2023年1月15日

堀江敏幸
『送り火』
(新潮文庫・『雪沼とその周辺』)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

2007年に大学入試センター試験の国語の問題で取り上げられた小説「送り火」。2003年に出版された堀江敏幸さんの連作短編集「雪沼とその周辺」の中の作品です。雪沼というのは山あいにある架空の町。この場所で暮らす様々な人たちの人生が1編1編に描き出されています。「送り火」に登場するのは絹代さんと陽平さんという夫婦。絹代さんは旅先でランプを集めるのが趣味で、家には一度も火を灯したことのないランプがずらりとぶらさがっています。それを見て「夏休みの、あいだくらいは、いいじゃないか」と灯すことを勧める陽平さん。「子どもらは、喜ぶよ」と絹代さんに語りかけます。

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