ON AIR REPORT オンエアレポート

1月12日 プーランク&ショーソン

2014.04.15


1月第2週は、1月生まれの作曲家の中から、ともにフランスのプーランク、そしてショーソンを取り上げました。ショーソン(1855〜1899)は、交響曲、室内楽、歌曲、歌劇など幅広い分野での作曲を手がけていますが、41歳(1896年)のときに作曲したヴァイオリンと管弦楽のための《詩曲》が群を抜いて有名ではないでしょうか。その他、《交響曲 変ロ長調》や《愛と海の詩》、《コンセール》も演奏頻度は少ないものの比較的よく知られていますね。
ショーソンよりも約40年後に生まれたのがプーランク(1899〜1963)です。近代フランスを代表する作曲家、ピアニストとして活躍しました。今回は亡くなる前年に完成させた作品、《クラリネット・ソナタ》をお聴き頂きました。いかがでしたか?


【オンエア楽曲】
♪M1ショーソン《リラの花咲くころ Op19-3》
   ソプラノ:クリスティーネ・シェーファー、ピアノ:アーウィン・ゲージ
♪M2プーランク《クラリネット・ソナタ》より第1楽章
♪M3プーランク《クラリネット・ソナタ》より第3楽章
   クラリネット:松本健司、ピアノ:横山幸雄

1月5日 フォーレ

2014.04.15


2014年最初の放送では、今年没後90年(来年生誕170年)のメモリアルイヤーを迎える作曲家、フランスのガブリエル・フォーレの人生、音楽をご紹介しました。フォーレといえば、時代的にはロマン派の作曲家で、先輩作曲家にはショパンやサン=サーンス、ビゼーなどがいます。代表品に《レクイエム》。モーツァルト、ヴェルディと並び「3大レクエイム」の一つといわれています。どちらかというと大規模な作品よりも、歌曲やピアノ曲、室内楽作品を多数遺しています。ピアノ曲では、ノクターン、舟歌、プレリュードなどが有名ですね。《夢のあとに》はいろいろな編曲で演奏される機会も多く、フォーレの作品の中で最もよく知られた曲の一つかもしれませんね。他にもご紹介したい作品は多数あります。また機会を改めて取り上げたいと思います。
2014年も様々な演奏会を予定していますので、どうぞよろしくお願いいたします!


【オンエア楽曲】
♪M1 フォーレ《夢のあとに》
 ヴァイオリン:矢部達哉、ピアノ:横山幸雄 (1997年のアルバム『エシェゾー』より)
♪M2フォーレ《主題と変奏 Op73》
 ピアノ:ジャン・ユボー
♪M3フォーレ《ヴァイオリン・ソナタ》より第4楽章
 ヴァイオリン:矢部達哉、ピアノ:横山幸雄

12月22日&29日 2013年の演奏活動を振返って

2013.12.31


今年も全国各地で様々な演奏会をさせて頂きました。ソロのリサイタルでは毎年5月のゴールデンウィークに行っているショパンの全曲演奏会。今年で4回目となりました。そして9月には今年から新しく「ベートーヴェン プラス」というシリーズが始まりました。また三鷹市芸術文化センターで行っている「ヴォヤージュ」のシリーズも全12回のうち今年は第5回〜7回がありました。コンチェルトもラフマニノフのピアノ協奏曲第2番&第3番をはじめ、室内楽、デュオ・コンサートでも多くの方と共演させて頂きました。また4月には「プレイズ リスト 2013」のCDリリースもありました!

今年前半の大きなリサイタルとしては、やはり5月のショパン全曲演奏会が挙げられます。ショパンの生誕200年の2010年から始め今年で4回目を終え、今回は全ての協奏作品のピアノ独奏バージョンを演奏しました。ご紹介した《ポーランド民謡による幻想曲》は、本来はオーケストラを伴う協奏作品ですが、めったに演奏される機会のない作品です。おそらく天才ショパンにとっても難しい作品だったのではないでしょうか。10代後半、急速に天才芸術家へと脱皮していくショパンの姿を知る上では貴重な作品だと思われます。実は来年2014年、5回目となるショパン全曲演奏会を予定しています。次回は、今までとりあげた全作品(217曲)を5月3日と翌4日の二日間かけて演奏予定です。また詳細は後日お知らせしたいと思います。

そして2011年から始まった三鷹の「ヴォヤージュ」シリーズ。三鷹はもともと僕が生まれ育った場所というご縁もあり、またホールとしても素晴らしく、様々な演奏会をさせて頂いています。ヴォヤージュ・シリーズは、ショパンを軸に、関わりの深い作曲家の作品を取り上げる企画ですが、今年3月に行った第5回目では、チェリストの趙静さんを迎え、ショパン、ドビュッシー、ラフマニノフのチェロ・ソナタを演奏しました。今回ご紹介したショパンの最晩年のチェロ・ソナタもそれほど演奏される機会も多くありませんが、チェリストにとってチェロの技量を存分に発揮する作品というよりも、ショパンの晩年の作風を知る上で重要な作品と位置づけられると思います。比較的地味ではありますがチェロの名曲の一つでしょう。

また「ヴォヤージュ」シリーズは7月に第6回、10月に第7回と続きましたが、今年はショパンから関連してラフマニノフやチャイコフスキー、スクリャービンなどロシアの作曲家を多く取り上げました。ちょうどラフマニノフは生誕140年、没後70年というメモリアルイヤーでもありました。

こうして1年間を振返ってみると、忙しい時期には本当に多くの演奏会が重なり、よく乗り切ったなという気がしています。またしっかり準備して良い演奏会をしたいと思います!今年も一年、ありがとうございました!


【オンエア楽曲】
☆12月22日
♪M1 ショパン《ポーランド民謡の主題による幻想曲》op.13
   ピアノ:横山幸雄
(2013年5月3日 東京オペラシティコンサートホール「入魂のショパン」ライブ録音より)
♪M1 ショパン《チェロ・ソナタ ト短調》op.65より 第1楽章
   チェロ:趙静、ピアノ:横山幸雄
(2013年3月6日 三鷹市芸術文化センター「ヴォヤージュ第5回」ライブ録音より)

☆12月29日
【オンエア楽曲】
♪M1 チャイコフスキー《ドゥムカ》
   ピアノ:横山幸雄
(2013年7月7日 「ヴォヤージュ第6回」三鷹市芸術文化センターでのライブ録音より)   
♪M2 ラフマニノフ《2台ピアノのための組曲 第2番》より<タランテラ>
   第1ピアノ:横山幸雄、第2ピアノ:上原彩子
(2013年10月13日「ヴォヤージュ第7回」三鷹市芸術文化センターでのライブ録音より)

12月15日 ベートーヴェンのピアノコンチェルト

2013.12.31


12月16日は音楽史上もっとも偉大な音楽家の一人、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)が生まれた日です。この番組でも折にふれ、何度かご紹介していますが、今回はベートーヴェンのピアノコンチェルトに注目してみました。ベートーヴェンは僕にとってもショパンと並びもう一つの大きな演奏活動の柱でもあります。

ベートーヴェンは生涯にわたって5曲のコンチェルトを遺していますが、いずれも全く特徴の異なる個性的な作品です。ピアノ協奏曲というのは、ソロ楽器のピアノとオーケストラがときに対等にわたりあっていくような形式ですが、当時の作曲家にとって、自身のピアノの演奏技術、作曲の技量を存分に発揮できる特別なジャンルだったといえるでしょう。今回ご紹介した、第3番のコンチェルトは第5番に比べると現在ではそれほど演奏される機会は多くないように思いますが、実は戦後すぐの時代には、比較的よく演奏されたそうです。現在ではおそらく第5番が最も多く演奏されているように思います。今回はお聴き頂けませんでしたが、第1番、2番、4番も含め5曲とも入念に構成されており、それぞれの作品が書かれた時期のベートーヴェンの生活、作風を如実に反映しているように思います。僕自身、改めてベートーヴェンのピアノコンチェルトのもつ1曲1曲の個性の違い、エネルギーの強さ、メッセージ性の強さなどを感じました。


【オンエア楽曲】
♪M1 ベートーヴェン《ピアノ協奏曲 第3番》より第2楽章
  ピアノ:横山幸雄、ジャパン・チェンバー・オーケストラ
♪M2 ベートーヴェン《ピアノ協奏曲第5番『皇帝』》より 第3楽章
  ピアノ:横山幸雄、ジャパン・チェンバー・オーケストラ
(2005年『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集』のアルバムより)

12月8日 フランク&メシアン

2013.12.31


12月第2週目は、同じ10日生まれの作曲家、セザール・フランク(1822年〜1890年:ベルギー出身、フランスで活躍)と、オリヴィエ・メシアン(1908年〜1992年:フランス)という、ともにフランスで活躍した二人を取り上げました。

1曲目には、フランクの代表作でもあるヴァイオリン・ソナタをご紹介しました。1886年作で、近代ヴァイオリン・ソナタの最高傑作の一つに数えられる作品です。フランクは、ちょうどショパンやリストより一回り後輩にあたり、ロマン派の時代に活躍した作曲家です。リストやワーグナーなどドイツ系ロマン派の強い影響を受け、半音階進行や転調を多く用いたり、「循環形式」(多楽章の曲で共通の主題を繰り返し登場させてまとめる手法)を用いた作風が特徴です。さらに、独自の音楽性を盛り込み、フランス近代音楽の礎を築きました。

そしてフランクより遅れること約90年、20世紀初頭に生まれたメシアンは、作曲家、オルガン奏者、ピアニスト、教育者として活躍しました。20世紀の最も重要な作曲家の一人といえるでしょう。 その一方で、神学者、そして鳥類学者としての肩書きをもち、音楽にもその影響が見られます。ピアノ作品としてはご紹介した《幼子イエスに注ぐ20のまなざし》(1944)の他、《鳥のカタログ》(1956-8)などがよく知られています。メシアンの作品をお聴き頂いたのは今回初めてでしたが、いかがでしたか?メシアンは僕がパリ留学中には存命で、とても身近な作曲家なのですが、独特のリズムとハーモニーで、初めて聴いた方はびっくりするかもしれませんが、それが何度も聴くうちに身体に馴染んでくると心地よい波動となって伝わってくる・・・そんな音楽のような気がします。


【オンエア楽曲】
♪M1 フランク《ヴァオリン・ソナタ イ長調》より第1楽章
   ヴァイオリン:矢部達哉、ピアノ:横山幸雄
♪M2 フランク《ピアノ五重奏曲 ヘ短調》
   ピアノ:スビャトスラフ・リヒテル、ボロディン弦楽四重奏団
♪M3 メシアン《幼子イエスにそそぐ20のまなざし》より 第15曲
   ピアノ:ピエール=ローラン・エマール

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