ON AIR REPORT オンエアレポート

2016年上半期を振り返って

2016.12.12


今夜もお聴きいただきありがとうございました。

2016年はどんな1年でしたか?
今週と来週は、横山幸雄さんの2016年を演奏活動を中心に振り返り、初登場のライブ音源をお送りします!

今夜は、上半期ということで、5月の<入魂のショパン2016>から3曲お送りしました。

<プレイリスト>
M1 ショパン 《ピアノ協奏曲 第1番 op.11》 より 第1楽章

M2 ショパン 《12のエチュードop.10》より 第1番

M3 ショパン 《スケルツォ 第1番》
いずれも、横山幸雄(ピアノ)、2016年5月4日、東京オペラシティコンサートホール。「入魂のショパン2016」 のライブ録音より。

2010年のショパン生誕200年からスタートしたこの<入魂のショパン>シリーズ。
5回目まではショパンのピアノ曲をさまざまな切り口で全曲演奏することがテーマでしたが、6回目以降は、ショパンの人生に注目して年代を区切って、関連するほかの作曲家の作品もおりまぜてお送りしています。

7回目の今年は、20代前半のショパンの作品が中心でした。今回は、ショパンの「ピアノ協奏曲」形式の曲6曲すべてを、ピアノソロで演奏しました。「この協奏曲(コンチェルト)をピアノ・ソロで弾く、というスタイルをはじめて5年目です。オーケストラの部分も自分で弾くと全体がほんとうによくわかる、5年目でだいぶ慣れてきました。」と横山さん。

ショパンのエチュードも、「ピアノを学習する人はどこかで触れたことがあるはずですが、12曲すべてを弾く機会はあまりない。」横山さん自身も「曲集としてのまとまりを改めて感じたり、ふだん演奏しない曲も含めてショパン全体を見直す1日となっている」そうです。

「スケルツォ」は、20歳のショパンの作品。ポーランドからパリへと人生の舞台を変えた1年間のあいだ、祖国も激動の時代でした。そんなショパンの心の激動も感じられる作品です。この日の演奏でスタッフも特に心に残った作品でした。

今回は、午後1時開演、夜7時半までの演奏会。一般的な演奏会よりは長いけれど、<入魂のショパン>常連の方にはなんだか短いですね、という感想もあったそうですが、横山さんは、「演奏会の長さは体力的には関係ないけれども、準備の時間が必要、という違いはあります。でも始まって終わってしまえばあっという間です。来年は、20代後半のショパンの作品、傑作ぞろいの時代ですので、ご期待ください」とのことです!

来週は、9月に行った<ベートーヴェン・プラス Vol4>から、ベートーヴェンのピアノ協奏曲をこちらはオーケストラあり、でお送りします!
お楽しみに。




12月生まれの作曲家・シベリウス特集!

2016.12.05


12月に入りました。
今夜もお聴きいただいてありがとうございました!風邪が流行っているようです。気を付けてくださいね!

今週は、12月生まれの作曲家から、12月8日生まれのジャン・シベリウス(1865年〜1957年)の音楽を紹介しました。
フィンランドを代表する作曲家で、北欧の豊かな自然をモティーフにした民族的な音楽を多く遺しています。
昨年、2015年に生誕150年を迎えました。

<PLAY LIST>
M1 シベリウス: 交響詩《フィンランディアop.26》
ペトリ・サカリ(指揮)、アイスランド交響楽団

M2 シベリウス 《ヴァイオリン協奏曲》 より 第3楽章
ピンカス・ズッカーマン(ヴァイオリン)、ダニエル・バレンボイム(指揮)、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

M3 シベリウス 《5つの小品op.75》より 第5曲<樅(もみ)の木>
田部京子(ピアノ)

「フィンランディア」は、シベリウス(1865-1957)によって1899年に作曲、1900に改訂された交響詩。1900年のパリ万博でフィンランドのオーケストラによって初めて演奏され、同時に<フィンランディア>という名称を得ました。フィンランディアとは土地、文化、生活習慣など全て包括した「フィンランドというもの」の意味です。
・作曲当時、フィンランドはロシアの圧政下にあり、言語や言論、出版など厳しく統制されていたため、独立運動が起こっていました。最初の曲名は「フィンランドは目覚める」 。新聞社主催の演奏会で上演された劇音楽のフィナーレとしてつくられました。ロシア当局はこの曲がフィンランドの愛国心を高揚させることを恐れ、国内での演奏を禁止、音楽のもつ力を当局も警戒したのです。
・重苦しい序奏(「苦難のモティーフ」)から始まり、途中に有名な「フィンランディア賛歌」がはさまれ、最後は「勝利に向かうモティーフ」も加わり盛り上がって終わる「フィンランディア」。
・「フィンランディア賛歌」は、シベリウス本人が合唱用に編曲したもので、フィンランドでは現在も第二の愛国歌として広く歌われています。

「ヴァイオリン協奏曲」は、ヴァイオリニストを目指していたシベリウスが残した唯一の協奏曲。初演は1904年。シベリウスの作曲活動も脂ののった40歳のころの作品です。初演は、独奏者の力量不足で失敗におわりましたが、改定版を発表し大成功をおさめます。

シベリウスは交響曲や劇音楽が有名ですが、ピアノの小品も残しています。この「5つの小品」は、シンプルなメロディーとハーモニーで、北欧の自然や情景をすがすがしく描いています。

シベリウスの作品は、近代音楽の幕開け、フランス、イタリア、ドイツなど音楽の歴史を作った国の周辺、ロシア、東欧、北欧などが、
民族的な音楽に注目して独自の音楽を作った新たな時代の展開のひとつです。目をつぶると、北欧にいるようなそんな気持ちにさせてくれます。





スーパー・テノール、福井敬さんを迎えて(後編)

2016.11.28


とっても寒い1週間となりました!あたたかくしておすごしくださいね。

福井敬さんをお迎えした後編は、オペラの話を中心にうかがいました。

M1 プッチーニ:歌劇<トゥーランドット>より 「誰も寝てはならぬ」 /
福井敬(テノール)、渡邊一正(指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団

M2 シューベルト:歌曲集《美しき水車小屋の娘》より 第10曲<涙の雨>/
福井敬(テノール)、横山幸雄(ピアノ)
(2004年のアルバム 『松本隆/日本語詩 シューベルト:歌曲集 「美しき水車小屋の娘」』より)

最も有名なオペラの曲、「誰も寝てはならぬ」は、福井敬さんも何度歌ったかわからないほど。
歌劇<トゥーランドット>を演じた回数も日本で一番多いそうです。

福井さんが最初に見たオペラはドニゼッティの「愛の妙薬」。高校時代に、盛岡まで見に行き、翌日学校があるので最後まで見ることはできずに帰って来たという思い出の作品です。
福井さんは吹奏楽部でトロンボーンを吹いていましたが、大学に入るときに声楽をスタート。
1992年、出演者としてのデビューは二期会のオペラ「ラ・ボエーム」でした。

オペラの長い期間かけて行うお稽古が好きだという福井さん。本番ではいろいろなハプニングが起こりますが、お稽古の試行錯誤があってこそ臨機応変に対処できるのだそうです。
対して、横山さんは、ピアノはみなで作り上げるということはほとんどないので、孤独です・・と淋しそうでした。

後輩音楽家に教えることは、自分が受け継いだことを伝えていくという意味も含めて大切な活動。生徒に教えることで、自分の中で整理できていなかったことも言葉にしようと考えるから自分にも発見があって楽しい、という点はお二人共通の意見でした。

◎浜離宮アフタヌーンコンサート
福井敬×横山幸雄 松本隆・訳詞による シューベルト「美しき水車小屋の娘」
日時:12月6日(火) お昼1時半 開演 
場所:浜離宮朝日ホール(東京)


福井敬さんと






スーパー・テノール福井敬さんをお迎えしました!

2016.11.21


今週もお聴きいただきありがとうございます!
11月20日、27日の2週にわたって、日本が世界に誇るスーパー・テナー、福井敬さんをお迎えします。

12月6日に浜離宮朝日ホールでデュオ・リサイタルを行う福井敬さんと横山さん。
2004年に録音したアルバム 「美しき水車小屋の娘」の久しぶりのコンサートです。

このアルバムは、作詞家の松本隆さんがミュラーの原詩をもとに、すばらしい日本語の詩をつけた作品。
岐阜サラマンカ・ホールで録音した時には、美味しいウナギの稚魚を食べたり、楽しい思い出があるそうです。

日本語で歌うと、作品の物語に聴衆がダイレクトに引き込まれていくのを感じることができて新鮮だったと
発売当時のコンサートを福井さんが振り返りました。
12年を経ての今回のコンサート、歌手は声にも変化が表れますか?と横山さんが聞くと、
福井さんは、(円熟という意味での)「皺」のようなものが出てくるとおもう、とお答えでした。
コンサートが楽しみですね!

<プレイリスト>

M1 シューベルト:歌曲集《美しき水車小屋の娘》より 第1曲<放浪>
福井敬(テノール)、横山幸雄(ピアノ)

M2 寺山修二(詞)、中田喜直(曲)悲しくなったときは
福井敬(テノール)、谷池重紬子(ピアノ)

2曲目にお送りしたのは、福井さんが2010年に発表した日本歌曲を歌った『悲しくなったときは』というアルバムからタイトル曲。
♪悲しくなった時は海を見に行く♪という寺山修二さんの詞に、中田喜直さんが美しいメロディーをつけました。
あの寺山さんがこんなに素直なすてきな詩を書いていたのかという驚き、そして、2011年の東日本大震災のあとでは、
この曲を歌うと聴く人は、その被害を受けた人たちのことを思っているのがわかる。
歌は時代によって受け取られ方が変わるんですね。
今回の「水車小屋の娘」を日本語で歌うことも意味のあるコンサートになると思います、と福井さんはお話くださいました。

来週もお楽しみに!

浜離宮アフタヌーンコンサート
<福井敬×横山幸雄 松本隆・訳詞による シューベルト「美しき水車小屋の娘」>

12月6日(火) 13:30開演
会場:浜離宮朝日ホール(東京)
曲目:シューベルト(ミュラー原詩/松本隆日本語詞):歌曲集「美しき水車小屋の娘」Op.25 D795  ほか
共演:福井敬(テノール)
お問い合わせ:朝日ホール・チケットセンター 03-3267-9990  

当日は、横山さんのシューベルトの即興曲の演奏もあります
横山さんのセルヴィアーノ・グランドハイブリッドでのシューベルトもこの番組HPでお楽しみいただけまーす


Album Suisha Goya no Musume

 

11月生まれの作曲家:フンメルに注目!

2016.11.14


寒い季節が始まりました。お部屋でゆっくり音楽を楽しむ夜もいいですね。

今回は、11月生まれの作曲家、フンメルに注目しました。
きっと初めて名前を聞くという方も多いかもしれませんが、ちょうどベートーヴェンと同時代に活躍し、
生前はベートーヴェンと人気を二分するほどの作曲家、ピアニストとして知られていました。
作曲作品の中心だったピアノ曲から今日は3曲ご紹介しました。

<プレイリスト>
M1 フンメル 《ピアノソナタ 第1番》 op.2より 第1楽章  コンスタンス・キーン(ピアノ)
M2 フンメル 《ピアノ三重奏曲 第1番》 op.12より 第1楽章 グールド・ピアノ・トリオ
M3 フンメル 《ピアノ協奏曲 第2番》 op.85より 第3楽章 
  スティーブン・ハフ(ピアノ)、ブライデン・トムソン(指揮)、イギリス室内管弦楽団

1778年11月14日、ハンガリーで生まれたフンメルは、幼い頃から神童と呼ばれて才能を発揮していましたが、
音楽家の父親の仕事でウィーンに移り住み、モーツァルトに才能を認められ、例外的に住み込みで弟子となりました。
その後はクレメンティ、サリエリ、ハイドンにも学んだ。
弟子にはツェルニー、メンデルスゾーン、ヒラー、ヘンゼルト、タールベルクなど。
生前はベートーヴェンと人気を二分するほどであり、ベートーヴェンは晩年、演奏家としての活動は少なかったため
19世紀前半、大ピアニストといえば、まずフンメルのことを指した。
師であったハイドンの跡を継いでエステルハージの楽長に就任。その後シュトゥットガルトとワイマールの楽長を歴任。最後はワイマール楽長で、そのまま世を去っています。

特にショパンは演奏会を見て感激、作品をきいてショパンに似ているな、と感じるかもしれませんが、
ショパンが影響を受けているのです。演奏家としては、当時の代表がフンメルとパガニーニです。
とくに「ピアノ協奏曲第2番」は、ロマン派の要素が感じられる作品です。

古典派からロマン派への移行期に活躍した作曲家・フンメル、交響曲は手掛けていませんが、
その作品の中にモーツアルトより意識的な音楽の流れがあり、ベートーヴェンほどには強い意志は感じられないものの
ショパンやメンデルスゾーンに引き継がれるそういった音楽の歴史を感じます。と横山さんは語りました。

次回は、テノール歌手の福井敬さんをゲストにお迎えします!お楽しみに。






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