2024.9.21
◆吉田秀彦、日本はもっと「投げて勝つ」柔道を
丸山:パリオリンピック(以下、パリ五輪)では、柔道のメダルは金が3つだった? 大会前、金メダルはどのぐらい想定していたの?
吉田:うちのパーク24からは(所属選手が)5人出たんですよ。そのうち4人が2連覇に向けてやっていたんですけど、結局獲れたのは(阿部)一二三だけなんで。
丸山:ちょっとこれは死活問題ですね……総監督。
吉田:責められるね(苦笑)。
丸山:でも、世界の実力も上がってきているっていうのもあるからね。これはしょうがないかなと思うんだけど、柔道ってルールがめちゃくちゃ変わらない?
吉田:変わる。
丸山:あれはどういう意味なの?
吉田:国際柔道連盟(IJF)のなかで決めるんですよ。僕たちも見ていて分からないことがいっぱいある。
丸山:そうでしょう? だって、それは日本とかも意見を言っているわけでしょ?
吉田:でも、相手にあんまりされていない。
丸山:嘘でしょ?
吉田:一応、試合のときに何かあったらコーチ陣が言いに行ったりしますけど、全然相手にされない。今、ビデオ判定が入っているので、もうそこでジャッジされちゃう。
丸山:なるほどね。
吉田:(試合展開が)競ってくるとどっちがどうだか分からないので、やっぱり一二三みたいに“バン!”って投げて勝てばいいんですよ。
丸山:そうね、あれは気持ち良いよね。
吉田:ああいう勝ち方をしないと、日本人はダメ。勝てない。投げて勝つ!
丸山:そうだよね。やっぱり変にちょこまかやっていたらダメだよね。やっていることが、あんまりレスリングと変わらなくなっちゃっているじゃない?
吉田:それもある。ただ道着を着ているか、着ていないかみたいなところの違いがね。
丸山:そうそう。もうちょっと昔の柔道っぽく、ガッと組んでから一気にいったほうが、(観戦する側としては)楽しいよね。吉田くんに、柔道としての目標を聞かせてほしいんだけど。
吉田:今パーク24の総監督をやっているので、もちろんオリンピックや世界選手権で金メダルを獲る選手をもっと出したいなっていうのはありますし、実業団の大会で、団体戦で優勝したいなっていうのもあります。
丸山:なるほど。
吉田:でも、やっぱり一番は(競技人口の)底辺を広げたいですね。
丸山:拡大する方法をね。
吉田:いろいろな人と協力し合ってやらないとダメですね。
丸山:ある意味、もうちょっとスポーツに向けていろいろなことをやってくれるように……アメリカとか海外なんかもそうなんだけど、寄付金みたいなものに寛大な処置をもらっていかないと。アメリカって寄付金が税金の対象になるので、税金とかが控除になれば、企業がもっと応援してくれると思うんだよね。だからそういうことも何かやってもらえたらなって。
吉田:丸ちゃんが会長になってやってくださいよ。お願いします(笑)!
丸山:僕には無理だから(笑)。でも、そういう意見を、少しずつみんなで言っていきましょうよ。我々もそろそろ言える年齢ですから。
吉田:頑張ります。
◆パリ五輪での日本柔道の現在地に“危機感”
丸山:柔道界の目標はどうですか?
吉田:今回のパリ五輪を見ていて、次のロサンゼルスオリンピック(以下、ロス五輪)の柔道がどうなっているか。4年後は、たぶん(今以上に)メダルを獲れなくなっちゃっているのかなって。
丸山:いやいや、そんなこと言わずに……。
吉田:今回、そういう危機感を抱くようなことがあったから、“これじゃダメだな”と思ったんで。(ロス五輪では)どうにかそうならないように、選手をもっと鍛えていきたいなと。
丸山:なるほどね。阿部一二三選手や阿部詩選手は、4年後は年齢的に全然大丈夫なの?
吉田:ベテランの域ですね。一二三は今27歳で今度は31歳なので、下から追い上げてくる選手もいるし、(4年後は)どうなるか分からないですけど、本人は「4連覇する!」って言っているので。
丸山:なるほど。
吉田:まあ、そういう気持ちがあるってことは大事ですから。詩も今回負けて「この借りはロス五輪で返すしかない」って言っているので、2人はそこまでやると思いますけど。
丸山:世界選手権でまたポンといきなりメダルを獲ったりするんだよね。でも、何でオリンピックだけそうなるんだろうってあるよね。
吉田:そうなんですよ。世界選手権は勝てるけど、オリンピックでは勝てないって言われる選手もいるし。
丸山:いろいろな競技でいっぱいいるよね。オリンピックって特別だよね。ちょっと不思議なパワーがある。
吉田:そう、本当に不思議。
丸山:今回、(ゴルフ日本代表の監督として)現場にいてそう思いましたよ。あの松山英樹が、メダルを獲りにいっている感が満載だったもん。だから、最後のパットを外したときの悔しがり方って、普段のトーナメントではなかなか見せない悔しがり方だった。
吉田:なるほどね。
丸山:普段は自分だけのことだから、(オリンピックのように)国を背負っている的なところがやっぱり出てくるんじゃないかなって。
吉田:丸ちゃんは、監督として何か一言声をかけたの?
丸山:一言もかけていない。
吉田:ハハハハハ!。
丸山:盛り上げて、明るくすることが精一杯でしたね。
吉田:それでいいんですよ。
丸山:ただ、談笑のときは盛り上がっていましたよ。もちろん、そこだけは盛り上げるのが得意だったから。それだけが僕の取り柄だと思っているので(苦笑)。一応コーチもいるし、トレーナーもいるから、僕は口を出すことはない。でもね、彼は探求心がすごくて情報収集能力が強いから、いまだに「このシチュエーションではどうやって打つんですか?」とか、小さなことも聞いてくるんですよ。
吉田:へぇ~。
丸山:「丸山さん、オフって何して過ごしていたんですか?」とか、すごいなと思う。世界に出て、日本でぶっちぎりの選手がいまだにいろいろと情報収集してより上手くなろうとしているあの姿勢ってすごいなと思う。
吉田:そういう姿勢は大事ですよね。
次回9月21日(土)のゲストは、サッカー元日本代表でサッカー解説者の松木安太郎(まつき・やすたろう)さんです。
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9月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
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<番組概要>
番組名:ACN presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
吉田秀彦 日本柔道界に危機感!?「4年後は、たぶんメダルを獲れなくなっちゃっているのかなって…」
プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ACN presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」(毎週土曜 7:00~7:25)。9月14日(土)の放送は、前回に引き続き、バルセロナオリンピック柔道男子78kg級金メダリストの吉田秀彦(よしだ・ひでひこ)さんをゲストに迎え、お届けしました。
◆吉田秀彦、日本はもっと「投げて勝つ」柔道を
丸山:パリオリンピック(以下、パリ五輪)では、柔道のメダルは金が3つだった? 大会前、金メダルはどのぐらい想定していたの?
吉田:うちのパーク24からは(所属選手が)5人出たんですよ。そのうち4人が2連覇に向けてやっていたんですけど、結局獲れたのは(阿部)一二三だけなんで。
丸山:ちょっとこれは死活問題ですね……総監督。
吉田:責められるね(苦笑)。
丸山:でも、世界の実力も上がってきているっていうのもあるからね。これはしょうがないかなと思うんだけど、柔道ってルールがめちゃくちゃ変わらない?
吉田:変わる。
丸山:あれはどういう意味なの?
吉田:国際柔道連盟(IJF)のなかで決めるんですよ。僕たちも見ていて分からないことがいっぱいある。
丸山:そうでしょう? だって、それは日本とかも意見を言っているわけでしょ?
吉田:でも、相手にあんまりされていない。
丸山:嘘でしょ?
吉田:一応、試合のときに何かあったらコーチ陣が言いに行ったりしますけど、全然相手にされない。今、ビデオ判定が入っているので、もうそこでジャッジされちゃう。
丸山:なるほどね。
吉田:(試合展開が)競ってくるとどっちがどうだか分からないので、やっぱり一二三みたいに“バン!”って投げて勝てばいいんですよ。
丸山:そうね、あれは気持ち良いよね。
吉田:ああいう勝ち方をしないと、日本人はダメ。勝てない。投げて勝つ!
丸山:そうだよね。やっぱり変にちょこまかやっていたらダメだよね。やっていることが、あんまりレスリングと変わらなくなっちゃっているじゃない?
吉田:それもある。ただ道着を着ているか、着ていないかみたいなところの違いがね。
丸山:そうそう。もうちょっと昔の柔道っぽく、ガッと組んでから一気にいったほうが、(観戦する側としては)楽しいよね。吉田くんに、柔道としての目標を聞かせてほしいんだけど。
吉田:今パーク24の総監督をやっているので、もちろんオリンピックや世界選手権で金メダルを獲る選手をもっと出したいなっていうのはありますし、実業団の大会で、団体戦で優勝したいなっていうのもあります。
丸山:なるほど。
吉田:でも、やっぱり一番は(競技人口の)底辺を広げたいですね。
丸山:拡大する方法をね。
吉田:いろいろな人と協力し合ってやらないとダメですね。
丸山:ある意味、もうちょっとスポーツに向けていろいろなことをやってくれるように……アメリカとか海外なんかもそうなんだけど、寄付金みたいなものに寛大な処置をもらっていかないと。アメリカって寄付金が税金の対象になるので、税金とかが控除になれば、企業がもっと応援してくれると思うんだよね。だからそういうことも何かやってもらえたらなって。
吉田:丸ちゃんが会長になってやってくださいよ。お願いします(笑)!
丸山:僕には無理だから(笑)。でも、そういう意見を、少しずつみんなで言っていきましょうよ。我々もそろそろ言える年齢ですから。
吉田:頑張ります。
◆パリ五輪での日本柔道の現在地に“危機感”
丸山:柔道界の目標はどうですか?
吉田:今回のパリ五輪を見ていて、次のロサンゼルスオリンピック(以下、ロス五輪)の柔道がどうなっているか。4年後は、たぶん(今以上に)メダルを獲れなくなっちゃっているのかなって。
丸山:いやいや、そんなこと言わずに……。
吉田:今回、そういう危機感を抱くようなことがあったから、“これじゃダメだな”と思ったんで。(ロス五輪では)どうにかそうならないように、選手をもっと鍛えていきたいなと。
丸山:なるほどね。阿部一二三選手や阿部詩選手は、4年後は年齢的に全然大丈夫なの?
吉田:ベテランの域ですね。一二三は今27歳で今度は31歳なので、下から追い上げてくる選手もいるし、(4年後は)どうなるか分からないですけど、本人は「4連覇する!」って言っているので。
丸山:なるほど。
吉田:まあ、そういう気持ちがあるってことは大事ですから。詩も今回負けて「この借りはロス五輪で返すしかない」って言っているので、2人はそこまでやると思いますけど。
丸山:世界選手権でまたポンといきなりメダルを獲ったりするんだよね。でも、何でオリンピックだけそうなるんだろうってあるよね。
吉田:そうなんですよ。世界選手権は勝てるけど、オリンピックでは勝てないって言われる選手もいるし。
丸山:いろいろな競技でいっぱいいるよね。オリンピックって特別だよね。ちょっと不思議なパワーがある。
吉田:そう、本当に不思議。
丸山:今回、(ゴルフ日本代表の監督として)現場にいてそう思いましたよ。あの松山英樹が、メダルを獲りにいっている感が満載だったもん。だから、最後のパットを外したときの悔しがり方って、普段のトーナメントではなかなか見せない悔しがり方だった。
吉田:なるほどね。
丸山:普段は自分だけのことだから、(オリンピックのように)国を背負っている的なところがやっぱり出てくるんじゃないかなって。
吉田:丸ちゃんは、監督として何か一言声をかけたの?
丸山:一言もかけていない。
吉田:ハハハハハ!。
丸山:盛り上げて、明るくすることが精一杯でしたね。
吉田:それでいいんですよ。
丸山:ただ、談笑のときは盛り上がっていましたよ。もちろん、そこだけは盛り上げるのが得意だったから。それだけが僕の取り柄だと思っているので(苦笑)。一応コーチもいるし、トレーナーもいるから、僕は口を出すことはない。でもね、彼は探求心がすごくて情報収集能力が強いから、いまだに「このシチュエーションではどうやって打つんですか?」とか、小さなことも聞いてくるんですよ。
吉田:へぇ~。
丸山:「丸山さん、オフって何して過ごしていたんですか?」とか、すごいなと思う。世界に出て、日本でぶっちぎりの選手がいまだにいろいろと情報収集してより上手くなろうとしているあの姿勢ってすごいなと思う。
吉田:そういう姿勢は大事ですよね。
次回9月21日(土)のゲストは、サッカー元日本代表でサッカー解説者の松木安太郎(まつき・やすたろう)さんです。
「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。
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9月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年9月22日(日・祝) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:ACN presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/