ON AIR REPORT オンエアレポート

今夜のテーマは「秋」!ピアノ曲を集めてお送りします。

2016.09.26


今夜もお聴きいただきありがとうございます!

9月22日は秋分の日でした。気温や食べ物に少しづつ秋を感じるこの頃です。
今夜のテーマは、「秋」。
クラシックでは「春」をテーマにした有名な曲が圧倒的に多いですが、「秋」にも素敵なピアノ曲があります。

<プレイリスト>
M1 チャイコフスキー :《四季》より第<10月—秋の歌>/ミハイル・プレトニョフ(ピアノ)
M2 アルベニス :《秋のワルツ》 op.170 /レーナ・キリアコウ(Rena Kyriakou)(ピアノ)
M3 ドビュッシー :《前奏曲集第2巻》より第2曲<枯葉> /横山幸雄(ピアノ)
 (東京・三鷹市立芸術文化センター/「ヴォヤージュ」シリーズ第3回の演奏より)
M4 ショパン:ノクターン第15番 ヘ短調 Op55-1 /横山幸雄(ピアノ)

M1、チャイコフスキーは、1876年、36歳のとき、ロシアの1年の風物を12のピアノで描写しました。
副題に「12の性格的描写」とあるように、季節の自然のみならず民衆の生活も生き生きと描写したユニークな作品です。

M2は、スペインの作曲家・アルベニスの作品。「イベリア」が有名ですが、たくさんの作品を残しました。
これは30歳ごろの作品で、なんと作品番号170!
2曲を比べると「スペインはヨーロッパの中では暑く、光と影の要素を感じる国ですが、この曲では特に「影」が感じられます。
ロシアのこれからどん底の寒い冬を控えた秋とはやはり感じが違いますね。」と横山さん。
M3、ドビュッシーは、タイトルにつけた「枯葉」は、曲の終わりに「たとえば」という風に
「・・・」をつけて書き込まれています。作曲家のイメージにとらわれることはない、というこれも珍しい作品です。
M4は、横山さんがショパンの作品から「秋」を感じる曲を選びました。
「この曲の持っているさみしさのようなものが、ショパンの人生の秋、そして、秋という季節の雰囲気を感じます」とのことです。

秋にもいろいろありますが、今日はやや寂しげな作品が並びました。
音楽をじっくり聞くのにふさわしいシーズンになってきましたね。

9月22日のベートーヴェン・プラス
9月23日のピアノでめぐり逢い トーク&ライブイン福岡にお越しいただいたみなさま
ありがとうございました!
イベントの模様は10月にお送りします。

まだまだ元気!




9月生まれの作曲家、クララ・シューマンに注目!

2016.09.19


今夜もお聴きいただきありがとうございます。

今夜は、9月生まれの作曲家、クララ・シューマンに注目しました。

クララ・シューマンといえば、夫ロベルト・シューマンを支えた良き妻として以外にも、
幼い頃から天才ピアニストとして知られ、また当時としては珍しかった女流作曲家としての顔も持っていました。
1819年9月13日に生まれ、1896年に亡くなっていますので、ロマン派の時代をそのまま生きた音楽家です。
<プレイリスト>
M1 クララ・シューマン 《 ロマンス・ヴァリエ Op.3 》
   ヴェロニカ・ヨッフム(ピアノ)

M2 ロベルト・シューマン 《クララ・ヴィークの主題による10の即興曲 Op.5》 
   イェーネ・ヤンドー(ピアノ)

M3 クララ・シューマン 《ピアノ協奏曲 イ短調 op.7》より第一楽章
   ルーシー・パーハム(ピアノ)、バリー・ワーズワース(指揮)、BBCコンサート・オーケストラ 

M4 クララ・シューマン《3つのロマンス》より第1曲Op.21-1
   スザンネ・グリュッツマン(ピアノ)

M1「ロマンス・ヴァリエ 作品3」は1831年、クララが12歳のときに作曲、初めてロベルトに献呈し、クララの願いで、
ロベルトが10の即興曲を作りました(M2)。兄妹のようだった2人の関係は次第に恋愛へと変わっていきました。

そして、M3のピアノ協奏曲は、ロベルトがオーケストレーションを担当。
そのことが1833年11月22日のクララの日記に残されています。

1837年、クララの18歳の誕生日にロベルトはクララの父で自分の師であるヴィークに
結婚の承諾を求めますがヴィークは猛反対。
裁判にまで発展し、2人は1840年9月12日(クララ21歳の誕生日の前日)に結婚することができました。

結婚後のクララは、8人の子供を育てながら、作曲家ロベルトを支え、コンサートピアニストとして、
控えめながら作曲活動もつづけました。

しかし、クララが35歳の1854年、夫のロベルトが自殺未遂、精神病院に入院し、1856年に亡くなります。
クララは、その後子育てをしながら演奏活動をつづけ、ロベルトの作品を世に紹介し、シューマン全集の編纂も行いました。

作曲家のブラームスは、ロベルトを慕って1853年ごろから家族ぐるみで親しくつきあい、
ロベルトが亡くなったあともクララや子供たちを献身的に支えたことで知られています。

今夜は、最後に、1853年にクララがロベルトに誕生日プレゼントとして贈った「ロマンス」第1曲をお送りしました。

曲を贈り合う恋人同士から支え合う夫婦へ・・やはり、めったにない素敵な関係です。

横山さんは、「クララは早熟な天才であり、作曲した作品からたしかなピアノの腕前が感じられる、
ロベルト・シューマンや、もっと古典的なメンデルスゾーン、ベートーヴェンの雰囲気も感じました。
大人になってもっとたくさんの曲を書いていたら、どんな曲を書いていたのか興味深いですね」とおっしゃっていました。


いよいよ9月22日(木・秋分の日)は、ベートーヴェン・プラスvol.4!
東京・オペラシティ・コンサートホールで2時開演です!

そして、9月23日(金)は、ピアノでめぐり逢い トーク&ライブin福岡!
たくさんのご応募ありがとうございました!
当選のみなさまには招待状をお送りしています。お待ちしています!





ベートーヴェン・プラスVol.4直前スペシャル3!

2016.09.12


不安定なお天気、厳しぎる残暑です。お大事にお過ごしください。

さて、9月22日(木・秋分の日)に東京・オペラシティ・コンサートホールで行う
横山幸雄<ベートーヴェン・プラスVol.4>直前スペシャルの第3弾は、
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番と第5番!

♪プレイリスト
M1 ベートーヴェン 《ピアノ協奏曲 第4番》より第1楽章 
M2 ベートーヴェン《ピアノ協奏曲第5番「皇帝」》より 第3楽章
演奏、ジャパン・チェンバー・オーケストラ、ピアノ・横山幸雄
 (2005年『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集』より)

ピアノ協奏曲第4番、第一楽章は、ピアノの独奏の出だしが印象的です。
1805年ごろ、ベートーヴェンが30代半ばのころの作曲です。
この30代半ばから後半のベートーヴェンは、傑作を次々と生まれた創作の絶頂期、
ロマン・ロランは「傑作の森」とこの時期を呼んでいます。

35歳でピアノソナタ「熱情」作曲、
36歳でピアノ協奏曲第4番、交響曲第4番、ヴァイオリン協奏曲
38歳で交響曲第5番「運命」、交響曲第6番「田園」を発表
39歳でピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ピアノソナタ<告別>

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」は、ナポレオンがウィーンを占領し、街が混乱していた時期に作曲を開始しています。
「皇帝」という別名はベートーヴェンがつけたものではありませんが、
「モーツァルトやハイドンとはまるでスケール感の違う、まさに”皇帝”というタイトルにふさわしい雰囲気の輝かしい作品」と横山さんは表現していました。

スタジオでCDを聞いているとわくわくしてきました。
ピアノ協奏曲1番から5番まですべて一度に聴ける機会は少ないと思います!

そして、翌日、9月23日は福岡で、この番組の公開収録「ピアノでめぐり逢い トーク&ライブ・イン・福岡」があります!
応募締め切りを9月13日まで延長しましたので、お越しになれる方でまだの方はいますぐエントリーしてくださいね。

●ベートーヴェン・プラス
日時:9月22日(木・祝)、お昼2時開演
場所:東京オペラシティ コンサートホール
曲目:ベートーヴェン ピアノ協奏曲全5曲
共演:トリトン晴れた海のオーケストラ(コンサートマスター矢部達哉) 

ジャパン・アーツぴあコールセンター
TEL:03-5774-3040(10:00〜18:00 年末年始を除く)

ベートーヴェン・プラスVol.4直前スペシャル2!

2016.09.05


9月に入りましたね!お元気ですか?

22日(木・祝)は、東京オペラ・シティ・コンサートホールでのベートーヴェン・プラス、
23日(金)は、福岡での公開収録「トーク&ライブ・イン・福岡!」(しめきりが13日に延長されました!)
と楽しみが続きます!

今回は、ベートーヴェン・プラスの直前スペシャル第2弾!
今年は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲を5曲すべて演奏するという
横山幸雄さんのデビュー25周年スペシャルです。
今日は、「ピアノ協奏曲 第3番」を解説しました。

<プレイリスト>
♪M1 ベートーヴェン 《ピアノ協奏曲 第3番》より第1楽章 
♪M2 ベートーヴェン 《ピアノ協奏曲 第3番》より第3楽章 
ベートーヴェン 《ピアノ協奏曲 第3番》より第3楽章
 横山幸雄(ピアノ)、ジャパン・チェンバー・オーケストラ
(2005年『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集』のアルバムより)

ピアノ協奏曲 第3番は・・・
・ 1796年頃に最初の構想がなされ、1800年から1803年にかけて完成されたと考えられる
・ 第1・2番とはやや間隔を空け《第3交響曲》とほぼ同じ時期に完成した
・ベートーヴェンにとっては、耳の病を不屈の精神で乗り越えた時期にあたり、ドラマチックな作品です。
・ ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中、唯一の短調(悲愴ソナタ、運命交響曲と同じくハ短調)
・ 1803年の4月に公開演奏会にて初演されました。

9月22日、お待ちしています!





【後編】『トーク&ライブ・イン・大阪』イベントレポート

2016.08.29


今週は大阪での公開収録後編をお届けします。



まずはリスナーの方からのメッセージ&質問コーナー

FM OSAKA のDJ若宮テイ子さんとのトークパートでは、リスナーからのメッセージや質問も。
「ピアノを始められたきっかけは?」との質問には「覚えていません(笑)。ピアノを弾いていない自分に記憶はない」と横山さん。
「自宅にあったピアノをおもちゃのように弾いていて、習い始めていたのは5歳。(プロになるなんて)何も考えてもいなかったけれど、楽しかった」とのことです。
さらに「指がまわるようになるには?」という質問には「ピアノに座っていない時間にも指を動かしておくと良い」とのアドバイス。「(自身も)よく指が動いていると指摘されます。無意識なんですが。これも練習時間の削減です(笑)」と会場が笑いに包まれるシーンも。



シューベルト・ブラームス・ショパン

そして後半では、シューベルトの《4つの即興曲 作品90》第3番からスタート。シューベルトは先輩作曲家であるベートーヴェンを慕い、尊敬していたと言われていますが、「ベートーヴェンの音楽にみられる意思の強さやドラマティック性とは反対に、シューベルトは優しい人柄が音楽にも表れている。」歌の作品を多く書いたシューベルトは「歌のような、人間の声のような部分をピアノから引き出している作曲家」と解説。続いてはブラームスの《6つの小品 作品118》より第2番。ロマン派の時代には、「性格的小品」とよばれるピアノのための短い楽曲が多く作られるようになりますが、シューベルトもブラームスも晩年にこのピアノのための小品を残しています。いずれもゆったりとした曲調で美しい作品です。そして最後を締めくくるのはショパンの《幻想即興曲》。ショパンのピアノ曲の中でも人気の高い作品ですが、実はショパンが生前出版しなかった遺作と呼ばれる作品の一つです。「(自分の死後は)焼いて処分してくれ」と言い残したといわれますが、天才ショパンの傑作であることは間違いありません。



このイベントでは、横山さんが「CELVIANO Grand Hybrid」を演奏。前半2作品が「ウィーン・グランド」の音色で、後半3作品が「ベルリン・グランド」の音色で演奏されました。「こちら(CELVIANO Grand Hybrid)の場合、アコースティックピアノよりもさらに演奏家の技量があらわれる」という横山さん。時に繊細で優しく深い表現から、時に情熱的でドラマティックな表現まで多彩な音色を使い分けた見事な演奏に会場も引き込まれました。



なおこのイベントで演奏した音源は、『天才ピアニスト 横山幸雄のピアノでめぐり逢い』のこちらの番組ホームページから聴くことができます。合わせてお楽しみください。

⇒『トーク&ライブ・イン・大阪』公開収録音源はこちら

【演奏楽曲】
・J.S.バッハ《イタリア協奏曲 BWV971》
・ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ第14番「月光」》
・シューベルト《4つの即興曲 作品90》より第3番
・ブラームス《6つの小品 作品118》より第2番
・ショパン《幻想即興曲 作品66》

«Prev || ... 17 · 18 · 19 · 20 · 21 · 22 · 23 · 24 · 25 ·... | | Next»