ON AIR REPORT オンエアレポート

松本健司さんを迎えて(後編)

2016.02.29


今夜もお聴きいただきありがとうございました!
そして、24日のイベントにお越しいただいた方も、お越しいただけなかった方も
たくさんの応募ありがとうございました!

さて、今夜は、NHK交響楽団の首席クラリネット奏者、松本健司さんを迎えた2週目をお送りしました。
横山さんが「幼なじみ」と呼ぶ10代のころからの仲良しで、
プロになってデュオでの活動も10周年を迎えます。

お送りした曲は、松本健司さんのニューアルバム『アパッショナート』から
チェロの藤森亮一さんを迎えた、トリオでの2曲です。

♪M1 ブラームス作曲《クラリネット三重奏曲 イ短調》から第1楽章

♪M2 ベートーヴェン作曲《クラリネット三重奏曲第4番》作品11「街の歌」より、第2楽章「アダージョ」
松本健司(クラリネット)、藤森亮一(チェロ)、横山幸雄(ピアノ)(MEISTERMUSIC MM3069)


藤森亮一さんも、NHK交響楽団の首席チェロ奏者ということで、
この日は、オーケストラの中の首席奏者の役割や、木管楽器のチームプレイ?について
お話をうかがいました。
松本さんは、フルートの音が聞こえなくなったら、自分の音が大きすぎる、と常に周囲とのバランスに気を配っていて、
木管楽器は、各パートひとりずつなので家族のように普段から仲がよいそうです。
弦楽器の首席奏者は、前にいて、多くの同じパートの演奏者を率いていますから、
松本さんも前方の藤森さんが、背中からなにかを発信していることを強く感じたりするそうです。
一方、ピアノの横山さんは、いつも一人。
オーケストラとの協奏曲でも緊張感があるし、室内楽の演奏は、もっとも楽しいことの一つだそうです。

4月9日(土)17時から タワーレコード渋谷店で 「Appassionato」発売記念イヴェント決定!
松本健司さん(クラリネット)さんと、藤森亮一さん(チェロ)、そして横山幸雄さんがそろう、貴重な機会!
当日最新アルバム「Appassionato」をお買い求めくださった方には、三人のサインが入ります!
(くわしくはお店にお問い合わせ下さい)




松本健司さんを迎えて(前編)

2016.02.22


今夜もお聴きいただきありがとうございます!

今週と来週は、クラリネット奏者の松本健司さんをゲストにお迎えしています。

NHK交響楽団の首席クラリネット奏者として活躍される松本さん、
ソロ・ニューアルバム『アパッショナート』を、2月25日にリリースされます。
これは、昨年12月の紀尾井ホールで行われた、
ピアノに横山幸雄さん、チェロの藤森亮一さんを迎えたリサイタルのライブ録音が中心になったCDです。

実は、この演奏会の日、横山さんは体調が悪く、それでもできあがったCDの演奏に支障なかったことを、
ラジオの収録中に確認して、うれしそうでした。

おふたりは、10代のころ、サン=サーンスの「クラリネット・ソナタ」で共演して以来の友人で、
横山さんいわく”幼なじみ”。
1987年から横山さんが、1993年から松本さんがパリ高等音楽院で学んだ共通点もあります。

今回のCDは、ブラームスの「クラリネット・ソナタ 第1番」の第一楽章「アパッショナート」にちなんで
タイトルをつけたそうです。
この曲は、ブラームスの晩年の曲ですが、作品番号1番のピアノ・ソナタのモチーフを使い、
また、クラリネットの名手、ミュールフェルトとの出会いによって刺激を受け、創作したということで、
年老いた寂寥感と、若さのアパッショナート、両方を感じることができるそうです。
ピアニストでもあるブラームスですが、横山さんによると、素晴らしい曲だが、ピアノ・パートはひきにくい曲、
松本さんは、クラリネットは指使いの無理なところもなく、よく楽器を理解して書いていると思う、
ミュールフェルトのアドバイスもあったのかもしれない、と、お話がはずみました。
来週もお楽しみになさってください!

M1 F.ドゥヴィエンヌ「クラリネット・ソナタ第3番 変ホ長調」から第1楽章
     松本健司(クラリネット)、横山幸雄(ピアノ)

M2 ブラームス作曲クラリネット・ソナタ第1番から 第1楽章
     松本健司(クラリネット)、横山幸雄(ピアノ)


そして、24日のイベント、たくさんのご応募ありがとうございました!
当選者には、招待状を発送いたしました。
イベントの模様は、3月6日と13日に放送する予定です。


バレンタイン・デー、愛にかかわる曲を贈ります。

2016.02.15


今夜もお聴きいただきありがとうございました。

バレンタイン・デーにちなんで、「愛」に関係する曲をお送りしました。

M1 エルガー作曲《愛の挨拶》
   ナタリー・クライン(チェロ)、ヴァーノン・ハンドリー(指揮)、
   ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

M2 リスト作曲《愛の夢》から第3番
   横山幸雄(ピアノ)、(アルバム『横山幸雄・プレイズ・リスト2013』)

M3 《ディアベッリのワルツによる33の変奏曲》作品120
  横山幸雄(ピアノ)、(アルバム『ベートーヴェン12会』より)

M1は、1888年7月作曲、婚約者のアリス・ロバーツに献呈された幸せなやさしい曲です。
エルガーの弟子だったアリスとは、アリスが8歳年上、貧しさを乗り越えての結婚でした!

M2は、1850年ごろの作曲。もともとは歌曲のために作曲されました。
3番の歌詞は、ドイツの詩人フライリヒラートによるもので、
「愛しうる限り愛しなさい、いずれ死が二人を引き離し、悲しみが訪れる前に」という内容です。
つづいて、「相手を悲しませないように」「心無い言葉で傷つけないように」と戒めの言葉がつづきます。

リストは、マリー・ダグー伯爵夫人と禁断の恋に落ち、逃避行から《巡礼の年》が生まれています。
リストの宗教生活は恋を成就するため、などドラマティックな出来事の多い作曲家です。

M3は、ベートーヴェンが、ブレンターノに献呈した曲です。1819年から23年ごろ作曲。
ブレンターノは、ベートーヴェンが書いた”「不滅の恋人」への手紙”の相手ではないかと近年は研究されています。
ベートーヴェンは、生涯恋する心を持っていましたが、一度も結婚に至ることはありませんでした。
その恋愛模様はベールに包まれていますが、その感情は、音楽を生み出すという本質的なエネルギーにまで
昇華されています、と横山さんはおっしゃっていました。

愛に関わる名曲は、その感情がそのまま出ているものも、反転しているものもありますね。



エチュードに注目!セルヴィアーノで「革命のエチュード」を

2016.02.08


今夜もお聴きいただきありがとうございました!
今週は、横山幸雄さんの月に一度のCELVIANO Grand Hybridでの演奏をお送りしました。

2月24日の、TOKYO FMホールでの公開収録では、
さらにたくさんの曲をお楽しみいただきます。ぜひご応募くださいね。

M1 ショパン作曲《12の練習曲》作品10から第12番
ハ短調「革命」
横山幸雄(カシオのCELVIANO Grand Hybrid、ベルリングランドの音色)

M2 スクリャービン作曲《12の練習曲》作品8から第12番
横山幸雄(ピアノ) 『ラ・カンパネラ 〜 ヴィルトゥオーゾ名曲集』より 2006年

M3 ドビュッシー《12の練習曲》から第11番
内田光子(ピアノ)




受験勉強の季節、技術の試験もあるかたは、受験練習、が、必要な方もいらっしゃいますよね。
という連想から、今週は、「エチュード」に注目しました。
「エチュード」=練習曲には、
テクニックの習得や鍛錬を重視したものから、テクニックに焦点をあてながらも、演奏会用の作品として書かれたものまで
さまざまあります。今夜は、「演奏会用練習曲」から、ショパンに関連する3曲をお送りしました。

M1の通称<革命のエチュード>を含む、ショパンの『12の練習曲』は、作品番号10番。
ショパンが若いときの作品で、ショパンの作品を弾くためのエッセンスが詰め込まれている、と横山さん。

M2のスクリャービンは、『12の練習曲』の第12番を<革命のエチュード>を意識して書いたといわれています。

M3は、ドビュッシーが、フランスの出版社の依頼でショパンの作品を校訂し、練習曲から得るところが大きく、
みずからの『12の練習曲』を作曲するに至りました。
第11番には「組み合わされたアルペッジョのために」、などすべてに演奏技術のキーワードがつけられているのが特徴です。
第1次大戦で、無力感にとらわれていたドビュッシーに再び創作の刺激を与えたと言われています。

最後に横山さんは、「練習曲」といっても、ツェルニーなどからショパンにたどり着くのはたいへんなことですが、
ここを通り抜けると、さまざまなすばらしい演奏が可能になります!とおっしゃっていました。

M1でお送りした<革命のエチュード>は、このHP右側のアイコンからお聴きいただけます。
ぜひアクセスしてみてくださいね。

ロシアのピアノ協奏曲で熱くなれ?!

2016.02.01


今夜もお聴きいただきありがとうございます。

1月後半からとっても寒くなりましたね。
こんなときは思い切って、もっと寒い国へ!
「ロシア」で生まれた「ピアノ協奏曲」の代表作に注目しました。
「思わず聴き入ってしまった」と横山さんもおっしゃった力強く熱い名曲3曲でした。

M1 チャイコフスキー作曲《ピアノ協奏曲第1番》から第1楽章
    横山幸雄(ピアノ)、小泉和裕(指揮)、東京都交響楽団
    (横山幸雄デビュー20周年アルバムより、2012年サントリーホールで録音)

M2 プロコフィエフ作曲《ピアノ協奏曲第3番》ハ長調 作品26から 第1楽章
    マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)、クラウディオ・アバド(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

M3 ラフマニノフ作曲《ピアノ協奏曲第3番》から第1楽章 
    横山幸雄(ピアノ)、小泉和裕(指揮)、東京都交響楽団
    (横山幸雄デビュー20周年アルバムより)


M1は、1874年、チャイコフスキー34歳のときの作品です。
モスクワ音楽院の校長、ニコライ・ルビンシテインの前で試奏したところ、
演奏に向かないと酷評され、書き直しをすすめられた、というエピソードが残っています。
これはなぜなのか?
横山さんが実際に弾いてみると、難しく聴こえないところがピアニストにとってはひきずらい、と感じるそうです。
リストは、難しそうに聞こえるところが実はそうでもない、といった効果的な作品を書いています。
チャイコフスキーはピアニストではありませんでしたから、
そういったピアニストと作曲者の分業の時代のはじまりと言えるのかもしれません。
ちなみに、苦心作に自信のあったチャイコフスキーは、この曲の書き直しはせず、
ハンス・フォン・ビューローの演奏でボストンにて初演。爆発的な人気を獲得しました。

M2は、1921年に完成。同年、プロコフィエフ自身のピアノでシカゴで初演されました。
横山さんが演奏したことのある唯一のプロコフィエフのピアノ協奏曲です。(2001年)
ロマンティックな要素を残しつつ、モダンな音楽へと変わっていく時代が感じられる重要な作曲家です。

M3は、1909年の作曲。ラフマニノフは、最初のアメリカ演奏旅行で自分の実力をアピールするために
とても難しい作品として書き上げています。
横山さんは「手の大きなラフマニノフの作品にアプローチするのは難しい。
ピアニストにとって、勇気と時間、エネルギーがいると感じます。」
と語っていました。今年の4月に大阪で演奏予定です。
映画「シャイン」でも演奏された曲ですね。

●来週は、セルヴィアーノ・グランド・ハイブリッドでの演奏をお送りします!
●番組イベントへのご応募おまちしています!!!!



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