シェイクスピアが1596年から98年の間に執筆したと言われる戯曲『ヴェニスの商人』。この中にはシャイロックの長い台詞が出てきます。「ユダヤ人には目がないか？ユダヤ人には手がないか、五臓六腑、四肢五体、感覚、感情、喜怒哀楽がないのか？」それまでユダヤ人がいかにキリスト教徒から蔑まれ耐えてきたかを語る内容です。またシャイロックにはジェシカという娘がいて、彼女への想いを描くことでシャイロックの人間性も伝わってきます。「ユダヤ人という民族がこうむってきた苦痛を代弁する人物」として登場するシャイロック。400年も前にこのような戯曲を手掛けたシェイクスピアの凄さ。ぜひ松岡和子さんの翻訳による、ちくま文庫の「シェイクスピア全集」で味わってみて下さい。

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