心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
2023年は、縁起良く1月1日から「メロディアス・ライブラリー」をお届けすることできました。取り上げたのは「漱石俳句集」。夏目漱石は、小説や随筆だけでなく生涯におよそ2600句もの俳句を残しました。その中にはお正月や新年にちなんだものもあり、味わってみると漱石の人となりが伝わってきます。そのひとつが「正月の男といはれ拙に処す」。「拙に処す」というのは中国の文学者「陶淵明」の漢詩に記された生き方で、世渡りが下手で愚直であること。しかしそれを否定するのではなく、ありのままに生きていくこと。漱石は、この考えを気に入っていて、自分の生き方の「核」にしていたそうです。
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