2022年10月16日

志賀直哉
『和解』
(新潮文庫)

志賀直哉の「和解」は、田山花袋の「蒲団」と並んで日本の私小説の代表作だと言われています。作者が実際に経験した事柄をもとに書いた私小説。ある出来事に直面した時に持つ人間の感情やふるまい。矛盾や理不尽さも包み隠さず描かれています。今回「和解」にリクエストをくださったリスナーの方は「登場人物の誰にも感情移入できないのに、グイグイ読めた不思議な読書体験」というメッセージをくださいました。私小説の中には、人間のゆがんだ感情もそのままの形で書かれているため、読者は時にその感情にとまどい、なかなか受け入れられない場合もあるのかもしれません。人間の本質に目をそらさず表現した私小説「和解」。時代を超えて読み継がれていくのではないでしょうか?

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