ON AIR REPORT オンエアレポート

3月10日 『横山幸雄 プレイズ リスト 2013』

2013.04.29


3月第2週は、4月17日正式リリースの『YUKIO YOKOYAMA plays Liszt 2013』についてご紹介しました。昨年10月にリリースされた『チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 & ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番』に続くアルバムとなりますが、今回は、リストのピアノソロ作品が中心となっています。リストといえば、1998年に 『リスト:超絶技巧練習曲集』 を出して以来、実に15年ぶりのアルバムとなります。

アルバム冒頭を飾るのは、リストが遺した唯一のピアノ・ソナタ。切れ目なく約30分という大作ですが、全体を一つのソナタ形式と捉えることも出来ますし、各楽章間が休み無く演奏されるともいえます。今回のアルバムにはピアノ・ソナタ以外には、2つの演奏会用練習曲である<森のささやき>、<小人の踊り>、そして《愛の夢 第3番》に加えて、アルバム最後は《メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」》が収められています。よろしければ、ぜひお手にとって頂ければと思います!

【オンエア楽曲】
♪M1 リスト《ピアノ・ソナタ ロ短調》
   ピアノ:横山幸雄
♪M2 リスト《愛の夢 第3番》
   ピアノ:横山幸雄

3月3日 ショパン特集

2013.04.29


3月第1週は、3月生まれの作曲家の中からショパンを取り上げました。といってもショパンの誕生日には実は諸説あり、2月22日生まれ?1809年生まれでは?という説もありますが、現在では「1810年3月1日」という説が一般的となっています。さてそんなショパンですが、今年も5月3日、東京オペラシティ コンサートホールでショパンリサイタルを行うことが決定しています!4回目となる今年は、昨年初めて演奏した 2曲のコンチェルトのソロヴァージョンに加えて、あまり聴かれることのない若き日のショパンのオーケストラとの協奏作品の全てをピアノソロヴァージョンで演奏します。コンサートは5部構成で、それぞれの部で似たスタイルの作品を年代順に並べています。ワルツやマズルカ、ポロネーズやノクターンといった1つの様式の中でショパン自身がたどった人生の変遷をお聴き頂けると思います。2曲のコンチェルト以外に、オーケストラを伴った作品は4曲あります。普段からわりとよく演奏される《 アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ 》以外の《ラ・チ・ダレム・ラ・マーノ変奏曲》、《 ポーランド民謡の主題による幻想曲 》、《 演奏会用ロンド 「クラコヴィアク」 》の3曲は僕自身も初めて演奏する作品となります。

1曲目にお聴き頂いた作品は、《ラ・チ・ダレム・ラ・マーノ変奏曲》。モーツァルトのオペラ《ドン・ジョヴァンニ》第1幕のドン・ジョヴァンニとツェルリーナの二重唱<ラ・チ・ダレム・ラ・マーノ(お手をどうぞ)>から主題をとった変奏曲です。1827年、ショパンが17歳にして初めて書いたオーケストラ付きの作品で、ウィーンでのデビューコンサートにおいてショパン自身のピアノ独奏により初演されています。友人のティトゥス・ヴォイチェフスキに献呈されました。そして2曲目にご紹介したのは、ポーランドのクラクフ地方を起源とする2拍子の舞踏曲をモティーフとした《演奏会用ロンド「クラコヴィアク」》。ショパンにとっては3曲目の協奏作品となります。

今回新しく取り上げる3曲は、いずれも非常に技巧的かつ華やかな作品となっています。そして同時にショパンが生まれ育ったポーランドの田舎の雰囲気を感じさせてくれるような気がします。20歳を過ぎて、父親の祖国・フランスに移ってからショパンの作風はどんどん洗練されていくわけですが、こうして10代の作品を並べてみると、やはりショパンの原点にはポーランドの土着の音楽があるのだなと感じさせられます。5月のリサイタルでは、これらの作品をピアノソロヴァージョンで演奏いたします。どうぞお楽しみに!


【オンエア楽曲】
♪M1 《ラ・チ・ダレム・ラ・マーノ変奏曲》 
  ピアノ:クラウディオ・アラウ
指揮:エリアフ・インバル、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
♪M2 《演奏会用ロンド「クラコヴィアク」》
   ピアノ:クラウディオ・アラウ
指揮:エリアフ・インバル、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

2月24日 イギリス音楽 

2013.03.01


 2月23日はヘンデルの誕生日でもあり、エルガーの命日でした。ドイツ生まれで後にイギリスに帰化したヘンデル。そしてイギリスを代表する作曲家、エルガー。2月最終週はヘンデル、エルガー、その他イギリスにまつわる音楽についてご紹介していきました。ヘンデルはバッハと同年生まれでバロックを代表する重要な作曲家です。20代にはイタリア各地を巡り、イタリアオペラ、カンタータなどドイツ以外の音楽の要素に触れています。27歳でロンドンに移住、42歳で正式にイギリスに帰化しています。生涯の約3分の2をイギリスで過ごしており、イギリスでの活動歴が圧倒的に長くなっています。
 エルガーはイギリスを代表する作曲家として筆頭に挙げられますが、作曲家のほかヴァイオリニストとしても活躍しました。エルガーの最もよく知られた作品であり、イギリスの第2の国歌とも呼ばれるのが《威風堂々》。日本では単に『威風堂々』と言った場合は第1番あるいはその中間部の旋律を指すことが一般的ですが、イギリスでは、この中間部の旋律は『希望と栄光の国』と題され、第2の国歌として愛唱されているそうです。そしてもう少し現代のイギリスの作曲家、ホルストの《惑星》を最後にご紹介しました。
 ロンドンは音楽界では重要な場所で、現在でも多くのイギリス出身の演奏家、指揮者が活躍しています。しかし実はピアニストにとってはイギリスのピアノ作品はほとんどないんですね。イギリス音楽の黄金期は、バロック以前の「ヴァージナル」と呼ばれる鍵盤楽器の作品が多数生まれた時代かもしれません。今回はご紹介できませんでしたが、また改めて取り上げたいと思います。


【オンエア楽曲】
♪M1 ヘンデル<涙の流れるままに>(オペラ《リナルド》より)
  演奏:森麻季
♪M2 エルガー《威風堂々》
  指揮:アンドレ・プレヴィン、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
♪M3 ホルスト 組曲《惑星》より<木星>
  演奏:サイモン・ラトル、フィルハーモニア管弦楽団


【今後の演奏会予定】

◎横山幸雄 3大作曲家を弾く ピアノリサイタル
日時:3月3日(日)、午後1時半開演〜4時終演予定
場所:横浜みなとみらいホール
曲目:ベートーヴェン:ピアノソナタ「テンペスト」「熱情」、
   ショパン:バラード全4曲 / リスト:ソナタロ短調

◎ショパンとドビュッシー、ラフマニノフのチェロ・ソナタ (Voyage 第5回)
日時:3月6日(水)、夜7時15分開演
共演:趙静
場所:東京 三鷹市芸術文化センター 風のホール

◎群馬交響楽団定期演奏会
日時:3月 15日 (金)、夜7時開演
場所:すみだトリフォニーホール
曲目:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 指揮:ダニエル・クライナー

2月17日 Voyage第5回〜ショパン・ラフマニノフ・ドビュッシーのチェロ・ソナタ

2013.03.01


 2月3週目は、3月に関東近郊で行う演奏会の中から東京三鷹市芸術文化センター 風のホールで行うVoyage 第5回『ショパンとドビュッシー、ラフマニノフのチェロ・ソナタ』(日時:3月6日(水)、夜7時15分開演、共演:趙静)で取り上げる楽曲についてご紹介しました。いずれも素晴らしいチェロ・ソナタで、僕自身演奏できるのをとても楽しみにしています。
 1曲目はショパンのチェロ・ソナタ。ショパンの生前、作品番号をつけて出版された最後の作品です。1846年、36歳で体調も悪いショパンが久々に書いた室内楽作品で、親友のチェリストであったオーギュスト・フランショムに献呈されています。フランショムはショパンと15年ほどの付き合いがあり、その間彼はショパンの書いた譜面を清書する等、日常の雑務を手伝うなど、ショパンを支え続けてきた人物でもあります。
 Voyage(ヴォヤージュ)は今回で5回目となります。このシリーズはショパンど同世代の作曲家、関連の深い作品、そして後世への影響をテーマにしていますが、今回はショパン、ドビュッシー、そしてラフマニノフの3人の作曲家が1曲ずつ残したチェロ・ソナタを一晩で全て演奏します。ピアノソナタに比べるとヴァイオリン・ソナタは少ないわけですが、チェロ・ソナタはさらに少ないかもしれません。今回の3曲はその中でも屈指の名曲だと思います。
 ラフマニノフのチェロ・ソナタはピアノのパートが音符が多く非常に難しいんですね。超絶技巧のラフマニノフらしさ満載といえると思います。入念な準備をして演奏に臨まなければ大変なことになります(笑)。そしてドビュッシーの最晩年に書かれたチェロ・ソナタは全楽章でも10分弱という短い作品ですが、ドビュッシーすべての作品の中でも大傑作ではないかと思います。僕は大好きな作品です。通常このチェロ・ソナタを3つ同日演奏する機会はほとんどないと思いますので、ご都合のつく方はぜひ足をお運びください♪


【オンエア楽曲】
♪M1 ショパン《チェロ・ソナタ》より第1楽章
  チェロ・ミッシャ・マイスキー、ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
♪M2 ラフマニノフ《チェロ・ソナタ》より第3楽章
  チェロ・ヨーヨー・マ、ピアノ:エマニュエル・アックス
♪M3 ドビュッシー《チェロ・ソナタ》より第3楽章
  チェロ:ミッシャ・マイスキー、ピアノ:マルタ・アルゲリッチ


【今後の演奏会予定】

◎横山幸雄 3大作曲家を弾く ピアノリサイタル
日時:3月3日(日)、午後1時半開演〜4時終演予定
場所:横浜みなとみらいホール
曲目:ベートーヴェン:ピアノソナタ「テンペスト」「熱情」、
   ショパン:バラード全4曲 / リスト:ソナタロ短調

◎ショパンとドビュッシー、ラフマニノフのチェロ・ソナタ (Voyage 第5回)
日時:3月6日(水)、夜7時15分開演
共演:趙静
場所:東京 三鷹市芸術文化センター 風のホール

◎群馬交響楽団定期演奏会
日時:3月 15日 (金)、夜7時開演
場所:すみだトリフォニーホール
曲目:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 指揮:ダニエル・クライナー

2月10日 祝典の音楽

2013.03.01


 2月11日は、「建国記念の日」。どこの国にも「建国」や「独立」を祝う習慣があり、そうした祝典には音楽が欠かせません。そこで2月第2週目は、世界の祝典にまつわる音楽をご紹介しました。現在では、アメリカの独立記念日にしばしば演奏されているチャイコフスキーの《序曲1812年》は、ナポレオンのロシア遠征が行われた年号がタイトルになっています。ロシアの歴史的大勝利に至までの過程を音楽で華々しく描写した作品で、 もともとは博覧会用の祝典曲として依頼を受けた作品です。途中、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の旋律が出てきますが、徐々にフランス軍が弱って行く様を描くため切れ切れになっていきます。またクライマックス付近では楽譜上に「大砲」の指定があったり、最後はロシアの勝利を華々しく描いています。
 祝典=セレモニーのための音楽といっても、博覧会や落成式、戴冠式、結婚式など様々な機会がありますが、古今東西お祝いの席において音楽が重要な役を果たして来たことは間違いないでしょう。戴冠式向けの作品としては、モーツァルトのピアノ協奏曲がありますが、この作品は1790年10月、フランクフルトで行われた神聖ローマ皇帝レオポルト2世の戴冠式の祭典で演奏され、ここから『戴冠式』の愛称が生まれたと言われています。戴冠式に間に合うように短期間で書かれたもので、楽譜には当初右手しか書かれていないような状況だったそうです。モーツァルト自身が演奏するためのメモ書きのようなものだったのでしょうね。その他、いろいろな機会に応じて作曲・演奏される「祝典音楽」。一番の目的は、お祝い事の気分を高め、場を盛り上げることかもしれません。今回ご紹介した作品には、共通して「華々しさ」「明快さ」がみられるように思いますが、いかがでしたか?


【オンエア楽曲】
♪M1 チャイコフスキー《祝典序曲「1812年」》
  指揮:ダニエル・バレンボイム、シカゴ交響楽団
♪M2 ブラームス《大学祝典序曲》
  指揮:レナード・バーンスタイン、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
♪M3 モーツァルト《ピアノ協奏曲第26番「戴冠」》より第2楽章
  ピアノ:フリードリヒ・グルダ
  指揮:ニコラウス・アーノンクール、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団


【今後の演奏会予定】

◎横山幸雄 3大作曲家を弾く ピアノリサイタル
日時:3月3日(日)、午後1時半開演〜4時終演予定
場所:横浜みなとみらいホール
曲目:ベートーヴェン:ピアノソナタ「テンペスト」「熱情」、
   ショパン:バラード全4曲 / リスト:ソナタロ短調

◎ショパンとドビュッシー、ラフマニノフのチェロ・ソナタ (Voyage 第5回)
日時:3月6日(水)、夜7時15分開演
共演:趙静
場所:東京 三鷹市芸術文化センター 風のホール

◎群馬交響楽団定期演奏会
日時:3月 15日 (金)、夜7時開演
場所:すみだトリフォニーホール
曲目:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 指揮:ダニエル・クライナー

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