ON AIR REPORT オンエアレポート

12月1日 映画の日

2013.12.31


12月第1週は、1日「映画の日」にちなみ、クラシック音楽を題材にした映画、そして映画で用いられた音楽作品などをご紹介しました。実は僕も以前、映画に登場する音楽を演奏したことがあるんですよ!ショパンの映画で『愛と哀しみの旋律』という2011年3月に日本で初公開された映画です。その中でショパンのライバルであり友人のリストに献呈された《エチュードop.10》をリストが演奏するという場面で僕のCDが用いられています。

映画というのは、脚本、美術、演技、映像、そして音楽が融合した、まさに総合芸術ですよね。探してみるとクラシック音楽に関連する映画も数多くあり、ショパン以外でもモーツァルトやベートーヴェン、チャイコフスキー、ラフマニノフ、ストラヴィンスキーなど作曲家の人生を題材にした作品などがあります。伝記映画の場合、史実にきちんと基づいたものもあれば、自由に脚色されているものもあるようです。いずれにしても、音楽家としてだけの側面でなく、人間らしい側面(私生活、恋人との関係など)が描かれているので、いろいろな意味で楽しめそうですね。

映画と音楽の融合には、いろいろな形がありますが、既存の曲を使用するだけでなく、クラシック音楽出身の作曲家が、映画のために新たな楽曲を提供する場合もあります。最後にイタリア映画音楽界を代表するエンリオ・モリコーネの作品をお聴き頂きました。映画の中で用いられる音楽は、時には、映画の印象を決定づける最も重要なアイテムになることさえあります。ある意味、映画音楽をつくる作曲家にとっては腕の見せ所といえるかもしれません。


【オンエア楽曲】
♪M1 ショパン《練習曲集 作品10》より 第12番 ハ短調<革命>
   ピアノ:横山幸雄
♪M2 ショパン《遺作のノクターン ハ短調》
  ピアノ:横山幸雄
♪M3 エンリオ・モリコーネ <ニュー・シネマ・パラダイス>

11月24日 ウェーバー

2013.12.31


11月最終週は、11月生まれの作曲家の中からドイツのカール・マリア・フォン・ウェーバーを取り上げました。初期ロマン派を代表する作曲家であり、同時にピアニスト、そして指揮者として活躍しました。作曲の中心はオペラ作品で、ウェーバーの作品中最も成功した作品、オペラ《魔弾の射手》は大変有名ですね。またピアノ曲では《舞踏への勧誘》が最も広く知られた作品ではないでしょうか。後にベルリオーズが管弦楽に編曲しています。ウェーバーは実は音楽史においても重要な存在です。といのも、例えば現在のような指揮棒を使った指揮を始めたのもウェーバーが最初だと言われていますし、オーケストラの楽器の配置を今のような形に定めたのもウェーバーだそうです。ピアノ曲ではあまり多くは知られていませんが、最後にお聴きいただいたコンチェルトからは、ピアニストとしての技量を十分に持ち合わせた作曲家であったことが伺えますね。いかがでしたか?


【オンエア楽曲】
♪M1 ウェーバー(タウジヒ編曲)《舞踏への勧誘》
   ピアノ:ニキタ・マガロフ
♪M2 ウェーバー《魔弾の射手》より<狩人の合唱>
   指揮:ロフル・ロイター、ベルリン国立劇場管弦楽団、ベルリン国立歌劇場合唱団
♪M3 ウェーバー《ピアノとオーケストラのためのコンチェルト・シュトゥック》 第2楽章
   指揮:ミハイル・プレトニョフ、ロシアナショナル管弦楽団

11月17日 五線譜に描いた夢〜日本近代音楽の150年〜

2013.12.31


11月3週目は、僕にとっても大変馴染み深い演奏会場でもある東京オペラシティコンサートホールに併設されている東京オペラシティアートギャラリーのチーフキュレーター・掘元彰さんをゲストにお迎えして、「五線譜に描いた夢〜日本近代音楽の150年〜」(開催期間:10月11日から12月23日)について、いろいろなお話を伺いました。

近代の日本にどのように西洋音楽が紹介され、それをどのように日本が受け入れてきたか、当時の楽譜(自筆譜、出版譜)、レコード、手紙、音楽会のプログラム、楽器など、全部で300点以上の資料から歴史的な展開や変遷を視覚的に知ることができます。明治以降、一気に流れ込んできた西洋音楽文化。わずか150年の間に、日本人と西洋音楽の関係は様変わりしたように思います。音楽に関連する展覧会はそう多くないと思いますが、このような貴重な企画がこれからもたくさん続いて欲しいなと思います。堀さん、どうもありがとうございました!


【オンエア楽曲】
♪M1 ドビュッシー《2つのロマンス》より<鐘>
   ソプラノ:ナタリー・デセイ、ピアノ:フィリップ・カサール
♪M2 山田耕筰《哀詩「荒城の月」を主題とする変奏曲》
   ピアノ:レオニード・クロイツァー

11月10日 「1」にまつわる作品

2013.12.31


11月第2週は、日付の11月11日にちなみ、数字の「1」にまつわる作品をいくつかご紹介しました!最初は「作品番号1」ということで、ベートーヴェンの記念すべきop.1をお聴き頂きました。どんな作曲家にとっても「作品1」は、その後の作曲家人生を予見させるものだと思いますが、ベートーヴェン以降の作曲家でみてみると、ショパン《ロンド ハ短調》、シューマン 《アベッグ変奏曲》、リスト《12の練習曲》、ブラームス 《ピアノ・ソナタ第1番》、チャイコフスキー《2つの小品》など。もちろん出版の都合で「作品1」となった場合もありますが、多くの作曲家がピアノ曲でデビューしていることが分かりますね。ショパンはその後もほぼピアノ独奏曲を書き続けた作曲家ですが、多くの作曲家は、まずはピアノ作品、そして徐々に規模の大きなジャンルへと手を広げて行く傾向があるように思います。

そして「作品11」の中からシューマンのソナタ第1番をご紹介しましたが、その他の作曲家をみても、作品11とは、おおよそ作曲家として軌道にのりはじめた20代から30代初めにかけてにあたる場合が多いようです。徐々に作曲家としての範囲を広げようとするという時期にあたる場合が多いのかもしれません。さらに「作品111」に目を向けると、まず100番台以上残している作曲家はそう多くありません。例えば、ベートーヴェン 《ピアノ・ソナタ第32番》 (52歳頃)、シューマン 《幻想小曲集》(41歳)、ブラームス 《弦楽五重奏曲第2番》(57歳)というように、40代から50代後半にかけての作曲家としても成熟した時期にあたるのではないでしょうか。

【オンエア楽曲】
♪M1 ベートーヴェン《ピアノ三重奏曲 第1番》op.1より 第一楽章
   セラフィン・トリオ
♪M2 シューマン《ピアノ・ソナタ 第1番》op.11より 第3楽章
   ピアノ:マウリツィオ・ポリーニ
♪M3 ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ 第32番》op.111より 第1楽章
   ピアノ:横山幸雄 (『ベートーヴェン12会』より)

11月3日 レコードの日

2013.12.31


11月3日は「文化の日」ですが、実はこの日は「レコードの日」でもあります。日本レコード協会が「レコードは文化財」ということで、1957(昭和32)年に制定したそうです。今でこそ携帯音楽プレイヤーが主流となりましたが、昔は音楽を聴くなら生演奏かレコードでした。クラシック音楽の歴史的音源もレコードの形で残っているわけですが、中には作曲家自身による演奏、いわゆる自作自演が残されていることもあります。ピアノの場合、ピアノロールという19世紀中頃に開発された記録方法を用いた録音をもとに、CDに復刻されたものが多くあります。そのような歴史的な音源からグリーグ、ドビュッシーそしてラフマニノフの自作自演をお聴き頂きました。
ピアノロールの場合、演奏家が鳴らした音をそのまま記録したレコードとは違い、録音環境と再生環境が異なるという問題があります。録音に使用したピアノの音色はどんなものだったのか…ということを考えると、それと同じ条件で再生しない限り、音色やニュアンス、テンポなど完全な再現とは言えません。しかしたとえ不完全な形であっても、実際の演奏を聴くことができるのは、楽譜から音楽を読み解き再現する上で、大変貴重な資料であることは間違いありません。

【オンエア楽曲】
♪M1 グリーグ《叙情小品集 第三集》より第1曲「蝶々」、第4曲「小鳥」
   ピアノ:エドヴァルド・グリーグ
♪M2 ドビュッシー《レントよりおそく》
   ピアノ:クロード・ドビュッシー
♪M3 クライスラー=ラフマニノフ《愛の哀しみ》
   ピアノ:セルゲイ・ラフマニノフ

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