2020/4/19
慣れないテレワークでお疲れという方も多いのではないでしょうか。
今日も先週に引き続き、弁護士で元農林水産大臣の山田正彦先生をお迎えし“種苗法”についてのお話を伺いました。



江原さん―
今日も先週に引き続き、山田先生にお越しいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。“種苗法”について教えていただきたいのですが。

山田先生―
今、怖いのは種苗法の問題。種子法を廃止するときに“種苗法で守るから大丈夫だ”と政府は説明して回ったんです。ところが種子法と種苗法は立て付けが違うので守れませんとなった。どういうふうに立て付けが違うのかというと、種子法はみんなの食糧安全保障のために国が主食の種の責任を持つという法律。一方、種苗法は育種権者の権利を保護しようという法律。例えば三井化学が作った“みつひかり”。三井化学の権利者としての権利を保護する。これが種苗法なんです。今までは種苗法であっても育種権利者からコメの種子を買い、それを自家採取し、次年度以降もずっと作り、収穫しようとどうしようと、今の種苗法では自由だった。私は五島でしたから、芋も種芋といって形のいい、味の良いものを残したものを植え、蔓を切って、畝にずっと植え込んでいき、そうやって毎年自家増殖をしてきた。一旦、良い苗を買ってきて増殖をしてきた。それが登録された品種に関しては自家増殖禁止。自家採取一律禁止になった。

江原さん―
私もそうだったんですが、リスナーさんで農業をわかっていない方もいらっしゃると思いますが、芋は種ではないんです。自家増殖とはどういう意味かというと、元々ある芋の苗を植えて、そこから増殖したものを収穫する。それを自家増殖というんです。

山田先生―
自家増殖一律禁止といっても、登録された品種に限られますけどね。
登録された品種というと、農水省は“極めて特別な品種です”と説明する。だから“一般品種”という新しく言葉を作った。けれど毎年800種類が育種登録されている。私は先日、栃木県の大田原市に行ってきました。200年も前からそこでウドはずっと栽培されてきていた日本の伝統的なもの。その栽培農家に行ってきたんです。すると2種類、育種登録されていた。まだ20年くらい育種権の保護期間がある。ウドにしても50本くらい買ってきて、根っこのコブになっているところを切って株を分け、それを植えていくんです。毎年そうして増やしていって、県から分けてもらった50本を毎年株分けして増殖し、6年で1万本にした。これが自家増殖なんです。これができなくなるんですよね。

江原さん―
これは自家増殖の話ですが、昨年からみなさんよく聞いていたかと思いますし、『おと語り』でも話をしたことがあるかと思いますが、シャインマスカットに関するニュースがよく出て来ていた。その中では、シャインマスカットが海外に流出することを抑えるための法律なんですということだけを説明していた。このニュースがネットニュースに出ていたとき、下の書き込みのところに“日本は遅すぎるんだ。早くしろ!”などと、すごく煽る方たちが多かった。山田先生のBlogなどで発信していますが、国内法だからそんなことをしても流出は変えられないんですよね?

山田先生―
シャインマスカットは農研機構といって農水省の機関なんです。今は独立行政法人になりましたけどね。そこで開発した品種。農研機構の品種でも8条4項で“海外の事業者を含む民間企業にその育種知権(知的財産権)を提供する”という法律を通したんです。これを今更、海外流出を防ぐためというのは矛盾している。それに国内法でもある。国内法で海外流出を食い止めるというのもあり得ない。ただ、今でも(食い止めることが)できる道はある。種苗法に21条4項というのがあって、自家採取はいくらやっても自由だけれど、海外に持ち出すのは禁止。消費以外の目的をもって輸出することは禁止されている。それによって刑事告訴もできるし、海外に持ち出した者に対して民事の損害賠償もできることになっています。現行法です。それに対し農水省は“UPOV(ユポフ)91年条約に加盟している国にはそういう追及はできないでしょ”と言うんです。UPOV(ユポフ)91年条約と言われてもみなさんわかりませんよね。簡単に言うと、国際的に育種権者の権利を守ろうという条約。これに加盟している国は本当に少ない。中国などに対しては現行の種苗法21条4項で十分に対応できる。ただ韓国は91年条約に加盟している。けれど韓国に対しては韓国で育種登録をすれば足りるわけです。そうなればより強力にシャインマスカットの権利を守れる。今の法律、現行法で十分守れるのに、政府は国民を騙して種苗法をやろうとしているのではないかと、私は思えてしようがないんです。

江原さん―
種苗法のこと、種子法の時からそうなのですが、私なりに勉強をして色々なところで配信させていただいています。けれど多くの人たちの“山田先生が煽り過ぎなんだ”という意見もある。しかも“自然栽培などの専門家の方たちが言っている”という話が、私の友人たちから色々とメールで届くんです。それを読みますとかなり性善説といいましょうか、あまりにも疑わない意見だったりする。一言で端的に言うならば“政府はそんなことをするわけがない。元々は農民の権利だから安価でそうされるんだ”と。そのメールの中で“音楽と一緒です。小さなライブハウスでコピーバンドやるくらいならお咎めなしですが、大々的にやるとさすがに著者は黙っていないと思います”とありました。(下記参照)

(自然栽培をしている農家さんの意見)
種苗法改正に伴い様々な意見が飛び交っているようですが、一般品種に関しては今まで通り問題なく自家採取可能です。
登録品種については今後は権利者の許諾をいただき採取するようになります。
当たり前ですよね!今までがその方の権利を無視して勝手に採種していたのですから。
しかしそこに巨額な金額が必要なことはなく、奨励米の種もみでしたら一反当たりで平均80円程度支払えば自家採取可能です。
果樹では個人の農家が育種して品種登録していることが多く、その方としてはお金が欲しいわけではなく、その努力を理解していただき丁寧に扱ってもらいたいだけなのです。
なので許諾さえいただければ増殖は可能なこともあるようです。
イチゴに関しては苗にすでに許諾料が含まれていますので、購入後ランナーを取ろうが購入者の自由です。
我々が連綿と続けてきた農業をどうこう言う権利など誰にもないのです。
官僚の方もそのことをしっかりと理解はしてくれているようです。
今まで我々が行ってきたことが今後できなくなるようなことには、役人もしないと思います。
そもそも自家採種している農家なんてほとんどいないのですから。そんなニッチな存在にどうこう言ってくるわけもないのです。
ちなみに家庭菜園は種苗法の枠の外です。
好き勝手に採種してください。
話は少し変わりますが、去年の4月1日に廃止になった種子法に関しては、そもそも海外からの種の流入や国内からの種の流出を規制する法律ではなりませんので、言われているような噂は根拠がどこにあるのかよくわかりません。
新たな品種を開発するのには物凄い時間をお金がかかります。研究者が一生をかけて1品種作れるかどうかの世界です。今まではそういった品種を自由に採種していたものをまったく禁止にするわけではありませんが、その権利をしっかりと守ろうというのが今回の改正です。特に海外への持ち出しを厳しくしています。音楽と一緒です。小さなライブハウスでコピーバンドやるぐらいならお咎めなしですが、大々的にやるとなるとさすがに著者は黙っていないと思います。

江原さん―
最近、ヤマハの音楽教室が音楽を使うのにあたってJASRACの著作権に対し“音楽教室なんだからいいんじゃないか”という裁判があった。それにJASRACが勝訴し、すべて権利ですから支払っていただきますとなった。今回いただいた(自然栽培をしている農家さんの)ご意見は、わかりやすい音楽のことで書いてありましたが、この認識と非常によく似ている。“甘いですよ。ライブハウスでやるコピーバンドだって、カラオケで歌うのであってもJASRACはくるんです。私もコンサートをやるときには必ずお支払いしている。それとまったく同じことですよね”と、私は返しました。

山田先生―
そうなんです。自然栽培農家や有機栽培農家でみなさんが作っている、種採りをやっている伝統的な固定種は安全です。これまで通り大丈夫です。特定のある一部の品種だけが自家採種・自家増殖禁止になるのですからと農水省は説明し、そう説明して回った。だからみなさんそう思い込んでいる。ところが伝統的な茸の栽培農家がなめこ茸を栽培していたんです。すると企業から育種権の侵害だと裁判を起こされた。その裁判は最終的には伝統的ななめこ茸の栽培農家が勝った。どうしてかというと、育種権の侵害の判決文を読んでみますと、特徴の特性表から見れば確かに育種権の侵害にあたる。しかし、本当に育種権を侵害しているかどうか現物と現物を比較してみなければわからない。けれどその企業は育種登録をした現物を出せなかったんです。そしてその企業は負けたんです。ところが、今回の種苗法の改定で2番目に大事なことは、特徴を書いた特性表だけで裁判で勝てるようにすると、種苗法の34条・35条に入れたということ。そうなると伝統的な昔ながらの品種と、登録された新品種との特徴は区別が難しいですよね。今度の法律が通ると、今まで安心していた伝統的な栽培農家も自然栽培農家もある日、突然訴えられたら負けてしまうんです。それを心配しているんです。しかも民事はそうなりますが、刑事だと今度の改正では農業生産法人の場合には違反したら罰金3億円。10年以下の懲役。しかも共謀罪の対象。みんなそこまでわかっていない。

江原さん―
山田先生は弁護士でいらっしゃる。弁護士という立場からするとやはり法の抜け道の穴がないかどうか見るのはとても大切なこと。だから“なんとなく大丈夫だろう”という性善説ではダメなんです。
これから食に対してどう向き合っていけば良いのでしょうか?

山田先生―
各市町村からまず動き出して、各県で種子法に代わる種子条例を作り上げました。条例と言っても刑罰を抑えることはできるし、法律に反しない限り、正に法律なんです。私が与党時代に通した地方分権一括法案で地方分権、これは国の監督・命令は一切禁止している。通達も禁止、過去の通達も効力を失った。法律に反しない限り、地方自治体はなんでも作れる。そのようなことから各道県は種子条例を作ったんです。

江原さん―
希望ですね。

山田先生―
スーパーなどでの食品の表示ですが、ゲノム編集は去年の10月から表示をしなくて良くなった。遺伝子組み換えは今のところまだ事実上、表示が5%以上の混入は表示が決められている。その表示も“このまちでゲノム編集の食品を流通させないように”と思ったら同じように、“この市町村で販売する前には承諾がなければ50万円以下の罰金・半年以下の懲役にする”という条例を作って、厳しく規制することができる。

江原さん―
“表示をちゃんとしなさい”ということを、各都道府県・市町村が条例を作るということですか?

山田先生―
地方自治法・地方分権一括法案の中では、正に国と地方は対等なんです。だから我々は戦う道があるんです。

江原さん―
今治市に学びたいですね。

山田先生―
種子条例だけで24の北海道などの都道府県でパブコメをやっているだけで、新聞にも載りました。できますからね。

江原さん―
この2週の中でかなり濃いお話を伺いましたが、山田先生の書籍、Blogや講演会もなさっています。みなさん、山田正彦先生のお名前で検索していただければと思います。
私もこの2回の放送では我慢ならない!またぜひお話を聞く機会を作っていただきたいです。ぜひよろしくお願いいたします。山田正彦先生、ありがとうございました!!

2週に渡って山田正彦先生にお越しいただきましたが、かなり勉強になりました。
この先もみなさん、どんどん興味を持って自分たちのこと、大切なことですからね。
希望がある!だから今急いで勉強をした方がいい。未来のために。未来の子どもたちのためにというふうに思っております。
山田正彦先生、ありがとうございました!!

全国各地の人気ラジオ番組が参加♪聴く!読む!参加する!豪華トーク満載のJFN PARKで山田正彦先生とのトーク全編聴くことができます!
こちらから
4月20日(月)12時〜配信開始!!


●4月お誕生日の方、メールお待ちしております!!
“おめでとう”の“ことたま”をプレゼントします。
こういう時代だからこそ、生きること・生まれてきたことに感謝したい。
4月お誕生日の方、番組に対してや、自分のお誕生日に関するエピソードなど、ひとことメッセージを添えてお送りください。出来る限りご紹介させていただきます。

◇Dr.Recella奥迫協子さんへのお便りを募集しています!
スキンケアや化粧で気を付けている事や、失敗談など、みなさんの体験談をお待ちしております!
美容法、健康法だけでなく、素朴な疑問でも構いません。
奥迫協子さんに聞きたい事など、みなさんからのお便りをお待ちしております。

●江原啓之 今夜の格言
「不幸になる三大要素は“自己憐憫・責任転嫁・依存心”」
「運命は待つものではなく、拓くものなのです」

番組ではあなたからの感想・メッセージを募集しています
◇ 江原さんに聞きたい事
◇ ネガティブなお便り
◇ HAPPYメール
◇ 厄払いのお便り
◇ 不思議な体験・エンジェルさん目撃談
◇ 演じるさんのコーナー
(私はこう演じました。そしたらこんなに変わりました!エピソードのお便り)
◇ あなたが感動した言葉
◇ 若者からのお便り、みなさん、一緒に考えていきましょう!
◇ 『お笑い』エピソードのお便り
◇ あなたの不思議な夢の話
◇ リクエスト
◇ 4月お誕生日の方
◇ Dr.Recella奥迫協子さんへの質問コーナー
メッセージの応募はこちらから