ON AIR REPORT オンエアレポート

ロイヤルフィルハーモニック協会設立の日にちなんで

2016.01.25


今夜もお聴きいただきありがとうございました!

1月24日は、ロンドンの<ロイヤルフィルハーモニック協会>設立の日でした。
1813年1月24日に設立されたこの協会は、ロンドンで初めて定期的な演奏会を行った団体だと言われています。
現在は演奏活動はしていませんが、演奏会の企画、作曲家への作品の委嘱、音楽家の支援などの事業で活動中です。

クラシック音楽では、作曲家に作品を依頼することを”委嘱”と呼びます。
”依頼”や”委託”と同じ意味ですが、”委嘱”と言いますね。

<ロイヤルフィルハーモニック協会>、なにがすごいかと言いますと、
ベートーヴェンの「交響曲第9番」をはじめ、名だたる作曲家に委嘱した作品から生まれた名作の数々、その歴史です。

今回は、現在はオーケストラとしての活動は行っていない<ロイヤルフィルハーモニック協会>が残した数少ない演奏の録音からまずお聴きいただいて、
そのあと委嘱作品の名曲をお届けしました。

♪M1 シベリウス《交響曲第1番》作品39から第1楽章
ロベルト・カヤヌス(指揮)、ロイヤル・フィルハーモニック協会

♪M2 メンデルスゾーン《交響曲第4番》「イタリア」から第1楽章
ロジャー・ノリントン(指揮)、シュトゥットガルト放送交響楽団

♪M2 サン=サーンス作曲《交響曲第3番》「オルガン付」から「マエストーゾ」
シャルル・ミュンシュ(指揮)、ベルイ・ザムコヒアン(オルガン)、ボストン交響楽団

M1は、1930年の録音でした。ロイヤル・フィルハーモニック協会というオーケストラが存在したことを実感できますね。

M2は、1832年にメンデルスゾーンがロイヤル・フィルハーモニック協会からの「交響曲、演奏会用序曲、声楽曲、各1曲」という依頼に応じて
完成させた「交響曲第4番<イタリア>」。1833年5月13日、演奏会用序曲「フィンガルの洞窟」とともにフィルハーモニック協会によって初演されました。

M3は、1886年、ロンドンのセントジェームズ・ホールで、ロイヤルフィルハーモニック協会の演奏、サン=サーンス自身の指揮で初演されました。
交響曲にオルガンが入る画期的な試みの曲ですが、実は、この曲には、ピアニストもオーケストラの一員として参加しています。
横山さんも、この曲のピアノを弾いた経験があり、とても楽しかったそうです。

ほかにも、このロイヤルフィルハーモニック協会が委嘱した作品には、
ケルビーニの「序曲」「交響曲ニ長調」「カンタータ春」
ベートーヴェンの「交響曲第9番」(契約は守られず、ウィーンで初演されてしまいます)
ドボルザークの「5つの聖書の歌」
ヴォ―ン・ウィリアムスの「交響曲第9番」などなど・・・
イギリス以外の作曲家にも活躍の場を与えています。

横山さんは、「音楽は、演奏者や作曲家だけでなく、さまざまな人、団体によって支えられていることがわかります」、とおっしゃっていました。

●2月24日(木)の番組公開収録へのご応募お待ちしています!
●このHPでは、横山幸雄さんのカシオのセルビアーノ・グランド・ハイブリッドの演奏もお聴きいただけます。

●来週、1月31日は、ロシアの作曲家によるピアノ協奏曲を特集します。

チェロ・ソナタの魅力

2016.01.18


今夜もお聴きいただきありがとうございました。

寒い季節は、室内楽の演奏会やレコードに親しんだり、楽器が弾ける人は友人と合奏などできたら楽しいですね。
今回は、チェロとピアノが共演するチェロ・ソナタの名曲をお送りしました。

お送りした曲は・・・
♪M1 ベートーヴェン作曲《チェロ・ソナタ第3番》から第1楽章
ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ(チェロ)、スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
♪M2 ショパン作曲《チェロ・ソナタ》作品65から第1楽章
趙静(チェロ)、横山幸雄(ピアノ)、2013年 Voyage Vo.5 、三鷹市芸術文化センターでのライブ録音
♪M3 フォーレ作曲《チェロ・ソナタ第2番》作品117から第1楽章
フレデリック・ロデオン(チェロ)、ジャン=フィリップ・コラール(ピアノ)

M1は、チェロとピアノが対等な役割を持って展開される最初の作品。
1807年から1808年の作曲で、ベートーヴェンが、「交響曲第5番」など、
傑作をつぎつぎに作曲した時期の作品です。
ベートーヴェンの5つのチェロ・ソナタの中で、横山さんも最も弾く機会の多いのがこの第3番だそうです。

M2は、ショパンの作品の中で、作曲したのも、作品番号も最後の65番。
親友のチェリスト、オーギュスト・フランショームとショパンのピアノで初演されました。
「派手ではないが、チェロという楽器の魅力とともに、胸に染み入ってくる曲です」と横山さんはおっしゃっていました。

M3は、フランスの作曲家フォーレの最晩年(76歳)の作品です。
「チェロ・ソナタ1番」も魅力的ですが、「旋律がつぎつぎにつながって、和声もひとつの方向に向かうのではなく、漂っているような、
その2つが巧みに組み合わされているこの第2番も傑作です」。

「チェロという楽器は、豊かな低音の魅力とともに、意外と高い音も出せる表現力豊かな楽器ですが、
演奏すると音が大きくないので、バランスが大切」なんだそうです、名曲ぞろいでした。
お楽しみいただけましたか?


番組初の公開収録「トーク&ライブ」を、
2月24日(水)夜7時開演、東京・半蔵門のTOKYO FMホールで開催決定!
200名さまをご招待します。
横山幸雄さんが、カシオのセルヴィアーノ・グランド・ハイブリッドを弾く貴重な機会です。
ご応募お待ちしています!

ご応募、詳細は、専用ページをごらんください。








2016年が生誕150年のエリック・サティに注目!

2016.01.11


今夜もお聴きいただきありがとうございました。

2016年がアニバーサリーイヤーの作曲家をみてみると・・
フェルッチョ・ブゾーニ(イタリア)、エリック・サティ(フランス)が生誕150年(1866年生まれ)
フランチェスコ・トスティ(イタリア)、エンリケ・グラナドス(スペイン)、マックス・レーガー(ドイツ)は没後100年(1916年没)
アルベルト・ヒナステラ(アルゼンチン)、アンリ・デュティユー(フランス)生誕100年(1916年生まれ)などなど少々地味ですね。

ここからエリック・サティの作品を特集しました。お送りした曲は・・
♪M1 サティ《3つのジムノペディ》から 第1番 
   高橋悠治(ピアノ)
♪M2 サティ《パラード》から「アメリカの少女」
   ジェローム・カルダンバック指揮、ナンシー歌劇場交響楽団
♪M3 サティ作曲《スポーツと気晴らし》から第8曲「海水浴」
   アルド・チッコリーニ(ピアノ)
♪M4 サティ《ソクラテス》から第3曲「ソクラテスの死」 
   スザンヌ・ダンコ(ソプラノ)、ダリウス・ミヨー(指揮)、ローマRAI交響楽団

エリック・サティの生涯を見てみると・・
1866年5月17日フランスのノルマンディー地方、オンフルール生まれ
13歳でパリ音楽院に入学、20歳で軍隊に入るものの1年で除隊し、
パリの文学酒場「黒猫」のピアニストとなります。このころ、「ジムノペディ」を作曲します。
39歳で、パリ音楽院のライバル校、スコラ・カントルムに入学、最優秀で卒業、
周囲の予測を裏切ります。
「サティはきっとあまのじゃくな性格、皮肉がたっぷりの作風にも現れていますね」と横山さんはおっしゃっていました。

当時最先端の芸術家、ピカソやコクトーらと交流をもち、てがけたロシア・バレエ団の音楽「パラード」の
「アメリカの少女」は、タイプライターやピストルの音も使われたユニークなものでした。

ピアノ曲につけるタイトルは「犬のためのぶよぶよした真のプレリュード」「ひからびた胎児」・・、
楽譜にかかれた指示は「頭を開きなさい」「あなた自身を頼みにして」・・・
言葉と音楽が一致しているようなしていないような、わかるようなわからないような・・
「そこがサティの魅力。すべてのものが理論どおりでなくてもよいというような、音楽のいろいろな側面を感じられます。」と
横山さん。

晩年の「ソクラテス」は、「ソクラテスの対話篇」のフランス語訳からサティがテクストを抜粋し構成した穏やかで美しい曲です。
 有名な作曲家、ダリウス・ミヨーの指揮でお聴きいただきました。

「家具の音楽」を目指したサティの魅力お楽しみいただけましたか?

番組初のイベント「トーク&ライブ」へのご応募お待ちしています!


CELVIANO Grand Hybridで1月生まれのモーツァルト!

2016.01.04


明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!

今夜は、1月27日(1756年)生まれのモーツァルトの変奏曲に注目してお送りしました。

M1 モーツァルト 《きらきら星変奏曲》K. 265
横山幸雄(CELVIANO Grand Hybrid、ウィーン・グランドの音色で、この番組のためのスタジオ録音)

M2 モーツァルト《弦楽四重奏曲第18番》イ長調K.464から第3楽章アンダンテ
アルバン・ベルク弦楽四重奏団

M3 モーツァルト《ピアノ協奏曲第22番》K.482から第2楽章アンダンテ
アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)、サー・ネヴィル・マリナー(指揮)、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

M1の「きらきら星変奏曲」は、演奏旅行先のパリで流行っていた歌をモーツァルトが変奏曲にしました。
のちに、子供のための歌「きらきら星」にこのメロディーが用いられ「きらきら星変奏曲」と呼ばれるようになりました。

「変奏」は長い歴史をもつ様式ですが、一つの主題を提示して、次第にメロディーを複雑にしていく「主題と変奏」というスタイルは
18世紀から19世紀に確立、発展しました。
モーツァルトは、変奏曲を得意とした作曲家。
形式にしばられず、作曲者が自由にふるまえる「変奏」、
最初の16小節ができればあとは簡単、早書きのモーツァルトにあっていたのかもしれません。
天才でなければ無理ですね、と横山さん。

弦楽四重奏、ディヴェルティメント、ピアノ三重奏曲、クラリネット五重奏曲、ピアノ協奏曲にも変奏を用いました。

「ピアノ協奏曲第22番」は、モーツァルト円熟期(30歳目前)の作品で、
モーツァルトにしては深刻なムード、自分の内面を次第にうちあけるような作品を書くようになりますが
それで聴衆が離れてしまう、ということにもなっていくのでした。

ピアノ曲、弦楽四重奏、コンチェルトはオーケストラとの対話、という風に
どれもちがう表情の変奏を聴くことができました。






2015年をふり返って(後編)、ベートーヴェン+とラヴェル

2015.12.28


本日もお聴きいただきありがとうございました。
演奏会に、CDリリースに大活躍だった横山さんが2015年後半を振り返りました。

M1 C.P.E.バッハ《6つのプロイセン・ソナタ》より 第6番

M2 ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ 第10番 ト長調 Op.14-2 より第1楽章》
 M1,M2 横山幸雄(ピアノ)、2015年9月13日、東京オペラシティコンサートホール
 「ベートーヴェン・プラスVol.3」 のライブ録音

M3 ラヴェル《夜のガスパール》より第1曲「オンディーヌ」
横山幸雄(ピアノ)、2015年8月2日、三鷹市芸術文化センター
 「Voyage 第10回」のライブ録音

9月13日の 「ベートーヴェン・プラスVol.3」 は、5部構成。
第1部では、ベートーヴェンの先輩作曲家たちによるソナタの源流となる作品を演奏しました。

C.P.E.バッハの「6つのプロイセン・ソナタ」は、早い、ゆっくり、早いという3つの楽章に整えたソナタの最初期の作品です。
ソナタ形式も、だんだんと整えられたもので、ベートーヴェンの死後、「ソナタ形式」という言葉が定義されました。

第2部から第4部は、20代後半のベートーヴェンのピアノ・ソナタ第5番から12番を演奏しました。
第10番は、ピアノを勉強する人が最初に取り組むことの多いベートーヴェンのソナタです。
かわいらしいソナタですが、やさしいキャラクターのなかにもベートーヴェンの意志を感じる作品です。

そして、2015年はラヴェルの生誕140年。8月2日のヴォヤージュや、10月にはパリでも
ラヴェルの作品を取り上げるコンサートを横山さんは行いました。

「ベートーヴェンプラス VOl.4」は、2016年9月22日(木・祝)
東京オペラシティ・コンサートホールで行われる予定です!



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