2013/9/15
明日は敬老の日。
“多年に渡り、社会に尽くしてきた老人を敬い、長寿を祝う”日です。
「老人に限らず、人を敬っていますか?どうも最近は“敬う”よりも“呪う”方が多い気がします。それは私の考え過ぎでしょうか。しかし、敬いたい大人が減ったのも事実。今のお年寄りは、昔のお年寄りとは違うと思う。何故かと言うと、戦争を経験している人が減ったから。戦後派にだんだんなってきている。そうすると意外と苦労知らず。高度成長で上り調子しか見ていない。昔のお年寄りは戦争を経験していたり、“食べられない事はどういう事だと思う?何が一番大事なのかよく考えなさい”というような教えがあった。しかし、戦後のお年寄りは、もちろん全てではありませんが、今さえ良ければいいというような人が増えたような気がする。また大人世代もそう。『はだしのゲン』の問題もありましたが、何故親が良書、悪書と決めて渡すのか。“子どもに対して良いもの、美しいものを与えていきたい”。聞こえはいい。親の気持ちとしては分かる。しかし私は間違いだと思う。汚いものを理解するから、美しいものが理解出来る。子どもが見るものに関しては、止めたり妨げたりしてはいけないと思う。過干渉してはいけない。『はだしのゲン』もショックが大きいと言いますが、私の知っているホスピスの先生が、ショックが大きいからと、子どもを臨終に立ち会わせない親が増えたと言っていた。私はその原因はただ一つだと思う。それは“横着”。規制すれば楽。これは、コミュニケーション不全なんです。読んでも親子でどう思ったのか、ディスカッションすればいい。ディスカッションをせず、規制をすると、非常に無機質で機械的になる。最近、パンの上に寝そべったり、冷蔵庫に入ったりするような写真がインターネットで問題になっていますが、きちんとディスカッションしてこないから、こういう子どもたちが増えているんです。して良い事と悪い事が分からない。横着な世代。一億総コミュニケーション不全と言ったのは、そこにあると思うんです」という江原さん。
今日は、 “敬う”心を持つにはどうしたらよいかをテーマにお送りしました。



今夜お届けしたナンバー

◇When I’m Sixty-Four / ビートルズ
◇幸せのみつけかた / 江原啓之

「私には兄がおります。兄は1歳からしゃべりはじめ、何をやらせても天才で、眉目秀麗。塾にも一切行かないで、日本一の大学にも現役合格。その後も出世まっしぐらな人生を歩んでいます。私は4歳まで全くしゃべれなかったといいます。小学校でも九九を覚えるのがクラス一遅かった私とは逆に、兄の存在がデカ過ぎて、両親共に入れ込んだのは当然将来有望な兄。私はまるで放りっぱなしでした。親に愛された事がないので、人の愛し方が分からず、恋愛してもそれ以上進まず、こんな思いをもしかして子どもも同じように味わうのかと思うと、結婚して子どもを産みたいと思った事がありません。でも、仕事だけはスキルも上がれば、付き合う人や対価も増え、それだけが私の心の支えでした。ここまで性質の違う兄弟っているのでしょうか。私にとっての兄は、親の愛情も、私の立場も奪いつくした憎い人ですが、兄も、いまだに成績も悪く、いじめにもあっていた私を、自慢も出来ない兄弟だと思っているようで、お互い社会人になってからは、まるで連絡もしていません。例えば、“ウチは家族皆貧乏だからしょうがないよね、アハハ”的な平等さだったら分かるのですが、どうして私の家は、私と兄弟みたいな人生の開きがあるのでしょうか」というメールをいただきました。

江原さん

「お気持ちは分かるけれど、あなたが悪い。集英社から出ている私の著書『子どもが危ない!』を読んでいただきたい。優秀だから愛するというのは、物質的価値観。親は本来、正常の愛で考えたら、出来が良い悪いではなく、子どもは可愛いもの。まず、親に愛されていなかったという根性がひねくれている。例え1%の愛でも分からなかったら、100%、120%の愛は分からない。ここまで育ったという事は、あなたもちゃんと親から愛されている。だから今のあなたがいる。“自分を差別する人は、人を差別する”という言葉を覚えておいて欲しい。自分を卑下している人に限って、別の人にも“アイツもダメだ”と言ってしまう。自分自身に差別感がなかったら、自分を差別しない。こういう兄弟は何人もいる。お兄さんが得をしているように見えるが、お兄さんはお兄さんで、がんじがらめで苦しかったりする。逆にあなたの方が自由。こんなに楽な事はない。何でもプラスとマイナスは背中合わせ。正があれば負がある。プラスだけ、マイナスだけはない。その事を忘れてはダメ。あなたも、苦しさ、淋しさがあったでしょう。その淋しさは分かるけれど、心を開いてこなかったあなたもいけない。色んな兄弟、色んな家庭がいっぱいある。あなたは幸せ。健康なんだし。『子どもが危ない!』読んでみてください」


「私は子どもの時から、母親のこういうところが嫌い、こうはなるまいと思っている事がありました。30年経ち、自分を思い返すと、似ているなぁ、同じ事をしているなぁと思う節があります。主人も子どもの頃、すぐに怒鳴り散らす自己中心的な父親が嫌で、こうはなるまいと思っていたそうです。俺は反面教師だというのですが、私から見れば程度は違えど、出方は同じ気がします。親が育てたように子どもが育ち、親に育てられたように子どもも我が子を育てる。それが世の常でしょうか。それとも反面教師になる事は可能なのでしょうか」というメールをいただきました。

江原さん

「魂の視点、スピリチュアルの視点からすると、偶然はなく必然。子どもが親を選んで生まれてくる。そこの家族になるという事にも意味がある。学びなんです。実は、育てられたからそうなったのではなく、似ている人が集まってくる。自分で自分を変えるには、自分とそっくりな人を見るのが一番。鏡を見るという事は一番辛い事。自分の嫌なところを人に見るのはすごく嫌。よく教育相談でもそうなんですが、親が子どもの嫌なところを、自分が持っているものがあるとすごく嫌らしい。そうすると、口やかましくなる。子どもも子どもで、実はお母さんが嫌なところを自分が持っている事にまだ気が付いていなくて、後になって気が付く事が多い。そういう事に気付けた後に、反面教師に変わる。そして反面教師が自分を変えていく。だから変わらないのは、本当に気が付いていない。気が付いていないから変わっていない。本当につくづく、こういう嫌だな、自分も持っているなと思ったら変えられる。あなたは気付きかけているだけで、本当に嫌だと思っていないですね。もう一歩。そしてまた逆に、まったく似ていない家族もいる。同じ環境の中なのに、全然違うタイプの人。魂が別。全く違う魂の人が来て、みんなと全然違う性質を持つ事で、学び合う。そうすると社会に出た後も、色んな人がいるんだという事が分かる。似ている学び。似ていない学び。どっちもあるんですね」


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●江原啓之 今夜の格言

「“人を呪わば穴二つ”です。決して同じ土俵に乗ってはいけません」
  
「大切な人生の時間。妬んだりする余裕はありません。理想を目指して努力しましょう」

  
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