2012.10.22
9月第3週は、連弾、2台ピアノの世界をご紹介しました。多くの作曲家がピアノ連弾作品を遺していますが、実はそのジャンルも様々です。例えば・・・ピアノの初心者が先生と一緒に演奏するような「教育目的の連弾作品」、オーケストラ、オペラなども規模の大きい作品の「試作版としての連弾曲」したり、または演奏形態の異なる楽曲を「連弾に編曲」したり・・・・多岐にわたります。代表的なピアノ連弾曲では、ラヴェルの組曲《マ・メール・ロワ》、シューベルトの《軍隊行進曲》、ブラームスの《ハンガリー舞曲集》、ドヴォルザークの《スラヴ舞曲集》、フォーレの《ドリー》、ドビュッシーの《小組曲》等、皆さんもどこかで耳にしたことがある作品ではないでしょうか。
ピアノはもともと楽器の王様と言われるくらい、1台で高音域から低音域まで網羅した楽器ですが、指は通常は両手合わせても10本しかありませんので、やはり限界はありますよね。それが連弾だと指が20本となり、さらに表現力の幅が増すのですが、同時に呼吸のタイミング、音量のバランスが揃わないとちぐはぐな演奏になるという危険性もあるんですね。また連弾におけるペダルは、通常は低音パートの人が担当することになっていますが、たまに高音パートの人が思うのと違うようにペダルが踏まれることもあったりします。
続いて、2台ピアノの作品もご紹介しました。連弾は1台のピアノを2人で演奏するわけですから、どうしても空間的な制限がありますが、2台ピアノですと手がぶつからない、使用可能な音域も増える等、表現の幅は広がります。ただし、連弾と比べると必然的に相手の位置が遠くなるわけですから、呼吸を合わすことも音量のバランスをとることも、さらに難しくなります。たまにお互いにエキサイトしてやたらに大きな音量の連続になったりすることもあります。このような難しさはありますが、
基本的には一人で演奏することが圧倒的に多い中、ピアニスト同士で一緒に弾けるというのは刺激にもなりますし楽しいですね。
【オンエア楽曲】
♪M1 ラヴェル《マ・メール・ロワ》より<パゴダの女王レドロネット>
第1ピアノ:伊藤伸、第2ピアノ:横山幸雄
♪M2 ショパン 《ムーアの民謡風な歌による変奏曲》
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ、伊藤京子
♪M3 モーツァルト《2台のピアノのための協奏曲》K.365より<第3楽章>
ピアノマレイ・ペライア、ラドゥ・ルプー、イギリス室内管弦楽団