ON AIR REPORT オンエアレポート

5月19日 リヒャルト・ワーグナー特集

2013.07.07


5月第3週は、5月22日でちょうど生誕200年を迎える、リヒャルト・ワーグナーを取り上げました。ちょうどイタリアのオペラ作曲家、ヴェルディも同年生まれということで、今年2013年は、ドイツとイタリアの二大オペラ作曲家の生誕200年ということになります。ワーグナーは、若い頃ベートーヴェンに憧れて音楽家へなる決意をしたと言われています。歌劇(オペラ)をより発展させて、「楽劇Musikdrama」を提唱。自作のオペラ・楽劇の台本はほとんど自ら執筆。理論家、文筆家としても知られています。まずご紹介したのは、ワーグナー自身が「ロマンティック・オペラ」と読んだ最後の作品、《ローエングリン》。以降作曲されたものは歌劇でなく、楽劇と区別されています1850年、リストの指揮で初演された作品です。ワーグナーはリストとは生涯にわたり交流を持ち、後に国外追放となったワーグナーを援助したのもリストでした。もともとワーグナーはピアノのための作品をほとんど書いていませんが、今夜はその他、18歳のワーグナーが作曲した作品1のピアノ・ソナタ、そしてリストがピアノ用に編曲した楽劇《トリスタンとイゾルデ》より<イゾルデの愛の死>もお聴き頂きました。


【オンエア楽曲】
♪M1 ワーグナー 歌劇《ローエングリン》より 第1幕への前奏曲
  指揮:フルトヴェングラー、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
♪M2 ワーグナー 《ピアノ・ソナタ 変ロ長調op.1(WWV21)》より第1楽章
  ピアノ:ダリオ・ボヌチェッリ
♪M3 ワーグナー(リスト編)楽劇《トリスタンとイゾルデ》より<イゾルデの愛の死>
  ピアノ:ウラディミール・ホロヴィッツ

5月12日 「入魂のショパン」振返り

2013.07.07


5月第2週は、5月3日に行った「横山幸雄 “入魂のショパン”」リサイタル当日の模様を振返ってお送りしました。2010年、ショパン生誕200年に合わせて始めた、東京オペラシティでのショパン・リサイタル。今年で無事に4回目を終えることができました。会場にいらして下さった皆さま、どうもありがとうございました!

今回は、遺作も含めた全曲ではなく、各ジャンルでみたときに、より重要な作品に絞った点、そしてショパンの若い頃のオーケストラとの作品6曲をピアノソロバージョンで演奏した点が新しい点だったと思います。プログラムもジャンルごとに大きくまとめました。そうすることで、ジャンルごとの特徴が非常に分かりやすくなったのではないかと思います。例えばポロネーズを弾いた第3部は、マズルカなど、ショパンの生まれ祖国ポーランドの香りがする作品をまとめましたが、ショパンがマズルカで何を言いたかったのか、ポロネーズで何を表現したかったのかが僕自身、改めて分かったように思います。またお客様もショパン朗読の詩を聴いているような気分になったのではないでしょうか。ソロヴァージョンの6曲も、もう少し光をあてて演奏してみたいなと思いました。演奏することの難しさに対して入念な準備さえできれば、かなり魅力的な作品ではないかということが今回確認できました。

ゴールデンウィークのショパン・リサイタル。1年に一度、ショパンに正面から向き合う日。ショパンを俯瞰できて、ますますショパンに近づけるような・・・そんな気がしています。毎年、少しずつ形を変えながら続けてきたこのショパン・リサイタルも4年目を終え、ショパンの遺作を含め、現在ピアノ作品として楽譜になっている曲は全て取り上げたことになります。その他歌や室内楽の作品もありますが、それらは20代に行った全曲演奏会の際にすでに取り組んでいます。5年目にあたる来年は、さて何をやろうかなと今から構想を練っているところです!
  

【オンエア楽曲】
♪M1 ショパン《ラ・チ・ダレム・ラ・マーノ変奏曲》op.2
  ピアノ:横山幸雄(5月3日東京オペラシティ「入魂のショパン」ライブ録音より)
♪M2 ショパン《演奏会用ロンド「クラコヴィアク」》op.14
  ピアノ:横山幸雄(5月3日東京オペラシティ「入魂のショパン」ライブ録音より)

5月5日 ヨハネス・ブラームス

2013.07.07


5月第1週は、5月生まれの音楽家の中から、ドイツ・ロマン派を代表する作曲家、ヨハネス・ブラームス(1833〜1897)を特集してお送りしました。ブラームスが遺したピアノ・ソナタは3曲ありますが、いずれも若い時の作品です。ご紹介した《ピアノ・ソナタ第2番》は、出版の順序で作品2となっていますが、実際には最初のピアノ・ソナタになります。クララ・シューマンに献呈されています。ピアノ作品でみると、初期(10代後半〜30代初め)に規模の大きなものが書かれていますが、晩年には変奏曲や小品が多くなり、味わい深い作品を多く遺しています。交響曲第1番を書き上げたのも着想から約20年後、40代に入ってからというブラームス。どちらかというと大器晩成型の音楽家の典型かもしれません。

僕自身は、2001年から2004年にかけて、全4回のシリーズでブラームスのピアノ作品を全て演奏しました。演奏する側からすると、ブラームスの作品は少しバッハと似ているところがあるように思います。人間的な感情の起伏もある一方で、古典的な作曲技法に対する厳格さもあり、どちらかというと指の自然さよりも作曲技法上、そこに置かれるべき音は何か、を熟慮して書かれているように感じます。


【オンエア楽曲】
♪M1 ブラームス《 ピアノ・ソナタ第2番 op.2 》より第1楽章
   ピアノ:スビャトスラフ・リヒテル
♪M2 ブラームス《 ピアノ四重奏曲 op.25 》より第3楽章
   ヴァイオリン:矢部達哉、ヴィオラ:今井信子、チェロ:原田禎夫、ピアノ:横山幸雄

4月28日 「入魂のショパン」直前スペシャル!

2013.04.30


4月最終週は、5月3日に行う「横山幸雄 入魂のショパン」直前スペシャルでお送りしました。ショパン生誕200年の2010年に始めたゴールデンウィークのショパン・リサイタルも今年で4年目となります。全曲演奏会を続けてきましたが、今回は各ジャンルの中から、より重要な作品に絞り込んで演奏します。そして昨年初めて取り組んだ2曲のコンチェルトのピアノ独奏ヴァージョンに加えて、あまり聴かれることのない若き日のショパンのオーケストラとの協奏作品全てをピアノ独奏ヴァージョンで演奏いたします。

1曲目にご紹介したのは、18歳の頃に作曲した《ポーランド民謡の主題による幻想曲》。18歳というとショパンがワルシャワ音楽院で勉強していた頃ですね。ポーランドの有名な民謡をモティーフにした作品で、ショパン自身のピアノによって初演され、好評を博した言われています。ポーランド民謡の他にも、ショパンの先輩にあたるクルピンスキーの作品を変奏したものが出てきて、最後はショパンにとって重要な位置を占めることになるマズルカのクラヴィアクという種類の舞踊曲を用いながら華やかに盛り上がって終結します。そしてもう1曲は、普段からよく演奏される機会も多い、《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》を改めてご紹介しました。

本来オーケストラを伴った作品は、今回僕自身も初めて演奏することになりますが、そもそも日本でこれまで演奏されたという記録は確認できていません。少なくともピアノソロヴァージョンでは日本初演になるのでは?と思います。これらの作品からは若き日のショパンの姿、ショパンの原点がいろいろ感じられて実に興味深いです。しかし非常に難しい・・・。ぜひ皆さまにも直接目で見て、耳で聴いて感じて頂ければと思います。コンチェルト1番、2番のソロヴァージョンも2回目ということで、ショパンだったらどういう風に演奏したかな、ということ念頭において作品としての完成度がより上がるような方向で演奏したいと思っています。2013年ヴァージョンのコンチェルトもどうぞお楽しみに!今年は12時間ほどです。毎年いらして頂いている方にも、今回初めてという方にも、十分楽しんで頂けると思います。ぜひ会場でお会いしましょう!


◎横山幸雄”入魂のショパン“
日時:2013年5月3日(金・祝) 朝10時開演〜夜9時半終演予定
場所:東京オペラシティ コンサートホール
曲目:全5部構成 (詳細はインフォメーションをご覧ください)
 
【オンエア楽曲】
♪M1 ショパン《ポーランド民謡の主題による幻想曲》op.13
  ピアノ:ギャリック・オールソン
  指揮:イェルツィ・マクシミュク、ポーランド国立放送交響楽団
♪M2 ショパン《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》op.22より
  ピアノ:アレクシス・ワイセンベルク、
  指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ、パリ音楽院管弦楽団

4月14日&21日 ゲストは篠崎史紀さん!

2013.04.29


【篠崎史紀さんのプロフィール】
愛称 "まろ"。 NHK交響楽団第1コンサートマスター。3歳より両親の手ほどきを受ける。15歳の時に毎日学生音楽コンクール全国第1位。北九州市民文化賞を史上最年少で受賞。高校卒業と同時にウィーン留学。1881年、ウィーン市立音楽院に入学。1882年、コンツェルト・ハウスでコンサート・デビューを飾り、その後ヨーロッパの主要なコンクールで数々の受賞を果たす。1984年、アメリカのワシントンで開催されたタコマ国際音楽祭においてアメリカ・デビューを果たす。
以来、オーストリアを中心として、様々な国際音楽祭に招聘され、ヨーロッパ、アジア、アメリカで幅広い活動を行っている。1988年帰国後、群馬交響楽団、読売日本交響楽団のコンサートマスターを経て、1997年 NHK交響楽団のコンサートマスターに就任。以来、"N響の顔"として、ソリスト、室内楽奏者、指導者として、国内外で活躍中。
演奏活動の傍ら、東京ジュニアオーケストラ・ソサイエティ、iichikoグランシアタ・ジュニア・オーケストラの芸術監督を務める他、CD13枚他、ヴァイオリン小品集「MARO’s Palette」(監修)、エッセイ「ルフトパウゼ ウィーンの風に吹かれて」が出版されている。2001年福岡県文化賞受賞、北九州文化大使、桐朋学園非常勤講師、昭和音大客員教授。WHO国際医学アカデミー・ライフハーモニーサイエンス評議会議員。
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4月第2週、3週目は、マロさんこと、ヴァイオリン奏者の篠崎史紀さんをゲストにお迎えして、ウィーン留学のきっかけや、NHK交響楽団のコンサートマスターとしてのお仕事、さらにマロさんプロデュースのコンサートの企画や室内楽のセミナーなどについて、じっくりお話を伺いました。実は僕はマロさんのお父様、そして息子さんとも知り合いということで、三世代にわたって仲良くさせて頂いています。普段あまりじっくり音楽の話はできないので、こうしてラジオを通してマロさんといろいろなお話ができて、本当に楽しい時間となりました。マロさん、ありがとうございました!

マロさんとは5月25日、共演させて頂くことになっています。
◎「横山幸雄のまるごとベートーヴェン〜苦悩から歓喜へ〜 みんなで歌おう“歓喜の歌”」
日時:5月25日(土)、午後1時半開演
場所:(千葉県) 成田国際文化会館
共演:篠崎史紀(ヴァイオリン)、上村文乃(チェロ)
問い合わせ先:成田国際文化会館(TEL:0476-23-1331  FAX:0476-23-1334)

見て、聴いて、参加して楽しめる演奏会です!第一部では、ベートーヴェンのピアノ・ソナタより「月光」と「悲愴」、第二部では、「横山幸雄と連弾しよう」のコーナーもあります。(抽選でお一人様。当日会場受付にて申込用紙にご記入下さい)その他、楽器の紹介、ヴァイオリン・ソナタ「春」より第1楽章、「魔笛の主題による7つの変奏曲」、ピアノ・トリオ「大公」より第1楽章、そして最後はベートーヴェンの交響曲第9番より「歓喜の歌」を皆さんと一緒に歌おう、という試みです。大人から子どもまで楽しめる演奏会になると思います。お時間があれば、ぜひいらして頂ければと思います!



【オンエア楽曲】
*4月14日
♪M1 ジーツィンスキー(篠崎史紀編曲)《ウィーンわが夢の街》
   ヴァイオリン:篠崎史紀、ピアノ:山田武彦
♪M2 ベートーヴェン《荘厳ミサ曲》より<ベネディクトゥス>
   ヴァイオリン:篠崎史紀、オルガン:アントニー・フロガット

*4月21日
♪M1 クライスラー《弦楽四重奏曲》より第3楽章   
    ヴァイオリン:篠崎史紀
♪M2 J.S.バッハ《マタイ受難曲》より<神よ、私を憐れみ給え>
    ヴァイオリン:篠崎史紀、オルガン:アントニー・フロガット


【篠崎史紀さんの今後の予定】
◎ 篠崎史紀(vl)/上原彩子(p) デュオ・リサイタル
ベートーヴェン(ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調「クロイツェル」)/他
日時:6月9日(日)、午後2時 開演
場所:(神奈川県)グリーンホール相模大野 大ホール

◎ “マロとN響フレンズ×ナナシオーケストラ”スペシャル・コンサート 
   〜森 麻季&錦織 健を迎えて
場所:(東京)かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
日時:6月22日(土)、夕方6時 開演
共演:岩村力(指揮) / 森麻季(S) / 錦織健(T)

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