ON AIR REPORT オンエアレポート

5月8日は「こども」にまつわるピアノ曲

2016.05.10


「ピアノでめぐり逢い」、今回から、FM大阪のリスナーのみなさまにも
聞いていただけることになりました!
どうぞよろしくお願いします!

この番組は、普段はあまりクラシックになじみのない方にも楽しんで頂けるよう、
クラシックの演奏家や作曲家の話、音楽にまつわる様々な話題とともに、
横山幸雄さんの、この番組でしか聴くことのできない貴重なライブ演奏もふんだんにお届けしています。

大型連休、横山さんは、大阪での関西フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会や
東京オペラシティ・コンサートホールでの「入魂のショパン」など充実のコンサートが続きましたが、
家族や親せきのこどもとのんびりした時間を過ごした方も多いかもしれませんね。

そこで、今回は、「こども」にちなんだピアノ曲をお届けしました。

M1 シューマン 《子供の情景》 より 第1曲「見知らぬ国」& 第7曲「トロイメライ」
    横山幸雄(ピアノ) 2009年この番組のためのTOKYO FMスタジオイリスでの録音

M2 フォーレ 《ドリー》 より 第1曲<子守歌>
    ラベック姉妹(ピアノ)

M3 ドビュッシー 《子供の領分》 より第1曲<グラドゥス・アド・パルナッスム博士>
   ジャック・ルヴィエ(ピアノ)

M4 ショパン 《子守歌》 
    横山幸雄 (プレイエルによるショパン・ピアノ独奏曲全曲集11より)

M1、クララとのあいだに7人もの子供に恵まれたシューマンですが、
この曲集はクララとの結婚前に創作、
大人から見た子供の世界、また幼き日々への憧憬や回想を描いた作品です。

M2は、フォーレが親しくしていたバルダック家の幼い娘エレーヌ(愛称ドリー)のために書いた作品集。彼女の誕生日を祝って1894年〜1897年にかけて書き上げられました。

M3のドビュッシーの《子供の領分》は、そのエレーヌの母親のエンマが後のドビュッシー夫人となり、
2人の子供シュシュのために作曲された作品なので、よく《ドリー》と並べてとりあげられます。

M4のショパンの子守歌は、ピアノの弟子で音楽的な交流も深かった、名オペラ歌手ポーリーヌ・ヴィアルドの娘ルイーズから着想を得た作品。演奏旅行に多忙だったポーリーヌはジョルジュ・サンドとショパンに、しばしば、幼い娘ルイーズを預けていました。
ショパンはルイーズをルイゼットと呼んで可愛がり、
またルイーズも大変ショパンになついていたと言われます。

「こども」にまつわる音楽というと、
こども(いわゆる初学者)のための作品
こども時代を回想したもの、こどもの様子をモティーフにしたもの
こどもが親しみやすい作品・・いろいろあります。
シンプルだからこそ、作曲家の本質が出るのが面白いですね、と横山さんはおっしゃっていました。

入魂のショパン2016直前スペシャル!

2016.05.02


本日もお聴きいただきありがとうございました!
いよいよ入魂のショパン2016が、5月4日に迫ってきました!

今夜は、まず、月に1度お送りしている、セルヴィアーノ・グランド・ハイブリッドの演奏で、
「華麗なる大円舞曲〜ワルツ第1番 変ホ長調 Op.18」をお送りしました!

この曲も、「入魂のショパン2016」で演奏します!
記念すべきワルツの1作目は、1832年ごろ作曲されました。
このとき22歳のショパンは、パリのプレイエル・ホールで公式デビューを果たします。
レッスンの仕事も入り始め、生活も安定してきたころです。

今回の「入魂のショパン2016」は、このように代表作を次々に作曲した
20代前半のショパンの作品をお聴きいただきながら、ショパンの人生や時代背景についても
横山さんがお話し、たっぷりとショパンの世界を味わいます。

また、今回は、「ピアノ協奏曲」の 第1番、第2番と、オーケストラと演奏するために
ショパンが作曲した6つの作品を、ピアノソロバージョンで演奏します。

その中から、「ポーランド民謡の主題による大幻想曲 Op.13」は、
パリに来る前、ワルシャワでのデビュー演奏会や、ミュンヘンでもとりあげた作品です。

ポーランド民謡、マズルカやポロネーズは、パリの人たちにはエキゾチックな作品だったかも
しれませんが、ショパンにとっては根幹となる音楽です。

「4つのマズルカ Op.24」は、今年の「入魂のショパン」では、第5部に演奏します。

<横山幸雄 入魂のショパン2016>
2016年5月4日(水)
午後1時開演、午後9時半ごろ終演予定
開場は、東京オペラシティ・コンサート・ホールです。
詳細は、ジャパン・アーツのHPをご覧ください。

今夜お送りした「華麗なる大円舞曲」は、このHPの右欄バナーでもお聴きいただけます。

それでは、5月4日、東京オペラシティで、お会いしましょう!!






異国趣味=エキゾティシズム

2016.04.30


いつもご愛聴ありがとうございます!

今から90年前の4月25日に、イタリア、ミラノのスカラ座でプッチーニのオペラ『トゥーランドット』が初演されました。
『トゥーランドット』は、プッチーニ(1858-1924)の最後の作品で、古代中国を舞台とした未完のオペラです。
友人のアルフォーノが補作し、完成させました。

内容は、古代中国のトゥーランドット姫が、結婚を申し込んでくる男達に謎かけをして、
それが解けなければ処刑という厳しい掟を設けていたが、あるとき、
ダッタン国のカラフ王子が3つの謎を見事解いてしまいます。
そして反対にカラフ王子から「私の名前を明日の夜明けまでに当てたら私は潔く死に結婚はあきらめよう」と謎かけを受けて、
トゥーランドット姫は家来を総動員して「今夜は誰も寝てはならぬ!王子の名前を解き明かすことができなければ皆死刑とする!」というのです。
この場面で歌われるアリアがとても有名です。
プッチーニは、国はちがえど、ラフマニノフと同じ”最後のロマン派”です、すでに調性のない音楽も出てきた時代でした、と横山さん。

今回は、異国趣味を取り入れた音楽を集めてみました!

<プレイリスト>
M1 プッチーニ作曲 歌劇《トゥーランドット》より<誰も寝てはならぬ>
    ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)、ズービン・メータ(指揮)、ローマ国立歌劇管弦楽団

M2 ベートーヴェン作曲 《「アテネの廃虚」からのトルコ行進曲による6つの変奏曲》
     横山幸雄(ピアノ)(CD ベートーヴェン12会より)

M3 ドビュッシー 作曲 《版画》 より <塔> 
     ジャック・ルヴィエ(ピアノ)

M4  ドビュッシー作曲  《前奏曲集第2巻》 より <ヴィーノの門>  
    横山幸雄(ピアノ)(2012年6月の三鷹Voyage Vol.3のライブ録音より)

M2は、比較的早い時期に流行した「異国」=「トルコ(オスマン帝国)」の軍楽隊にインスピレーションをうけたもの。
モーツアルト、ベートーヴェン、ハイドン(「交響曲100番(軍隊)」などが作品にしています。

M3は、万国博覧会でドビュッシーが耳にしたインドネシアのガムラン音楽に影響を受けたと言われています。

M4は、ドビュッシーが、スペインの作曲家、マニュエル・デ・ファリャから受け取った絵葉書から作曲したと言われます。
西洋の作曲家にとって、スペインは、近い異国。
アフリカへの玄関口であり、イスラムとカトリックが混合する文化が魅力的な場所だったようですね。

「異国趣味」の作品は、ハンガリーなどまだまだたくさんあります。また機会を改めてご紹介します!

4月生まれの作曲家、プロコフィエフに注目!

2016.04.18


今夜もお聴きいただきありがとうございます!

今回は、4月23日生まれのプロコフィエフの作品をお届けしました!
セルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)は、ロシアを代表する作曲家の一人。
チャイコフスキー(1840-1893)、ラフマニノフ(1873-1943)、スクリャービン(1872-1915)の後輩、
ショスタコーヴィチ(1906-1975)の先輩にあたります。
ロマン派とモダンな音楽、両方の要素が感じられるのが特徴です。

<プレイリスト>
M1 プロコフィエフ 組曲《ロメオとジュリエット》ピアノのための10の小品op.75より
   第6曲<モンターギュ家とキャピュレット家> / アンドレイ・ガヴリーロフ (ピアノ)

M2 プロコフィエフ《ピアノ協奏曲 第3番》より第1楽章
  エフゲニー・キーシン(ピアノ)、クラウディオ・アバド指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

M3 プロコフィエフ 《ピアノ・ソナタ第7番》より 第3楽章
/ アンドレイ・ガヴリーロフ (ピアノ)

プロコフィエフは、交響曲、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、ピアノ曲、声楽曲、オペラ、
映画音楽などあらゆるジャンルにわたる作品を遺していますが、
自身が優れたピアニストであったことから、ピアノ作品も多く、ピアニストの重要なレパートリーの一つとなっています。

横山さんがもっとも弾く機会が多いのは、2曲目にお送りした「ピアノ協奏曲第3番」。
不協和音の使い方が特長で、独特の響きに慣れると血が騒ぐ作品、だそうです。

プロコフィエフは、青年時代にロシア革命がおこり、祖国を脱出、日本にも一時滞在したことがあります。
その後、アメリカ、フランスと移り、1936年からは再びロシアで活動を始めます。
この時代のロシアの作曲家は、革命と戦争でたいへん苦労しました。
演奏や音楽が制限され、国外に脱出、ロシアに戻ってからも表現の自由があまりない、
そんな中での作品に、皮肉っぽさを感じると横山さんは話していました。

来週は、クラシック音楽の「エキゾティシズムー異国趣味」に迫ります!

入魂のショパン! 予習スペシャル2!

2016.04.11


今夜もお聴きいただきありがとうございます。
今週も、5月4日に東京オペラシティ・コンサートホールで行う横山さんのリサイタル
「入魂のショパン2016」の予習スペシャル!をお送りしました。

このリサイタルの第1部と2部は、ピアノ協奏曲などオーケストラと共演するために書かれた作品を、
ピアノ・ソロ・バージョンでつづけて5曲演奏する予定です。
そして、第3部から第5部は、
作品番号6番から25番までほぼ番号順に演奏します。
それらの作品が作られたのはショパンの20代前半、
たった5年ほどでどのように円熟したのか、演奏とお話もまじえてお届けします。

今夜は、今回、後半に演奏される3曲を、2014年の「入魂のショパン」からお聴きいただきました。
毎年TOKYOFMが録音している貴重なライブ音源です!

M1 ショパン 《4つのマズルカ op.6》より第1曲
M 2 ショパン 《華麗なる変奏曲 変ロ長調 op.12》
M 3 ショパン 《バラード 第1番 ト短調op.23》
演奏、横山幸雄(ピアノ)
いずれも、2014年5月3日「入魂のショパン2014」、東京オペラシティ・コンサートホールでのライブ録音。

ショパンは、1830年20歳になり、祖国ポーランドを離れて、ウィーン経由でパリに向かいます。
「4つのマズルカ Op.6」は、パリでの生活もなかなか安定しない1832年までに完成。
このころは、10代のころからの作品をブラッシュアップしたものも多いそうです。

「華麗なる変奏曲 変ロ長調 op.12」は、1833年の作品。
ようやくパリに慣れてきたころで、パリの華やかさが感じられます。

「バラード 第1番 ト短調op.23」は、1831年から1835年、もっとも長い時間推敲した作品と言われます。
ショパンは、ワルシャワを離れて、ウィーンでワルシャワ蜂起の知らせをうけました。
そのころ着手したと言われます。音楽史上、最初のバラードと位置付けられます。

5月4日「入魂のショパン2016」 プログラムは・・・
<第3部> 午後4時開演予定
4つのマズルカ Op.6
5つのマズルカ Op.7
3つのノクターン Op.9
12のエチュード Op.10 
<第4部> 午後6時開演予定
華麗なる変奏曲 変ロ長調 Op.12
3つのノクターン Op.15
序奏とロンド 変ホ長調 Op.16
4つのマズルカ Op.17
ワルツ第1番 変ホ長調 Op.18「華麗なる大円舞曲」
序奏とボレロ ハ長調 Op.19
スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
<第5部> 19:40開演予定
バラード第1番 ト短調 Op.23
4つのマズルカ Op.24
12のエチュード Op.25

終演は21時30分ごろ、会場は東京オペラシティ・コンサートホールです。
ぜひお越しください!
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