ON AIR REPORT オンエアレポート

9月30日 新アルバムのご紹介(10月17日発売)

2012.10.22


9月最終週は、僕のデビュー20周年を記念した最新アルバムのご紹介をしました。タイトルは『横山幸雄 デビュー20周年記念アルバム チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番』です!今年2月28日、東京サントリーホールでの『横山幸雄 3大ピアノ協奏曲の夕べ』のライブ録音になります。これまでも度々、いろいろなピアノ協奏曲を演奏していますが、アルバムとしてはグリーグのピアノ協奏曲以来、実に15年ぶりとなるコンチェルト・アルバムです。2月の演奏会当日は、合わせてラヴェルのピアノ協奏曲も演奏しましたが、CDの収録可能時間の関係で今回はやむなくカットしました。デビュー20周年記念にふさわしい聴き応えのあるアルバムに仕上がったと思いますので、皆さまにもお手にとって頂ければ嬉しいです!

【オンエア楽曲】
♪M1 チャイコフスキー作曲《ピアノ協奏曲第1番》より第1楽章
 指揮:小泉和裕、東京都交響楽団、ピアノ:横山幸雄

♪M2 ラフマニノフ作曲《ピアノ協奏曲第3番》より第3楽章
 指揮:小泉和裕、東京都交響楽団、ピアノ:横山幸雄

9月23日 秋の音楽

2012.10.22


9月第4週は、「秋」にちなんだ音楽をいくつかご紹介しました。「秋」というタイトルではヴィヴァルディの《四季》より<秋>が最も有名かなと思いますが、実はピアノ曲の中にも「秋」を題名にもつ作品は以外と数はあります。いずれも小品が多いですね。その他にも「秋」をイメージさせるタイトルの作品や、なんとなく秋らしい印象の作品、秋に似合う作品、作曲家など様々あります。そんな中から4曲をセレクトしてみました。皆さんにとって「秋の音楽」というと、どんな曲が思い浮かびますか?

【オンエア楽曲】
♪M1 チャイコフスキー《四季》より<秋の歌>
 演奏:ミハイル・ヴォスクレセンスキー
♪M2 ドビュッシーの 《前奏曲集第2巻》より第2曲、<枯葉>
 演奏:ジャック・ルヴィエ
♪M3 フォーレの <シシリエンヌ> 
 演奏:イリーナ・メジューエワ
♪M4 ブラームス 《6つの小品》より第2番<間奏曲イ長調>
 演奏:横山幸雄


9月16日 連弾・2台ピアノの世界

2012.10.22


9月第3週は、連弾、2台ピアノの世界をご紹介しました。多くの作曲家がピアノ連弾作品を遺していますが、実はそのジャンルも様々です。例えば・・・ピアノの初心者が先生と一緒に演奏するような「教育目的の連弾作品」、オーケストラ、オペラなども規模の大きい作品の「試作版としての連弾曲」したり、または演奏形態の異なる楽曲を「連弾に編曲」したり・・・・多岐にわたります。代表的なピアノ連弾曲では、ラヴェルの組曲《マ・メール・ロワ》、シューベルトの《軍隊行進曲》、ブラームスの《ハンガリー舞曲集》、ドヴォルザークの《スラヴ舞曲集》、フォーレの《ドリー》、ドビュッシーの《小組曲》等、皆さんもどこかで耳にしたことがある作品ではないでしょうか。

ピアノはもともと楽器の王様と言われるくらい、1台で高音域から低音域まで網羅した楽器ですが、指は通常は両手合わせても10本しかありませんので、やはり限界はありますよね。それが連弾だと指が20本となり、さらに表現力の幅が増すのですが、同時に呼吸のタイミング、音量のバランスが揃わないとちぐはぐな演奏になるという危険性もあるんですね。また連弾におけるペダルは、通常は低音パートの人が担当することになっていますが、たまに高音パートの人が思うのと違うようにペダルが踏まれることもあったりします。

続いて、2台ピアノの作品もご紹介しました。連弾は1台のピアノを2人で演奏するわけですから、どうしても空間的な制限がありますが、2台ピアノですと手がぶつからない、使用可能な音域も増える等、表現の幅は広がります。ただし、連弾と比べると必然的に相手の位置が遠くなるわけですから、呼吸を合わすことも音量のバランスをとることも、さらに難しくなります。たまにお互いにエキサイトしてやたらに大きな音量の連続になったりすることもあります。このような難しさはありますが、
基本的には一人で演奏することが圧倒的に多い中、ピアニスト同士で一緒に弾けるというのは刺激にもなりますし楽しいですね。


【オンエア楽曲】
♪M1 ラヴェル《マ・メール・ロワ》より<パゴダの女王レドロネット>
  第1ピアノ:伊藤伸、第2ピアノ:横山幸雄
♪M2 ショパン 《ムーアの民謡風な歌による変奏曲》
  ピアノ:マルタ・アルゲリッチ、伊藤京子
♪M3 モーツァルト《2台のピアノのための協奏曲》K.365より<第3楽章>
  ピアノマレイ・ペライア、ラドゥ・ルプー、イギリス室内管弦楽団

9月9日 「子ども」にまつわる音楽

2012.10.22


作曲家は様々なものからインスピレーションを受けたり、モティーフにして作曲をしていますが、9月第2週は「子ども」にまつわる音楽をいくつかご紹介しました。子どもに関連する音楽といっても、例えば、子どもの遊ぶ様子を描写的に描いた作品、子どもを楽しませようとした作品、子どもでも演奏できる比較的易しい作品、教育目的の作品など多岐にわたります。

まずご紹介したのは、シューマンの代表作品。シューマン自身は「大人が大人のために行った回想」と語ったと言われていますが、大人からみた子ども時代への憧憬でしょうか。シューマンは他にも子どものための作品をたくさん書いていますね。シューマンに影響を受けて、同じく子どものための作品を書いたのがチャイコフスキーです。チャイコフスキーの方は子どもでも演奏できるシンプルな作品で、ピアノ初学者が演奏する機会も比較的多いのではないでしょうか。チャイコフスキーはバレエ、シンフォニーなど大規模作品が多いですが、こういう可愛らしい作品もあるんですね。その他、ドビュッシーの《子どもの領分》やショパンの《子守歌》もご紹介しました。こうして同じ「子ども」にまつわる音楽もいろいろな作曲家の作品を比べて聴くと、子どもの描き方も異なることがよく分かりますね。なんとなく作曲家の素顔のようなものが感じられ、魅力的な作品が多いなと思います。


【オンエア楽曲】
♪M1 シューマン《子供の情景》より第1曲、第7曲、 
 演奏:ウラディミール・ホロヴィッツ
♪M2 チャイコフスキー《子供のアルバム》より第21曲、第24曲、 
 演奏:ミハイル・ヴォスクレセンスキィ
♪M3 ドビュッシー《子供の領分》より
  第1曲<グラドゥス・アド・パルナッスム博士> 
  第6曲<ゴリウォーグのケークウォーク>
 演奏:ゾルターン・コチシュ
♪M4 ショパン《子守り歌》
 演奏:横山幸雄

9月2日 9月生まれの作曲家〜パッヘルベル〜

2012.10.22


9月第1週は、今月生まれの作曲家をご紹介しました。9月生まれには・・・1日(洗礼日)にはパッヘルベル(1653〜1706:ドイツ)、4日にはアントン・ブルックナー(1824〜1896:オーストリア) 、5日はジョン・ケージ(1912〜1992:アメリカ)、6日はアントン・ディアベリ(1781〜1858:オーストリア)、8日はドボルジャーク(1841〜1904:チェコ)、13日はクララ・シューマン(1819〜1896:ドイツ)、21日はホルスト(1874〜1934:イギリス)、26日はガーシュイン(1898〜1937:アメリカ)など・・・たくさんの作曲家が誕生しています。

その中から、まず始めに聴いて頂いたのは、パッヘルベルの大変有名な作品です。正式名称は、《3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調》と言いますが、その前半部分が<カノン>です。パッヘルベルの最も有名かつ一般に知られている唯一の作品ではないかと思います。皆さんも一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。同じコード進行が何度も繰り返される中で、少しずつ変奏されていきます。パッヘルベルはバロック中期に活躍した作曲家です。少し後輩にはバッハがいますが、バッハもフーガやカノン、そして変奏曲の名手でした。続いてご紹介したのは、バッハの作品中にでてくるカノンです。「同度のカノン」といって同じ音で始まるカノン、そして「二度のカノン」といって開始音が一音ずれているものをご紹介しました。バッハの作品は非常に凝った仕組みがあるのですが、あまりに曲として自然に出来ているので、聴いているだけでは、そのような複雑な仕組みは分かりにくいかもしれませんね。いかがでしたか?

カノンや変奏技法をご紹介しましたが、ちょうどパッヘルベルやバッハが活躍した時代は、音楽において人間の内奥の感情を表現することよりも、形式美や構造美が重要視されていたといえるでしょう。もう少し後のショパンの時代になると、書法よりも作曲家の人間的な感情部分が前面に出てくるように思います。もちろんどんな作曲家も一度は確固とした作曲技法や書法を学ぶ必要があるのでしょう。ブラームスなどは、古い時代のバロックや古典の書法や技法、形式を厳密になるべく守りながらそこに自分の音楽を投影していこうとしたタイプですね。音楽は心地よい、美しいなと聴くこともできますが、そこに込められた作曲家の心情とともに、どういう技法を用いて作曲したのかという点に注目するのも面白いのではないでしょうか。


【オンエア楽曲】
♪M1 パッヘルベル《カノン》
 指揮:ジャン=フランソワ・パイヤール、パイヤール室内管弦楽団
♪M2 バッハ《ゴルドベルク変奏曲》より第3変奏、第6変奏
 演奏:横山幸雄
♪M3 ベートーヴェン《ディアベリのワルツによる33の変奏曲》よりテーマと第1変奏、第32変奏
 演奏:横山幸雄

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