心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
メキシコの作家グアダルーペ・ネッテルの短編集「赤い魚の夫婦」。2013年にスペインの「リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞」を受賞。スペイン語圏をはじめ、イギリスなどヨーロッパでも話題となりました。日本では宇野和美さんが翻訳を手掛けられ、昨年、出版されています。表題作「赤い魚の夫婦」は、語り手の「わたし」と夫ヴァンサンの物語。パリに住むふたりが飼っている赤い魚をとおして、夫婦のすれ違う心が描かれていきます。出産が近づき不安が増す「わたし」の心。それを無視するかのようなヴァンサンの言葉や行動。日常に潜む人間同士の残酷さを、するどく描写していきます。
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