ON AIR REPORT オンエアレポート

10月30日 ゲストは山田和樹さん①

2011.11.24


10月最終週は、今もっとも注目を集めている若手指揮者の一人、山田和樹さんをゲストにお迎えしました。山田さんとは以前ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を共演させて頂きました。それ以来、一緒に何か出来ないかとチャンスを探っていたのですが、今年の大晦日、「TOKYO FM主催 横山幸雄 ベートーヴェン ジルベスター コンサート」でベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を共演することになりました。この日はあわせて代表的な5つのピアノソナタも演奏します。

山田さんといえば、2009年のブザンソン国際指揮者コンクールにて30歳の若さで優勝。合わせて聴衆賞も獲得。今や注目の若手指揮者として大活躍されています。そんな山田さんからリクエスト頂いた曲は、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」より第1楽章。名指揮者・フルトヴェングラーの亡くなる直前に録音されたもので、山田さんがはじめて自分の小遣いで買った思い出の演奏とのことです。実はクラシックに目覚めたのが高校生のときで、そのときにクラシックマニアの友人に何のCD買ったらよい?と聞いたところ、紹介され買い求めたのが「運命」ということです。小さい頃からピアノは習っていたそうですが、高校生までクラシックのことはほとんど知らず、オーケストラの演奏会にも行ったこともなかったそうです。意外ですよね。いたって普通の生活を送っていた高校生がどうやって指揮者になったのでしょう?!

音楽家になるという夢を現実に感じたのは、高校2年生の時。高校から入部した吹奏楽で、学生指揮者をやった経験がきっかけだそうです。自分の棒によって音楽が作り上げられ、演奏家も変化していくのを実感。指揮者の醍醐味を感じ、東京芸術大学へ進むことを決めたそうです。比較的遅いスタートですが、そこからでも間に合ってしまうのがスゴいですよね。とにかく音楽をやりたい!という欲求が強かった山田さん。芸大入学後、なんと自分でオーケストラを結成してしまいます。当初のメンバーは35名程度でしたが、そこからずっと発展し、今や多くの人が知る楽団、「横浜シンフォニエッタ」につながっています。学部生時代は、ベートーヴェンの交響曲全曲を演奏するなど、オケと一緒に実地で勉強していったそうです。

なかなか話も尽きず、続きは次週に・・・

【山田和樹さんの今後の予定】

●日本フィルハーモニー交響楽団 第636回定期演奏会
日時:12月9日 19:00開演 ・ 10日 14:00開演  
場所:サントリーホール
演目:ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲、モーツァルト/交響曲第31番「パリ」、
   ベルク/「ルル」組曲 (ソプラノ:林正子)、ラヴェル/ラ・ヴァルス

●第5回クラシック・ヨコハマ フィナーレコンサート
「生きる2011Xmas〜若い命を支えるコンサート」
日時:12月23日 14:00開演 
場所:横浜みなとみらいホール大ホール
演目:サン=サーンス/序奏とロンド・カプリツィオーソ、サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン、ラヴェル/ツィガーヌ(徳永二男)、
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466(萩原麻未) 他

● TOKYO FM主催 横山幸雄 ベートーヴェン ジルベスター コンサート
指揮:山田和樹、横浜シンフォニエッタ
日時:12月31日 東京オペラシティコンサートホール
   開演は午後5時半〜。終演予定は、深夜0時45分(翌1月1日 0時45分)
曲目:ピアノ協奏曲(第1番〜5番「皇帝」)全曲
   ソナタ「悲愴」、「月光」、「テンペスト」、「ワルトシュタイン」、「熱情」

●東京フィルハーモニー交響楽団 2012ニューイヤーコンサート
日時:1月2 ・ 3日 15:00開演
場所:Bunkamura オーチャードホール
演目J.シュトラウスII / ワルツ「美しく青きドナウ」、ロドリーゴ / アランフェス協奏曲(村治佳織)、プロコフィエフ / バレエ『ロメオとジュリエット』より「モンタギュー家とキャピュレット家」、チャイコフスキー / バレエ組曲「眠れる森の美女」より「ワルツ」、チャイコフスキー / バレエ組曲「くるみ割り人形」より「行進曲」「こんぺいとうの踊り」「トレパーク」、ラヴェル / ボレロ 他

その他、山田和樹さん情報は:http://yokohama-sinfonietta.jp/index.php

【オンエア楽曲】
♪M1 ベートーヴェン第5番「運命」より第一楽章
   /ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
♪M2 ベートーヴェン《2つのロンド》より第1番 ハ長調
   /横山幸雄(『ベートーヴェン12会〜ベートーヴェン:ピアノ作品全集』2000年)より)

ピアニスト・横山幸雄と指揮者・山田和樹。二人の天才が2012年ジルヴェスターコンサートで夢の共演!

2011.11.02


〜 TOKYO FM 横山幸雄 ベートーヴェン ジルベスターコンサート〜


今回ジルヴェスターコンサートで取り上げるのは、大きな困難を音楽の力で乗り越えた【ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン】
そのベートーヴェンの作曲によるピアノ協奏曲全曲、及び主要ピアノ・ソナタ 
(こちらは横山幸雄のソロ演奏)を一晩のプログラムで一気に演奏するという長大なコンサートとなる。

横山幸雄が今回ベートーヴェンのコンチェルト全曲を演奏するにあたり、
ラブコールを送ったのは今、注目の若手指揮者の山田和樹さん。

ベートーヴェンの人生を音楽で辿る今回のジルベスターコンサートクラシック音楽を芸術へと昇華させたベートーヴェンの音楽は、その波乱に満ちた人生とは切り離せないもの。

横山幸雄は「7時間にわたりピアノコンチェルトを第一番から第五番まで通して演奏することに大きな意義がある」と語る。

【苦悩を抜けて歓喜へ、音楽の力で乗り越えたベートーヴェン。
これからの新しい日本、元気になる日本へ、ひとつのメッセージを発信できたら・・・と
心から願い行われる今回のジルベスターコンサート】

〜 TOKYO FM 横山幸雄 ベートーヴェン ジルベスターコンサート公演概要 〜

TOKYO FM 横山幸雄 ベートーヴェン ジルベスターコンサート

2011年12月31日 (土) 開場/17時00分 開演/17時30分 終演/24時45分

[第1部] 開場/17時00分 開演/17時30分(演奏時間/17時30分〜21時15分)

[第2部] 開場/21時30分 開演/22時00分(演奏時間/22時00分〜24時45分)
※開場/開演、終演時間は変更になる場合があります。

◎場 所 東京オペラシティ コンサートホール(新宿区西新宿3-20-2)
◎出 演 横山幸雄(ピアノ)、山田和樹(指揮)、横浜シンフォニエッタオーケストラ

◎プログラム 《第一部》 ピアノ協奏曲第1番 op.15 
ピアノソナタ第8番 op.13「悲愴」 
   ピアノソナタ第14番 op.27-2「月光」 
       ピアノ協奏曲第2番 op.19 
       ピアノソナタ第17番 op.31-2「テンペスト」 
       ピアノ協奏曲第3番 op.37 
《第二部》 ピアノソナタ第21番 op.53「ワルトシュタイン」
       ピアノソナタ第23番 op.57「熱情」
       ピアノ協奏曲第4番 op.58 
       〜カウントダウン〜
       ピアノ協奏曲第5番 op.73「皇帝」
◎チケット料金 [通し券] S席 12,000円、A席 9,500円(税込)
[各部券] S席 7,500円、A席 6,000円(税込)



10月23日 バロック音楽②

2011.11.02


前回に引き続き、10月第4週目には、バロック音楽特集の2回目として、イギリスそしてフランスのバロック音楽を取り上げました。

1曲目にご紹介したのは、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685〜1759)の作品です。ヘンデルは、もとドイツ生まれなんですが、後にイギリスに帰化した作曲家です。お聴き頂いた<調子の良い鍛冶屋>はヘンデルの鍵盤音楽の中で最もよく知られている1曲で、主題と5つの変奏曲から成っています。曲のタイトルは通称で、ヘンデル自身が付けたものではありません。しかし、たしかにこの曲が持つ規則的なリズムは、いかにも鍛冶屋の叩くハンマーの音という感じで、愛称としては親しみやすくぴったりだといえるかもしれませんね。聴いてみていかがでしたか?イギリスでは当時、ダウランド(1563〜1626)やパーセル(1659〜1695)などの作曲家も活躍していましたが、やはりヘンデルが実力、知名度ともに一番に挙げられるでしょう。

続いては、フランス・バロック音楽の作曲家の中からクープランの《クラウヴサン曲集》より第5曲をお聴き頂きました。フランソワ・クープラン(1668〜1733)といえば、ドイツのバッハ一族にも匹敵する有名な音楽一族ですね。クープランの登場をもって、フランス鍵盤音楽はその頂点を迎えます。クープランの200曲以上に及ぶクラヴサン作品は後の作曲家にも大きな影響を及ぼしています。クープランは全4巻、27組曲のクラヴサン組曲を書いていますが、各組曲はバッハのような規定の舞曲を集めたものではなく、自由に組み合わされています。また中には、今回ご紹介した<神秘的なバリケード>のように、詩的なタイトルや、標題的なタイトルを持つもの、描写的な作品も多く見られます。

前回、今回と少し歴史の勉強も含め、イタリア・ドイツ・イギリス・フランスと各国のバロック音楽の代表的な作品をご紹介してきましたが、いかがでしたか? バロックの後期になると、次の時代の古典派音楽の息吹が見られます。さらにロマン派に入ると、ドビュッシーの《ラモー賛》、ラヴェルの《クープランの墓》など後世の作曲家たちがバロック期の音楽に関心を持ち、音楽的な特徴や形式を一部模倣するというような動きも見られるようになります。音楽の歴史も、こうして流れや広がりを追ってみると、いろいろなつながりが見えてきて面白いのではないでしょうか?バロック時代の名曲はまだまだたくさんあります。ぜひ皆さんも他の作品を探してみて下さいね。


【オンエア楽曲】
♪M1 ヘンデル 《ハープシコード組曲 第5番 ホ長調 HWV430 》より
   変奏付アリア<調子の良い鍛冶屋> /トレヴァー・ピノック
♪M2 クープラン《クラヴサン曲集第6組曲》より第5曲 <神秘的なバリケード>
   /トレヴァー・ピノック
♪M3 ドビュッシー ≪映像第1集≫より第2曲<ラモーを讃えて>
   /横山幸雄

10月16日 バロック音楽①

2011.11.02


10月の第3週、4週はバロック音楽を特集しました。「バロック音楽」とは、便宜上の区切りとして、およそ17世紀から18世紀中頃にかけての音楽を指します。なんといってもJ.S.バッハやヘンデルが代表的な作曲家として挙げられますが、それ以外にも、いろいろな音楽家が活躍していますし、国によって独自の発展を遂げています。そこで特集の1回目では、イタリアとドイツのバロック音楽を中心にご紹介しました。

1曲目にご紹介したのは、イタリア・バロックの大家、アントニオ・ヴィヴァルディ(1678〜1741)の作品で、12曲から成るヴァイオリン協奏曲集の1つ、《四季》です。この作品、正式には《和声と創意への試み》という名前なんですよ。その中の1つの作品の第1曲から第4曲にそれぞれ「春」「夏」「秋」「冬」という名称がついています。いずれも大変有名で、ヴィヴァルディを代表する作品となっています。それぞれの楽章にはソネット(詩)が付されており、その情景や雰囲気が見事に音楽で描かれています。

2曲目にご紹介したのは、イタリア・バロックの作曲家、そして器楽曲の大家として知られるスカルラッティのソナタです。このスカルラッティはバッハやヘンデルと同じ1685年生まれの、イタリアを代表する作曲家で、父親のアレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725)はバロック・オペラの大成に大きく貢献するなど、親子そろって有名な音楽家です。特に息子のドメニコ・スカルラッティ(1685〜1757)は器楽音楽、とくに鍵盤楽器の分野で大きな貢献を果たし、「近代的鍵盤楽器奏法の父」とも呼ばれることもあるようです。いろいろな作品を書いていますが、何と言っても550曲を越えるチェンバロのためのソナタこそ、スカルラッティの真骨頂でしょう。

そして最後は、バロック音楽を集大成させたヨハン・セバスティアン・バッハを聴いて頂きました。バッハの功績、後の時代へ与えた影響は計り知れないほど多大なものですが、なんといっても「平均律」を用いて鍵盤楽器の作品を書いたことでしょう。それまでの調律法では、音にひずみが生じない調性が限られていましたが、新しく考案された調律法、「平均律」では全ての調で演奏が可能となりました。1オクターブ(12音、長短24の調性)全ての調性を用いた作品がバッハの偉大な《平均律クラヴィーア曲集》です。


【オンエア楽曲】

♪M1 ヴィヴァルディ《四季》より<秋>、第1楽章
  /ヴァイオリン:ピーナ・カルミレッリ、イ・ムジチ合奏団
♪M2 スカルラッティ《ソナタ ホ長調 K.380》
  /チェンバロ:トレヴァー・ピノック
♪M3 J.S.バッハ《平均律クラヴィーア曲集》より第24番
  /スヴャトスラフ・リヒテル

10月9日 サン=サーンス特集

2011.11.02


10月第2週目の放送では、ちょうど10月9日生まれのフランスの作曲家、シャルル・カミーユ・サン=サーンス(1835年〜1921年)の人生&音楽をご紹介しました。

1曲目にお聴き頂いたのは、《動物の謝肉祭》より<白鳥>、サン=サーンスの作品の中でも、最も有名な曲でしょう。この作品は、全部で14曲からなる組曲ですが、もともと一般に公開するというよりも、プライベートな演奏目的で、サン=サーンスが51歳の頃に作られました。他の作曲家の旋律をパロディーとして用いていたり、ユーモアや皮肉たっぷりのウィットに富んだ作品として知られています。しかしサン=サーンス自身は、あくまでも仲間内で楽しむために書いたこの作品の出版を「自分が死ぬまで」禁止したそうですが、その中でも唯一生前に出版を許したのが、この<白鳥>です。

パリで生まれたサン=サーンスは、幼少より叔母から音楽の手ほどきを受け、3歳で最初の作品を作曲、11歳の時には、モーツァルトに匹敵する神童と言われたそうです。13歳でパリ国立音楽院に入学し、卒業後はヴィルトゥオーゾ・ピアニスト、オルガニストとして名を馳せました。リストからは「世界で一番偉大なオルガニスト」と賞賛されるほどだったと言われています。晩年は、国から勲章を受けるなど、輝かしい功績をおさめ、86歳で生涯を閉じました。葬儀はその多大な功績にふさわしく、国葬で執り行われたそうです。

続いてお聴き頂いたのは、ピアノの作品の中から《ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」》より第2楽章です。ちょうどサン=サーンスのデビュー50周年を祝う記念コンサートがパリで開かれた際に初演されたのが、このピアノ協奏曲第5番です。61歳のサン=サーンス自身がピアノ演奏をしました。冬の寒さから逃れるために訪れたエジプトで見聞した、エキゾティックな風景、雰囲気が反映された作品となっています。皆さんはどんな風に感じられましたか?興味をもたれた方は、ぜひサン=サーンスの他の作品も聴いてみて下さいね。

【オンエア楽曲】
♪M1 《動物の謝肉祭》より<白鳥>
  /ジャクリーヌ・デュ・プレ
♪M2 《ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」》より第2楽章
/ピアノ:パスカル・ロジェ、指揮:シャルル・デュトワ、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

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