ON AIR REPORT オンエアレポート

2015年をふりかえって前編。入魂のショパン2015。

2015.12.21


今夜もお聞きいただきありがとうございました。

今週と来週は、2015年の横山さんの活動を振り返ってお送りします。
今週は、5月4日に行った「入魂のショパン2015」。
6回目となる今回からは、ショパンの人と人生を音楽とともに振り返る、という構成になりました。

M1 ショパン 《ロンド ハ短調 op.1》 

M2 ショパン《ポロネーズ 変ロ短調WN10》

M3 ショパン《ピアノ協奏曲第2番》より 第2楽章
ピアノ、横山幸雄(2015年5月4日、東京オペラシティコンサートホール)

神童の誕生から、本物の天才芸術家へと変貌をとげるまでの軌跡を辿った今回のコンサート。
ショパンは、10代のころからたくさんの作品を残しているので、全作品の演奏会では、
かなりの時間を若い時代の作品にかけることになります。

2曲目のポロネーズは、ショパン16歳のときの作品で、ショパンが、妹、エミリアの湯治旅行に同行する出発まえに、
友人のヴィルヘルム・コルベルクに捧げられた作品と言われています。
中間部分には、コルベルクと一緒に観たロッシーニのオペラ《泥棒かささぎ》のアリアの旋律が残されていて、
その冒頭には「Au revoir!また会おうね!」(フランスでお別れの挨拶のひとつ。再会を望むときのフレーズ)と書かれています。
そのときの気分を思うままに曲にした作品のひとつです、と横山さん。

また、M3の<ピアノ協奏曲第2番>は、横山さんがショパン・コンクールで弾いた思い出深い曲。

ショパンの曲を弾く演奏会は1年をつうじて多いけれども、このコンサートシリーズでだけ弾く曲というものもあり、
「お久しぶりです」という気持ちになります、とお話していました。

来週は、「ベートーヴェンプラス」などを振り返ります!お楽しみに。

今夜はハンガリー特集!

2015.12.14


今夜もお聴きいただきありがとうございました!
今夜は、ハンガリーの作曲家に注目しました!

ハンガリーは、中央ヨーロッパに位置する国で、2012年から正式名称は「Magyarországマジャロルサーグ」といいます。
今夜はハンガリーの作曲家として代表的な三人、フランツ・リストと、バルトーク、コダーイに焦点を当てて、作品をご紹介しました。

M1 リスト 《3つの演奏会用練習曲》から第3曲「ため息」
ピアノ:横山幸雄 、アルバム「La campanella 〜 The Virtuoso Pieces」より

M2 バルトーク《2台のピアノと打楽器のためのソナタ》より第1楽章
ピアノ:カティア・ラベック、マリエル・ラベック、打楽器:シルヴィオ・グァルダ、ジャン=ピエールドゥルーエ

M3 コダーイ《ハンガリー民謡ロンド》
チェロ:ミクローシュ・ペレーニ、ピアノ:デーネシュ・ヴァーリョン

リストは、ハンガリー出身として有名ですが、音楽の教育を受けたのも活動の場もドイツやパリでした。
でも、1875年に祖国にブダペスト王立音楽院(リスト音楽院)を設立したり、
ハンガリーの飢饉のためのチャリティーコンサートで祖国に貢献しています。

その王立音楽院で学んだバルトーク。
この曲を、横山さんは2度演奏したことがあり、とても難しく
入念なリハーサルが必要です、とのことです。

20世紀に入り、バルトークやコダーイがハンガリーをはじめとする各地の民族音楽を収集、研究。
農民たちのあいだで歌い継がれてきた音楽が紹介されるようになります。
バルトークやコダーイも自身の創作源となりました。

18世紀後半から19世紀にハイドン、モーツアルト、ベートーヴェン、ブラームス、リストたちが
「ハンガリー風」として残した作品の数々・・それらは複雑な歴史をもつハンガリーで生まれた
ジプシー(ロマ)の音楽の影響をうけたもので、バルトークやコダーイが研究した民族音楽とは異なるものであることが
彼らの作品をきくと伝わってきますね。



CELVIANO Grand Hybrid で「悲愴ソナタ」を。

2015.12.07


本日もお聞きいただきありがとうございます!

今週から番組は、Casio のCELVIANO Grand Hybrid にご提供いただき、
毎月1曲、横山幸雄さんがCELVIANO Grand Hybrid で演奏します。
この番組だけで聴けるプレミアムな演奏をお楽しみに。

記念すべき第一回の今夜は、
ベートーヴェン作曲「ピアノソナタ 第8番 悲愴」より第一楽章をお送りしました。

横山さんにとって、音楽の世界にとって、あまりにも重要な作曲家・ベートーヴェン。
12月はベートーヴェンの生まれた月ですので、初期の作品に注目しました。

M1 ベートーヴェン作曲 《ピアノソナタ 第8番 悲愴》 より第一楽章 
     横山幸雄(CELVIANO Grand Hybrid ベルリン・グランドの音色によるスタジオライブ録音)

M2 ベートーヴェン作曲 《七重奏曲》作品20より第2楽章
     ベルリン・フィルハーモニー八重奏団員

M3 ベートーヴェン作曲 《交響曲第1番ハ長調》作品から第1楽章
     ヘルベルト・ブロムシュテット指揮、サンフランシスコ交響楽団

ベートーヴェンは1770年12月17日生まれ(受洗)。
<悲愴ソナタ>は、1797年から1798年、20代後半に作曲されました。
この当時から耳の不調への不安を抱え、「悲劇的な大きなソナタ」と自ら名付けた作品です。

そして、<七重奏曲 作品20>と、<交響曲第1番 ハ長調 作品21>は、
1799年から1800年にかけて作曲。20代最後のベートーヴェンは、
1800年4月2日、初めて自ら主催する演奏会をウィーン・ブルク劇場で行い、
この2曲もここで初演されました。

当時は、<七重奏曲>のほうが人気を博したそうです。
<交響曲第一番>は、ベートーヴェンの実験性、いたずら心が感じられ、
どちらも、若々しさが感じられるはつらつとした作品です、と横山さんはおっしゃっていました。

来週は、リストの故郷、ハンガリーの音楽に注目します!






すべて横山幸雄ライブ録音で「舟歌」特集!!

2015.11.30


今夜もお聞きいただきありがとうございました。

おおくりした曲は、

M1 ショパン《舟歌 嬰ヘ長調》作品60 
     ピアノ、横山幸雄  2015年2月15日 三鷹市芸術文化センターVoyage vol.9のライヴ録音

M2  フォーレ《舟歌 第4番 変イ長調》 作品44
     ピアノ、横山幸雄  2015年2月15日 三鷹市芸術文化センターVoyage vol.9のライヴ録音

M3 ラフマニノフ《2台のピアノのための組曲第1番「幻想的絵画」》作品5から、
    第1楽章「バルカローレ」
     ピアノ、横山幸雄 務川慧悟  2013年10月13日(日)のVoyage vol.7のライヴ録音


「舟歌」・・・
もともとは、はりめぐらされた運河の街・ベネツィアのゴンドラの船頭が船を漕ぎながら歌う
「バルカローレ」や「ゴンドラの歌」が芸術へと発展、
18世紀から19世紀にかけて、声楽曲やピアノで人気を博しました。

ピアノ曲では、なんといってもショパンの「舟歌」が有名です。
30代後半に入ったショパンのやや規模の大きい曲のひとつ、ジョルジュ・サンドと
ベネツィアに行く計画があり、そのことをイメージして作曲されたのかもしれません。

フォーレは、舟歌を13曲も書いています。フォーレ独自のハーモニーのセンスが感じられる作品で、のちのドビュッシーやラヴェルに影響を与えたことがわかります、と横山さん。

ラフマニノフは、若い時の作品、レールモントの詩の一節が引用されています。
憂いを帯びた旋律、ロマンティックで、技巧的な作品。
弟子の一人で日本音楽コンクール1位、現在パリに留学中の務川慧悟さんとの共演を
横山さんもスタジオで懐かしく聞きました。

特定のジャンルから芸術へと昇華させる音楽家のインスピレーションを感じることができる
「舟歌」、新しい舟歌をみつけたら、知っている作品と並べて聴いてみてください。





11月22日 いい夫婦の日。シューマン夫妻に注目!

2015.11.23


今夜もお聴きいただきありがとうございました。

11月22日は、日本では「いい夫婦の日」。
ロベルトとクララ、シューマン夫妻の結婚までの軌跡と作品をご紹介しました。


M1 ロベルト・シューマン作曲《ピアノ・ソナタ第1番》から第1楽章
   ピアノ:横山幸雄  (プレイズ・シューマン2014)

M2 クララ・シューマン《ピアノ協奏曲 イ短調》 作品7から第1楽章
   ピアノ:杉谷昭子、指揮:ヘラルド・オスカンプ、ベルリン交響楽団

M3 クララ・シューマン《リュッケルト「愛の春」より12の詩から》第4曲
   ソプラノ:バーバラ・ボニー、ピアノ:ウラディミール・アシュケナージ
   (お送りしたこのCDの曲のタイトルは「わたしが美しいために愛してくださるなら」


M1は、1835年、ロベルト25歳、クララ16歳、師匠の娘だったクララにロベルトの心が大きく傾いたころの作品。クララに献呈されています。

M2は、クララが14歳ごろからロベルトの助言をもらいながら書いたピアノ協奏曲。初演は16歳のクララのピアノ、メンデルスゾーンの指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団でした。
横山さんの感想は・・やや前時代的、若書きの印象はあるものの、これだけの作品を14歳で書いたのは立派!

この1835年から、多くの葛藤や困難を乗り越える間に、シューマンは「幻想曲」「幻想小曲集」「子供の情景」「クライスレリアーナ」などピアノの重要な作品を次々に作曲。1840年ついに2人は結婚。8人のこどもに恵まれます。

M3は、2人は、1人の詩人の詩にそれぞれ曲をつける連作歌曲集を発表しています。
この美しい歌曲を聞くと、クララがロベルトやブラームスとお互いにインスピレーションを与え合っていたことが、よくわかります、と横山さん。

ロベルトのピアノ作品を演奏するピアニストとして、そして、病に苦しむロベルトを支える妻として、
クララは卓越した音楽家であり、エネルギーに満ちた女性だったと言えそうです。
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