2012.12.29
11月第2週&第3週は、僕も日頃から大変お世話になっている音楽プロデューサーの武藤敏樹さんをゲストに迎えてお送りしました。
【武藤敏樹さんのプロフィール】
4歳からピアノをはじめ、第31回全日本学生音楽コンクールピアノ部門中学校の部全国第一位。
東京藝術大学付属高校を経て、東京藝術大学音楽学部ピアノ科卒業。
(株)CBSソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社後、一貫してクラシック制作部門に勤務。
横山幸雄のほぼ全タイトルのCDの他、小澤征爾、中村紘子、宮本文昭、樫本大進、山形由美、木村大他多数のアーティストのCDプロデュースをメインに、170万枚のヒットとなった「イマージュ」等のコンピレーションアルバムなどの制作にも携わってきた。
プロデュースした宮本文昭の3枚のCDで「日本レコード大賞・企画賞」を受賞、横山幸雄:リスト超絶技巧練習曲全集で「国際F・リスト賞レコードグランプリ最優秀賞」を受賞。同ベートーヴェン・ソナタ全集で「文化庁芸術祭優秀賞」を受賞他、レコード芸術誌“特選”等多数のCDで受賞。
現在はソニー・ミュージックダイレクトにて企画営業プロデューサー。
「食」の趣味が高じて、日本ソムリエ協会認定「ワインエキスパート」、SSI認定「利き酒師」の資格を持つ。趣味はピアノ、料理、シーカヤック、スノーボード。
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武藤さんには、ソニーから出している僕のほぼ全てのCDのプロデュースを担当してもらっています。初めてタッグを組んだ作品は1993年の『エチュード全集』。早いものでもう20年来の付き合いですね。その間に30タイトル近いCDを一緒に作ってきました。仕事以外でも一緒にワインを飲み、テニスをし、海で遊び・・・と公私ともに大変お世話になっています!
レコーディングの際、今でこそお互いあうんの呼吸が出来上がっていて、武藤さんには僕流のやり方を理解して頂いていますし、僕もどんな音に仕上げるか等、武藤さんに完全にお任せしていますが、1枚目のアルバムの頃を思い起こすと当時は録り始めるまでに2日かかったりなんてこともありましたね。普通はテイク1、テイク2と録っていくそうですが、僕はスロースターターで、でも一度スイッチが入ると延々と弾き続けてしまうんですよね。一度は機材がオーバーヒートして壊れたこともある(笑)といっても、今年2月の「横山幸雄デビュー20周年記念公演 3大ピアノ協奏曲の夕べ」のように、オーケストラと一緒、かつライブ録音の場合は、勝手が違います。ライブ録音は一発勝負で、素晴らしい瞬間を切り取れる一方、リスクも非常に高いため、緊張感がありプレッシャーもかかります。あの時もリハーサルと本番の2テイクのみで編集をして頂きました。
実は来年の春にはリストの新譜をリリース予定で、そちらの方も先日上野学園の石橋メモリアルホールでレコーディングを終え、あとは武藤さんにお任せしているところです。ロ短調ソナタを中心としたアルバムになる予定です。また詳細が決まりましたら番組でもご紹介していきたいと思いますので、どうぞ楽しみにしていてください。
武藤さんとは話も盛り上がり、つい脱線してしまうこともありましたが・・・最後にレコーディング・プロデューサーにとって大切にしていることとして、「演奏家が持っているポテンシャル、才能、魅力をいかに引き出すか、それにつきる。」とのお答えを頂きました。レコーディングに入ってからも大切だが、それまでのディスカッションや人間関係がより大切。やはりお互いの信頼関係が重要で、その演奏家が一番快適に演奏できるように環境を整えること、そして演奏家にとって、さらに最終的にはリスナーにとって喜ばれる作品づくりを心がけているそうです。
武藤さんはピアニストなみに弾ける方で、何より耳が確か。僕はそこに全幅の信頼を置いていますし、軸がぶれないんですよね。頑固だし(笑)。お互いポリシーを貫くので、実はぶつかることもありますよね。より良いものを作ろうという前向きなディスカッションなわけですが。また今後とも一緒に作品づくりをしていければと思います。2週にわたり、ご出演ありがとうございました!
11月11日【オンエア楽曲】
♪M1 <マイ・フェイバリット・シングス> (JR東海CM曲)
クラリネット:赤坂達三(2001年『image2』より)
♪M2 ショパン《エチュード op.10》より第1番
ピアノ:横山幸雄(1993年『エチュード全集』より)
♪M3 ショパン《ノクターン第2番》op.9-2
ピアノ:横山幸雄(1997年『ノクターン全集』より)
11月18日【オンエア楽曲】
♪M1 <グリーンスリーブス>
Duo Prima(磯絵里子&神谷未穂)
♪M2 チャイコフスキー《ピアノ協奏曲第1番 作品23》より第3楽章
ピアノ:横山幸雄、指揮:小泉和裕、東京都交響楽団