2022.11.18
◆“キック”に着目、特化した書籍を出した理由
丸山:中西さんは、10月に本(「サッカー世界標準のキックスキル ~日本では誰も教えてこなかったシュートが決まるフォーム~」マイナビ出版)を出したそうですね。
中西:僕も丸山さんも53歳で人生折り返し地点にきているじゃないですか。自分がやってきたことを、遺していきたいんですよ。
丸山:なるほど。
中西:(パーソナルコーチとして)久保建英(くぼ・たけひさ)選手やいろいろな選手を教えてきて気づいたことで、まだ僕しか気づけていないと思うことがいくつかあるので。
丸山:はい。
中西:今回の本は、ただ単にキックの本なんですよ。「日本人はキックのクオリティが低い」と僕の周りにいる世界クラスのレジェンドたちがよく言っていたんですよ。それがあったので、キックのスキルを上げるべくいろいろな研究をして。中村俊輔(なかむら・しゅんすけ)選手をはじめ、いろいろな選手をサポートさせていただいて、キックのことについて積み上げてきたものをまとめて本にしようと。
丸山:本の中では、キックで何が一番大事とされているんですか?
中西:まず日本人の骨格が、世界で一番骨盤が前傾していないんですよ。
丸山:そこから始まるんですか!?
中西:だから日本人に特化したフォームがないと厳しいんじゃないかと。例えば、大陸の選手だと骨盤が前傾しているので、股関節、膝、足首がオートマティックに曲がる。
丸山:日本人よりも前傾の角度が変わらずにアドレス(対処)できるということですね。
中西:そうです、オートマティックに。しかも重心が高い。日本人の骨盤は前傾していないので、膝が前に出ない、関節が曲がらない、重心が低い。それらをどう変えるかという。
丸山:それはトレーニングで変える?
中西:トレーニングよりもまず意識ですね。高重心のほうがいいボールが蹴れるということを意識したほうがいいというか。
丸山:訓練すればそういうフォームに持っていけるということ?
中西:いけます。それが実際にわかったので。もちろんそうしたことも書いてあるんですけど、もう1つあって。サッカーのボールでゴルフと一緒の瞬間ってフリーキックやゴールキックとかしかないんですよ。
丸山:止まっているボールね。
中西:それのキックとあと2つ違うパターンがあって、1つは自分に向かってくるボールを蹴るのと、あとはドリブルのときなど自分から離れていくボールをどうやって蹴るか。全部、少しずつ蹴り方が違うわけですよ。
丸山:なるほど。
中西:そういう話をしている人って世界にあまりいなくて。
丸山:ということは、第一人者?
中西:いや、(海外の人は)それが当たり前と思ってやっているのかもしれないですけど、それを言語化や定義している人がいない。細分化して、こういうときはこういう蹴り方というのを、全部(シチュエーションを)再現して連続写真を撮って。
丸山:それは大変だったんじゃないですか?
中西:はい、53歳ですからね(笑)。
丸山:ハハハハハ!
◆中村俊輔のキックスキルに脱帽
丸山:「欧米人は腸腰筋がデカい」とよく言うじゃないですか。だからキックが強く、走るのも速くて瞬発的なスピードもあって。
中西:骨盤の中のインナーマッスルですよね。
丸山:そういうところもキックに影響あるんですか?
中西:もちろん影響あります。その辺りを日本人らしく、よりエネルギーを伝えられる方法とどう解釈できるかを今回の本では書いています。
丸山:サッカーをやっている人はみんな見たいんじゃない?
中西:歴史的文献として、僕らが亡くなった後に見ても「こうやって考えていた人がすでにいたんだ!」と。これは何十年後には当たり前になっていることだと思うんですけどね。
丸山:盲点ですね。
中西:みんなあまりカテゴライズ(分類)していないんですよ。自分から離れていくボールなのか、向かってくるボールなのか、止まっているボールなのかみたいなことを、ちゃんと考えているのはたぶん中村俊輔ぐらいですよ。
丸山:えっ、そうなんだ!?
中西:彼は別格なので。もちろん技術も高いし、キックに関する思考がものすごくハイレベルなので。今シーズンで現役引退したので、中村俊輔“選手”ではなく“さん”になりますけど、彼から得た情報や影響はものすごく大きくて。
丸山:なるほど。これからは人に伝えていく側になるけど、(後進に向けて)伝えていくのかな?
中西:僕は彼に監督になってほしいですね。彼は相当すごいので、絶対にいい監督になると思うんですよ。
丸山:日本のサッカー界を見ていると、世界に出ていかないと日本代表になれないというか、Jリーグですごく点を取っていても日本代表になれない選手がいるじゃない?
中西:そこは監督の好みですよね。この基準を超えたら日本代表になれるというような絶対的な数値があるわけじゃないので。
丸山:チームの順位と国の順位ぐらいしかないですもんね。
中西:あとは得点数やアシスト数などしかないじゃないですか。圧倒的な数字を叩き出していればJリーガーで選ばれる場合もあるけど、(海外組と)どっちの選手の経験値が高いかとなると、もちろん海外でやっているほうが高いのはしょうがない。でも、Jリーグにもいい選手はいっぱいいるし、もう少しJリーグの選手を(日本代表に)選んでもいいと僕は思いますけどね。
次回11月19日(土)の放送も、引き続き中西さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。
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聴取期限 2022年11月20日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/
中西哲生「中村俊輔は別格」「監督になってほしい。絶対にいい監督になると思う」
プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」(毎週土曜 7:00~7:25)。11月12日(土)の放送は、元サッカー選手でスポーツジャーナリスト/パーソナルコーチの中西哲生さんをゲストに迎え、お届けしました。
◆“キック”に着目、特化した書籍を出した理由
丸山:中西さんは、10月に本(「サッカー世界標準のキックスキル ~日本では誰も教えてこなかったシュートが決まるフォーム~」マイナビ出版)を出したそうですね。
中西:僕も丸山さんも53歳で人生折り返し地点にきているじゃないですか。自分がやってきたことを、遺していきたいんですよ。
丸山:なるほど。
中西:(パーソナルコーチとして)久保建英(くぼ・たけひさ)選手やいろいろな選手を教えてきて気づいたことで、まだ僕しか気づけていないと思うことがいくつかあるので。
丸山:はい。
中西:今回の本は、ただ単にキックの本なんですよ。「日本人はキックのクオリティが低い」と僕の周りにいる世界クラスのレジェンドたちがよく言っていたんですよ。それがあったので、キックのスキルを上げるべくいろいろな研究をして。中村俊輔(なかむら・しゅんすけ)選手をはじめ、いろいろな選手をサポートさせていただいて、キックのことについて積み上げてきたものをまとめて本にしようと。
丸山:本の中では、キックで何が一番大事とされているんですか?
中西:まず日本人の骨格が、世界で一番骨盤が前傾していないんですよ。
丸山:そこから始まるんですか!?
中西:だから日本人に特化したフォームがないと厳しいんじゃないかと。例えば、大陸の選手だと骨盤が前傾しているので、股関節、膝、足首がオートマティックに曲がる。
丸山:日本人よりも前傾の角度が変わらずにアドレス(対処)できるということですね。
中西:そうです、オートマティックに。しかも重心が高い。日本人の骨盤は前傾していないので、膝が前に出ない、関節が曲がらない、重心が低い。それらをどう変えるかという。
丸山:それはトレーニングで変える?
中西:トレーニングよりもまず意識ですね。高重心のほうがいいボールが蹴れるということを意識したほうがいいというか。
丸山:訓練すればそういうフォームに持っていけるということ?
中西:いけます。それが実際にわかったので。もちろんそうしたことも書いてあるんですけど、もう1つあって。サッカーのボールでゴルフと一緒の瞬間ってフリーキックやゴールキックとかしかないんですよ。
丸山:止まっているボールね。
中西:それのキックとあと2つ違うパターンがあって、1つは自分に向かってくるボールを蹴るのと、あとはドリブルのときなど自分から離れていくボールをどうやって蹴るか。全部、少しずつ蹴り方が違うわけですよ。
丸山:なるほど。
中西:そういう話をしている人って世界にあまりいなくて。
丸山:ということは、第一人者?
中西:いや、(海外の人は)それが当たり前と思ってやっているのかもしれないですけど、それを言語化や定義している人がいない。細分化して、こういうときはこういう蹴り方というのを、全部(シチュエーションを)再現して連続写真を撮って。
丸山:それは大変だったんじゃないですか?
中西:はい、53歳ですからね(笑)。
丸山:ハハハハハ!
◆中村俊輔のキックスキルに脱帽
丸山:「欧米人は腸腰筋がデカい」とよく言うじゃないですか。だからキックが強く、走るのも速くて瞬発的なスピードもあって。
中西:骨盤の中のインナーマッスルですよね。
丸山:そういうところもキックに影響あるんですか?
中西:もちろん影響あります。その辺りを日本人らしく、よりエネルギーを伝えられる方法とどう解釈できるかを今回の本では書いています。
丸山:サッカーをやっている人はみんな見たいんじゃない?
中西:歴史的文献として、僕らが亡くなった後に見ても「こうやって考えていた人がすでにいたんだ!」と。これは何十年後には当たり前になっていることだと思うんですけどね。
丸山:盲点ですね。
中西:みんなあまりカテゴライズ(分類)していないんですよ。自分から離れていくボールなのか、向かってくるボールなのか、止まっているボールなのかみたいなことを、ちゃんと考えているのはたぶん中村俊輔ぐらいですよ。
丸山:えっ、そうなんだ!?
中西:彼は別格なので。もちろん技術も高いし、キックに関する思考がものすごくハイレベルなので。今シーズンで現役引退したので、中村俊輔“選手”ではなく“さん”になりますけど、彼から得た情報や影響はものすごく大きくて。
丸山:なるほど。これからは人に伝えていく側になるけど、(後進に向けて)伝えていくのかな?
中西:僕は彼に監督になってほしいですね。彼は相当すごいので、絶対にいい監督になると思うんですよ。
丸山:日本のサッカー界を見ていると、世界に出ていかないと日本代表になれないというか、Jリーグですごく点を取っていても日本代表になれない選手がいるじゃない?
中西:そこは監督の好みですよね。この基準を超えたら日本代表になれるというような絶対的な数値があるわけじゃないので。
丸山:チームの順位と国の順位ぐらいしかないですもんね。
中西:あとは得点数やアシスト数などしかないじゃないですか。圧倒的な数字を叩き出していればJリーガーで選ばれる場合もあるけど、(海外組と)どっちの選手の経験値が高いかとなると、もちろん海外でやっているほうが高いのはしょうがない。でも、Jリーグにもいい選手はいっぱいいるし、もう少しJリーグの選手を(日本代表に)選んでもいいと僕は思いますけどね。
次回11月19日(土)の放送も、引き続き中西さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。
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聴取期限 2022年11月20日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/