枚ずつ発売(3月/6月/9月/12月)、今回は第一弾。年内に全12枚発売予定!
* 楽譜が存在する、全てのショパンのピアノ独奏曲を網羅!
* 上野学園石橋メモリアルホールとキングレコードの共同制作

プレイエルの連続演奏会は、昨年ショパン生誕200年というメモリアルイヤーに、しかもショパンの命日である10月17日に開始しました。毎月1回、計12回の予定で、最終回は2011年10月17日を予定しています。
この演奏会の特徴は、なんといっても、ショパンも愛用した名器プレイエル(1910年製)を使用していること、楽譜が残されているショパンのピアノソロ曲全作品をほぼ年代順に演奏していくことです。全12回のうち、現在第6回まで終了。次回の第7回は4月18日(月)です。

今回発売となった3枚は、いずれもショパンの非常に若いときの作品が中心となっています。ショパンが生きていた時代には出版されなかった「遺作」も多く、めったに演奏される機会のない作品も含まれています。例えばアルバム1枚目には、《ソナタ第1番 op.4》は今日ほとんど演奏されませんが、若きショパンの渾身の力作です。積極的に出版社に楽譜を送ったりしたが、当時ショパンはまだ名が売れていなかったため、残念ながら出版されることはありませんでした。しかし後にショパンが有名になった頃、今度は出版社側から申し出があったそうですが、この時はショパンの方から断ったといいます。また、1枚目には、若い時の代表作、ショパンのデビュー作ともいえる《12の練習曲 op.10》も収録されています。2枚目は、マズルカ中心、3枚目はポロネーズ中心の構成となっています。

今回、12回分のプログラムを組むときに、1回の演奏会がCDに入る分量を超えないように、心がけて構成しました。改めてショパンの全作品を眺めてみて、例えば第3回目ではショパンはこんなにもたくさんのポロネーズを書いていたんだなとか、大人の雰囲気をもったノクターンは、やはり少年時代ではなく、ある程度大人に近くなってから書いていたんだな、など再確認することも多かったです。天才少年から青年へ、本物の芸術家へと変遷を遂げて行く様がわかり、興味深いと思います。ぜひCDでも聴いて頂ければと思います。

そしてショパンといえば・・・現在ショパンの映画『ショパン〜愛と悲しみの旋律』が絶賛公開中です。実はその映画の中で、私横山幸雄の演奏が使われているんですよ!
ショパンがワルシャワを後にし、パリに出てきた頃、社交界で一足先に一世を風靡していたリストが、ショパンを皆に紹介するんですね。いわばリストが宣伝役を買って出ており、ショパンの作品を弾くことがあったことが知られています。そんなリストが弾くショパン、という場面で、僕の演奏が用いられています。そういうことでしたら、もっと「リストっぽく」演奏することも可能だったんですけどね(笑)18年前の演奏ですが、《12の練習曲 op.25》より数曲用いられていますので、皆さんも良かったらぜひチェックしてみてくださいね。

さて、今後の予定ですが

●プレイエルによるショパン ピアノ独奏曲全曲演奏会 第7回
日時:4月18日 (月)、午後7時〜9時
場所:上野学園 石橋メモリアルホール
曲目:パリ時代初期の遺作のワルツ、パリ時代初期の遺作の小品、4つのマズルカOp.30、
スケルツォ第2番、24の前奏曲Op.28 他

●横山幸雄 ショパン・ピアノソロ 完全奏覇全212曲 世界記録更新チャレンジコンサート
日時:5月3日(祝) 午前8時(7時半開場)〜深夜2時 
会場:東京オペラシティコンサートホール

ぜひ足をお運びください♪

<オンエア楽曲>
♪M1 <ロンド 作品1> /横山幸雄
♪M2 <ト短調のポロネーズ> /横山幸雄
♪M3 <12の練習曲 作品25>より第11曲「木枯らしのエチュード」 /横山幸雄

«Prev || ... 59 · 60 · 61 · 62 · 63 · 64 · 65 · 66 · 67 ·... | | Next»