2022年10月2日

正岡容
『置土産』
(ポプラ社・百年文庫『秋』)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

明治37年、東京・神田に生まれた正岡容。10代の頃から短歌や小説を発表。19歳の時の小説「黄表紙江戸再来記」が芥川龍之介に認められ、本格的に作家活動に入ります。寄席研究家でもあったことから、寄席随筆や芸人小説も数多く残し、小説「置土産」もそのひとつ。1941年(昭和16年)直木賞候補にもなっています。師匠を亡くした若き講釈師(講談師)一立斎万之助に「おれが面倒を見てやる」と言う桃川如燕先生。すばらしい猫の芸を持つ師匠ですが、実はとんでもない人物。約束は忘れる、借金は踏み倒す、ふらりと旅に出たら帰ってこない。その破茶滅茶な暮らしぶりに万之助も巻き込まれていきます。

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